これほど儲かる事業はどこにもない──。総務省が24日公表した2022年の「政治資金収支報告書」によると、政治資金パーティー収入は前年比34.5%増の82億円に上り、あっという間にコロナ禍前の水準に戻った。政治家がパーティーをやたらに開きたがるのは儲かるからだ。岸田首相の報告書を精査すると、ぼったくりバー顔負けの高すぎる利益率が判明した。
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岸田首相の資金管理団体「新政治経済研究会」の収支報告書によると、22年は1000万円超の収入があったパーティーを6回も開いている(別表)。“増税めがね”に続き、“パーティーめがね”をかけているのかと勘繰ってしまう。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「1000万円超えは、大規模なパーティーは自粛するという大臣規範に触れ、看過できません。アフターコロナに乗じ、首相自らが年6回も開催するとは無神経すぎる。国民はナメられています」
回数の多さも問題だが、目を疑ったのが利益率だ。収入総額1億4700万円に対して、開催経費はわずか1600万円。利益率はナント89%に上る。全産業の平均利益率は3.4%程度だから、実に26倍だ。
93%と最も高い利益率だった8月22日のパーティーは、赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京で開かれた。980人がパーティー券を購入し、3200万円の収入だ。
一方、経費は230万円で済んでいる。会場費200万円が大半を占め、他に印刷代19万円、宅配便代1万3000円。驚きはお土産代だ。1000人近くにパー券を買ってもらいながら、お土産代はトータル9万6800円で10万円に満たない。単純計算でパー券購入者1人あたり100円以下だ。
収入が最多だった12月19日の赤坂のパーティーは、1200人がパー券を買った。経費は会場費268万円、講師代55万円、印刷代28万円。お土産代は見当たらない。支出を必要最低限に抑える徹底した“原価低減”により、民間ではあり得ない利益率を実現しているのである。
「利益率が89%に上るのは、パー券購入が事実上の政治献金ということです。しかし、パー券は1回につき20万円を超えないと公開されず、ブラックボックスになっている。政治資金パーティーを透明化しなければ、企業や業界との癒着は続き、金権政治が続いてしまいます」(金子勝氏)
自民党の5派閥などがパー券収入を記載せず、裏金疑惑が浮上しているが、これもパーティーがらみだ。
“パーティーめがね”の暴走を許してはいけない。
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