“早期解散”説が高まっている。最近の内閣支持率上昇を受け、自民党内からは「今なら勝てる」という声が続出。永田町関係者は「5月の広島サミット後の会期末解散は確実だろう」と浮足立っている。
さらに臆測を広げているのが、岸田首相が30日の読売新聞のインタビューで「子育て支援策」を大々的にブチ上げたことだ。「出産費用の公的医療保険適用」など、少子化対策を次々に打ち出した。これが永田町関係者に「選挙が近いから、有権者への“アメ玉”をアピールしたのではないか」と受け止められているのだ。
自民党議員からは「野党の選挙準備が整っていない今なら負けない」との声も飛んでいる。しかし、本当に楽勝なのか。早期解散は「墓穴」となる可能性もゼロではない。
旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の問題や防衛費増税など、逆風となりかねない問題も山積みだからだ。選挙予測に定評のある政治評論家の野上忠興氏が言う。
「次の衆院選はこれまでの国政選挙とは全くの別次元で、自民党にとってかなり厳しい展開になるでしょう。統一教会関係者からの支援が受けられず、連立を組む公明党の集票力にも陰りが出てきているからです。『前回衆院選(2021年)の総得票数から2割減らすのではないか』と危ぶむ自民党関係者もいるほどです。相当な議席減となるのは間違いないでしょう。前回衆院選では、次点との差が1万票未満の僅差で当選した自民党議員が33人、2万票未満なら57人です。これらの議員の中から、落選者が続出する可能性があります」
特に、選挙区で自民党議員の当選を下支えしてきた公明党の集票力が激減していることは、かなり大きいはずだ。公明党の比例票は、2年前の衆院選時には700万票を超えていたが、昨年の参院選では618万票に減っている。
大物落選のサプライズもある?
さらに、自民党に逆風となるのが、10増10減の区割り変更だ。減区となる10県のうち、山口、愛媛、滋賀、岡山の選挙区は自民党議員が独占しており、黙っていても議席減は確定。保守王国の広島や長崎でも自民党議員がバッジを外すことになる可能性がある。
前回、石原伸晃元幹事長が落選したように、大物落選のサプライズもあり得る。筆頭は甘利明前幹事長だ。
「甘利さんは前回、神奈川13区から出馬しましたが、過去の“口利きワイロ”疑惑がくすぶり、立憲民主党の新人に敗北。比例復活という情けない結果に終わった。ただでさえ厳しいのに、区割り変更に伴い次回はなじみの薄い新20区からの出馬となる。甘利さんは73歳になったから、自民党の『比例区定年制』に引っかかり、重複立候補もできません」(政界関係者)
旧統一教会との関係が指摘された下村博文元文科相も“黄信号”。教団とのズブズブ関係が指摘された山際大志郎前経済再生相は「落選濃厚」と囁かれている。
最大のポイントとなるのが、野党の共闘体制だ。
「16年参院選では野党が共闘体制を築いたことで、自民党は32ある1人区で21勝と、13年の29勝から大幅に減退しました。現状、野党はバラバラですが、共闘体制が整えば自民党は厳しくなるのは確実です」(野上忠興氏)大負けなら、岸田首相の責任問題になるのは確実だ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます