岩清水さんに連絡を取ったところ、日曜日は所要のため到着は10時過ぎになるとのこと。
18日、先着がいないことを願いながら本匠へと向かった。今回はどうしてもヌンチャクの向きにこだわりたい。
切り株に上るとすでに人が。春雷にはヌンチャクも掛かっている。微妙なクリップの箇所が逆向きになっている。 今日は駄目かもしれないと、半ば諦めた。
1便目、私の核心は越えたが、トラバースの最後の箇所でホール。ロープ掛けに手こずったのがひびいたか。
2便目、下部で疲労しているのを感じる。1便目と同じ箇所でホール。ワンテン地獄に入ったか。
かわって、岩清水さんはどうかというと、夢の彼方のムーブ解決で苦労していたようだが、今日の2便目で固まったようだ。
そして、3便目に見事にRP。ムーブが解決すれば、落とすのは早い。さすがだ。
1時間半ほど休みを入れて3便目。
すでに疲労がきているのが分かる。3便目に登れることはことはないだろう。次回のために、持久トレと割切り取りつく。
4時を回って岩は急速に冷えてきている。カチを持っている感覚が2便目よりも鈍い。最後のレストポイントでじっくりと休み、核心に入る。
3便目,2便目で取り損なったホールドをなんとか掴んだが、良いところを取れずに駄目かと思った刹那。我慢して持ち替える。
ここれが功を奏した。ここまでくればもう落ちれない。 気合でトラバースする。
終わった。
終了点にクリップをした瞬間、雄叫びもガッツポーズも出ず。
淡々とブラシを掛けながらロワーダウンしたが、思いは深い。
5年前、比叡のボルダーで肩を痛めた。
痛めた当初はあまりの激痛で満足に寝ることも出来なかったが、ひと月ほどすると若干、痛みが引いた。
だが、登ると痛みが走る。当然、満足に登れない。
病院で精密検査を受けると、診断は腱板断裂。クライミング生命にかかわる症状だ。手術をしても何処まで回復するものか分からず、かなり悩んだがこのままでは前には進めないと、手術を決断した。
手術内容は切れた腱は放置、剥がれかかった腱板は6本の杭を打ち込んで止めたとのこと。それを聞いて、もうかつてのようには登れないことを認識した。
痛みが引いたとしても、人より少ない靭帯でどれだけ登れようか。筋力で補助をしてもたかだか知れている。無理をすれば再断裂は目に見えている。10が登れれば良いとするべしか。
次の日からつらいリハビリが始まった。リハビリ中は激痛。安静時も痛みが走る。寝る時は横になることも出来ず、座椅子で上半身を45度に起こして寝る日が3ヶ月続いた。睡眠時間は3時間取れればよいほうだった。
術後、7か月。ドクターと相談後、リハビリクライミングを再開した。
トップロープで9からスタートである。痛みを我慢しながら少しずつ距離を伸ばしていった。
術後、2年経っても一向に痛みが引かない。力も入らない。
手術は失敗ではなかろうかと、 病院を替えてMRIから取り直した。担当のドクターの弁は、一般の人よりは極めて再断裂をしやすい状況にある。日常生活に支障がなければ再手術する必要はないのでは。クライミングを止めるのも選択肢の一つですよ。とのこと。止めるのであれば誰が手術をしようか。
この日から医者に頼るのを止め、リハビリに専念した。その甲斐あってか、昨年から安静時の痛みがなくなり、12くらいのルートをトライできるまでになった。
しかし、左肩に負担のかかるムーブになると左手を出すことを躊躇する。足切れなど論外だ。リミッターがかなり落ちている。だが、逆に言えば、そのリミッターのおかげで再断裂をせずにすんでいるといえる。おそらく、今後、このリミッターは下がることはあっても上ることはないだろう。
痛みは引いたが不思議と痛めた方の肩から前腕にかけては筋力は元のように付かない。
これからも左腕に負担の掛からないようムーブを工夫する、柔軟性を上げる。などすればなんとかやっていけるような気もする。岩ではそれができる。
今も無理をすれば痛みが走る。肩は四六時中張っている。このため、限界グレードのクライミングは2日連続では出来ない状況だが腱板断裂当時を考えれば贅沢はいえない。登れるだけでも仕合わせだ。
皆のおかげでここまでこれた。
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するようなもの、手術をしたとは言え、完全な状態ではない中でよくも13までのレベルに戻る
ことができましたね。
太極拳の時の柔軟性にしても、あきらかに日頃から、リハビリ、トレーニング、食事節制等をして
いなければできない体を作り上げています。
「意思ある所に道あり」まさにその言葉どおりに、思いを現実化したことは、若い人にも良い刺激
になるのではないでしょうか?
なにはともあれ、おめでとうございます。くれぐれもリミッターを外さないで、今後も挑戦し続け
てください。
逆に若い人に刺激をもらっているおかげかもしれません。