中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

トゥワ(圖瓦Tuwa)人

2006-10-01 11:23:47 | 中国のこと
 2003年9月下旬に新疆ウイグル自治区の北部、アルタイ地方を訪れた。ここはモンゴル、ロシア、カザフスタンと接する辺境の地である。この最北端にカナス湖と言う美しい湖がある。

 ゲストハウスからシャトルバスで湖畔まで行き、遊覧ボートに乗って湖畔の景色を楽しんだ。ちょうど黄葉の季節で、湖の周辺の木々は非常に美しく色づいていた。カナスはモンゴル語で「美しく神秘的」と言う意味だそうだ。カナス湖は三日月型に湾曲していて長さ約24キロ、幅は平均約2キロ平均水深は約90メートル(最深184メートル以上)で中国では最も深い高山湖で,湖面積は約46平方キロと小さい。



 帰る途中でトゥワ人の家庭を訪問した。トゥワ人は今ではすっかりモンゴル化して、モンゴル族の一支族のように扱われているが、モンゴル族とは起源が違うと言う学説もあるようだ。55の少数民族には分類されていない。人口は非常に少なく200~300人くらいだそうで、村はもっと奥の方にあり、訪れたのは観光客対象の家だった。



 家は丸太を横にして積み上げその間に牛や馬の糞を詰めて外気が入るのを防いでいる。中に入ってお茶やいろいろな菓子の接待を受けた。中年女性2人と20歳代の娘さんがいたが、民族衣裳ではなくセーター姿で物静かでにこやかな人達だった。内部はこざっぱりしていて暖かく、壁にはジンギスカンの画像やスキー、弓矢、動物の毛皮などが掛けられていた。










 しばらくすると民族衣裳を着た老人が入ってきて笛の演奏を始めた。笛はカナス湖だけにあると言う植物から作ったものでスルと言う。「美しいカナス」と「白い馬」の2曲を演奏してくれたが、モンゴル特有の喉を響かせる発声(ホーメイ)と、笛の音の二重奏のようになっていて心に染み入るような感じで、これを聴いただけでカナスに来た甲斐があったと思ったほどだった。今ではこの笛の演奏ができるのはトゥワ族の中でもこの老人ただ1人と言うことだった。



観光客用の建物のそばにある住居