紹興(Shaoxing)は杭州の東南約50キロのところにあり、車で小一時間で行ける。杭州から紹興までは田園地帯が続いている。紹興は紹興酒の産地として有名で、同じく古くから造り酒屋の多い西宮市とは酒が縁で姉妹都市になっている。
紹興は中国春秋戦国時代(前770~前403)には越の都で会稽と言った。越王勾践と、対立した呉王夫差との戦いは、「臥薪嘗胆」や「会稽の恥をすすぐ」などの言葉で有名である。
紹興はまた、中国近代文学の巨匠である魯迅(Lu Xun)の生まれ故郷としても知られ、今なお紹興市民は言うまでもなく、中国人の尊敬を集めている。私たちは過去の文豪を「夏目漱石は」とか「森鴎外が」とか呼び捨てにしているが、紹興のガイドも、西安や上海の友人達は「魯迅先生」と呼ぶ。
魯迅故居

魯迅記念館

魯迅の作品の中の「故郷」や「村芝居」は好きで何度も読んだが、「孔乙己(Kongyiji)コンイ―ツー」も好きだ。この作品の主人公は最下級の段階の国家試験にも合格できず落ちぶれてしまい、最後にはいつ死んだのかも定かでない、孔乙己と綽名されている哀れな男である。作品の舞台は咸亨(Xianheng)と言う酒屋で、昔の日本の酒屋のように酒を売るかたわらで副業に酒を飲ませていたと言う。この酒屋に孔乙己は酒を飲みにしばしば訪れ、そのたびに常連客や子ども達のからかいの対象にされている。もちろんこの酒屋では紹興酒が出されている。魯迅はこの酒屋のある所を魯鎮(Luzhen)としているが、これは紹興を指している。
現在も紹興市内には咸亨酒店と言う酒屋があり、魯迅先生のお蔭で有名になって観光客などで賑わい、新館まで建てていて、そこで昼食をとった。作品から想像されるのは村の小さな居酒屋という感じだが、今見る咸亨酒店は大きなものである。この店は魯迅が住んでいた当時からあったものかどうかは分からないし、後から魯迅の作品から拝借して咸亨酒店という名をつけて有名のなったのかも分からない。

旧いほうの店の前に孔乙己の銅像がある。作品の中で描かれているように痩せて背が高く長衣を着て、小皿に盛られた豆を摘まんでいる。

この豆は茴香豆(huixiangdou ういきょうまめ)と言い、蚕豆を茴香の香りと塩味をつけて半乾きにしたもので、魯迅の作品に次のような描写がある。
「子どもたちが孔乙己を取り囲むと、かれは子どもたちに茴香豆をくれてやる。ひとり一粒である。子どもたちは、豆を食べてしまっても立ち去らずに、目をじっと皿のほうに向けている。孔乙己はあわてる・・・」(竹内 好訳)

茴香豆は今でも売っていて、紹興酒のつまみには最適だと言う。西安の謝俊麗は「まずいよ」と言っていたが、私にはなかなかおいしく思われた。別の店で売っていたので買って帰ったが、食べてみると肝心の茴香の香りがせず、やはり咸亨酒店で買えばよかったと悔やんだ。
紹興は中国春秋戦国時代(前770~前403)には越の都で会稽と言った。越王勾践と、対立した呉王夫差との戦いは、「臥薪嘗胆」や「会稽の恥をすすぐ」などの言葉で有名である。
紹興はまた、中国近代文学の巨匠である魯迅(Lu Xun)の生まれ故郷としても知られ、今なお紹興市民は言うまでもなく、中国人の尊敬を集めている。私たちは過去の文豪を「夏目漱石は」とか「森鴎外が」とか呼び捨てにしているが、紹興のガイドも、西安や上海の友人達は「魯迅先生」と呼ぶ。
魯迅故居

魯迅記念館

魯迅の作品の中の「故郷」や「村芝居」は好きで何度も読んだが、「孔乙己(Kongyiji)コンイ―ツー」も好きだ。この作品の主人公は最下級の段階の国家試験にも合格できず落ちぶれてしまい、最後にはいつ死んだのかも定かでない、孔乙己と綽名されている哀れな男である。作品の舞台は咸亨(Xianheng)と言う酒屋で、昔の日本の酒屋のように酒を売るかたわらで副業に酒を飲ませていたと言う。この酒屋に孔乙己は酒を飲みにしばしば訪れ、そのたびに常連客や子ども達のからかいの対象にされている。もちろんこの酒屋では紹興酒が出されている。魯迅はこの酒屋のある所を魯鎮(Luzhen)としているが、これは紹興を指している。
現在も紹興市内には咸亨酒店と言う酒屋があり、魯迅先生のお蔭で有名になって観光客などで賑わい、新館まで建てていて、そこで昼食をとった。作品から想像されるのは村の小さな居酒屋という感じだが、今見る咸亨酒店は大きなものである。この店は魯迅が住んでいた当時からあったものかどうかは分からないし、後から魯迅の作品から拝借して咸亨酒店という名をつけて有名のなったのかも分からない。

旧いほうの店の前に孔乙己の銅像がある。作品の中で描かれているように痩せて背が高く長衣を着て、小皿に盛られた豆を摘まんでいる。

この豆は茴香豆(huixiangdou ういきょうまめ)と言い、蚕豆を茴香の香りと塩味をつけて半乾きにしたもので、魯迅の作品に次のような描写がある。
「子どもたちが孔乙己を取り囲むと、かれは子どもたちに茴香豆をくれてやる。ひとり一粒である。子どもたちは、豆を食べてしまっても立ち去らずに、目をじっと皿のほうに向けている。孔乙己はあわてる・・・」(竹内 好訳)

茴香豆は今でも売っていて、紹興酒のつまみには最適だと言う。西安の謝俊麗は「まずいよ」と言っていたが、私にはなかなかおいしく思われた。別の店で売っていたので買って帰ったが、食べてみると肝心の茴香の香りがせず、やはり咸亨酒店で買えばよかったと悔やんだ。