中国に行くと言うと「大丈夫ですか」と聞かれることがよくある。SARSが発生した、「大丈夫ですか」。鳥インフルエンザが流行しているようだ、「大丈夫ですか」。反日デモがあった、「大丈夫ですか」。中国には中国民間航空で行きます、「大丈夫ですか」。こんな調子である。
SARSで心配されるのは分からないでもないが、発生して収まってから何ヶ月たっても決まり文句のように言われるのにはいささかうんざりした。何かしらあの広い中国全土をSARSが暗黒の雲のように覆っているような感じだ。鳥インフルエンザでも人がバタバタ死んでいるわけではないし、ベトナムやインドネシアなどの方が多く死者が出ている。反日デモでも反日の嵐が全土で吹き荒れたわけではない。「最近狂犬病が出ているらしいから気をつけてください」と言われたこともあるが、聞いたこともなかった。総じて僅かな情報を拡大解釈しているのか、中国の広大さと巨大な人口と言うことがなかなか理解できないのかが「大丈夫ですか」の原因になっているのではないだろうか。
しかし、中国民間航空の場合はちょっと違う感じで、何やら危なっかしい機体、レベルの低い操縦士を想像しているような気がする。実際には国際線はもちろん、国内線でも飛んでいるのはボーイングかエアバスだし、操縦士の技術はかなり高いと聞いている。そんなことよりも毎日非常に多くの路線を何便も飛んでいるのに事故があったのは、この数年で2件だ。おそらく、飛行機に限らず、中国の物や人間は質が悪い、いい加減、遅れている、汚い、悪いことをするという偏見が先入観としてあるのではないか。根拠のない蔑視だろう。
このところ反中国、嫌中国の風潮が強い。書店にもそのような類の本が多い。中国への対抗心、敵意が露わなもの、優越感で見下したものなどさまざまだ。買う気はないのでパラパラめくる程度だが、こんなに中国への反感を煽って、いったい何を目論んでいるのだろうと考えてしまう。それにこの著者達のうちの何人が実際に中国に足を運んでつぶさに客観的に中国について調べたのかと疑問に思う。実際、詳細に調べてまとめた中国論は、たとえ中国の欠点、問題点を指摘していても公正で納得できる。しかし、多くはただ反中国感情を煽るだけのもので、これらにかなりの人が影響されて、実際に中国に行ったこともなければ中国人と付き合ったこともないのに、何かしら中国に対してはネガティブな「中国は嫌い」という感情を抱くようになっているのではないだろうか。
強い反中国的言辞で有名な政治家がいる。中国が有人宇宙船を打ち上げた時に、彼は講演会で「中国人は民度が低いからこんなことを喜んでいるが、こんなものは時代遅れだ。日本がその気になれば1年くらいでできる」と話したと言う。これなどは現実の中国のことについては知ろうともしないか無知なのかで、ただ優越感と根強い蔑視から来る反中国的言辞の典型だろう。
もちろん、中国には問題も矛盾も多いし、中国から流れて来た者たちの悪質な犯罪も増加している。それは心ある中国人も皆認めている。しかし、もし私達日本人が単なる優越感ではなく、節度があり民度も高い状態に努力して達することができたと胸を張って言えるようなレベルにあるのならば、徒に隣人を馬鹿にし、貶めるようなことを恥ずかしく思うはずだと思う。それが本当の大国、大人(たいじん)の矜持と言うものだろう。
SARSで心配されるのは分からないでもないが、発生して収まってから何ヶ月たっても決まり文句のように言われるのにはいささかうんざりした。何かしらあの広い中国全土をSARSが暗黒の雲のように覆っているような感じだ。鳥インフルエンザでも人がバタバタ死んでいるわけではないし、ベトナムやインドネシアなどの方が多く死者が出ている。反日デモでも反日の嵐が全土で吹き荒れたわけではない。「最近狂犬病が出ているらしいから気をつけてください」と言われたこともあるが、聞いたこともなかった。総じて僅かな情報を拡大解釈しているのか、中国の広大さと巨大な人口と言うことがなかなか理解できないのかが「大丈夫ですか」の原因になっているのではないだろうか。
しかし、中国民間航空の場合はちょっと違う感じで、何やら危なっかしい機体、レベルの低い操縦士を想像しているような気がする。実際には国際線はもちろん、国内線でも飛んでいるのはボーイングかエアバスだし、操縦士の技術はかなり高いと聞いている。そんなことよりも毎日非常に多くの路線を何便も飛んでいるのに事故があったのは、この数年で2件だ。おそらく、飛行機に限らず、中国の物や人間は質が悪い、いい加減、遅れている、汚い、悪いことをするという偏見が先入観としてあるのではないか。根拠のない蔑視だろう。
このところ反中国、嫌中国の風潮が強い。書店にもそのような類の本が多い。中国への対抗心、敵意が露わなもの、優越感で見下したものなどさまざまだ。買う気はないのでパラパラめくる程度だが、こんなに中国への反感を煽って、いったい何を目論んでいるのだろうと考えてしまう。それにこの著者達のうちの何人が実際に中国に足を運んでつぶさに客観的に中国について調べたのかと疑問に思う。実際、詳細に調べてまとめた中国論は、たとえ中国の欠点、問題点を指摘していても公正で納得できる。しかし、多くはただ反中国感情を煽るだけのもので、これらにかなりの人が影響されて、実際に中国に行ったこともなければ中国人と付き合ったこともないのに、何かしら中国に対してはネガティブな「中国は嫌い」という感情を抱くようになっているのではないだろうか。
強い反中国的言辞で有名な政治家がいる。中国が有人宇宙船を打ち上げた時に、彼は講演会で「中国人は民度が低いからこんなことを喜んでいるが、こんなものは時代遅れだ。日本がその気になれば1年くらいでできる」と話したと言う。これなどは現実の中国のことについては知ろうともしないか無知なのかで、ただ優越感と根強い蔑視から来る反中国的言辞の典型だろう。
もちろん、中国には問題も矛盾も多いし、中国から流れて来た者たちの悪質な犯罪も増加している。それは心ある中国人も皆認めている。しかし、もし私達日本人が単なる優越感ではなく、節度があり民度も高い状態に努力して達することができたと胸を張って言えるようなレベルにあるのならば、徒に隣人を馬鹿にし、貶めるようなことを恥ずかしく思うはずだと思う。それが本当の大国、大人(たいじん)の矜持と言うものだろう。