中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

「誰でもよかった」

2010-12-18 19:48:41 | 身辺雑記

 またしてもこの科白である。茨城県取手市で、朝の通学の中高生の乗ったバスに若い男が乗り込んできて、手当たりしだいに殴ったり包丁で切りつけるなどした事件が起きた。

 

 28歳の無職のこの男は最初のバスでの凶行後に後続のバスにも乗り込み乗客を襲い、取り押さえられた。けが人は中学・高校生が12人、成人女性2人の計14人だが、幸い皆傷は浅く、死者も重傷者も出なかった。調べに対してこの男は、「自分の人生を終わりにしたかった。誰でもよかった」と犯行を認めているが殺意は否定していると言う。

 

 この男は高校卒業後、いろいろな職場を転々としていてたが、数日前から路上生活をしていて、前日の夜は実家のある市の野外で寝て、朝現場まで歩いてきて凶行に及んだようだ。数年前に母親を亡くして父親と暮らしていたとのことだが、高校時代の友人の話では、読書好きだが同級生とは交わらない性格だったたらしく、犯行時にはかなり落ち込んだ、暗い心の状態にあったことがうかがわれる。

 

 これまでの通り魔的な殺傷事件の犯人も、理由はともかくとして何か追い詰められたような精神状態にあって、凶行に及んでいるが、捕まった後の調べに、「自分の人生が嫌になった」「人を殺して死刑になりたかった」「殺すのは誰でもよかった」と言うのがよくあった。

 

 本人の有り様が問題だったにせよ、若者が人生に希望が持てず閉塞感に捉われてしまうことはあるだろうことは分かる。死にたくなる気持ちもおそらくは本当だろう。しかし、だからと言って、そのために何の縁もゆかりもない他人を殺し傷つけようとしたりするのは、やはり非道であって許されることではない。死ぬことなど考えてもいなかった人を襲って「誰でもよかった」などと言うのには、その身勝手さに心底怒りを覚える。

 

今回の事件を起こした若者は「自分の人生を終わりにしたかった」と言った。冷淡だと非難されるのを承知で言えば、それなら自分だけで死ねばいいではないかと言いたい。ビルの屋上から跳び下りるとか、富士山麓の原始林に迷い込むとか、海岸の断崖絶壁から身を投げるとか、死ぬ手段はいくらでもあるではないか。独りでそのような場に臨んだ時に、死ぬということはバカらしくなることもあるかも知れない。それで生きることの大切さに気づき、立ち直れたらそれに越したことはない。それでも死にたいのなら、己の人生を終わりにしたいなら勝手にすればよい。しかし人を道連れにするのは卑劣極まりないことだくらいは知るべきだ。

 

 


痩せ願望

2010-12-18 10:19:31 | 身辺雑記

 神奈川県藤沢市で、インタネット個人輸入したタイ製のダイエット薬品を服用した10代の女性が意識障害などを起こして一時入院したそうだ。

 

 この女性は錠剤やカプセル計9種類を服用し、息切れや嘔吐、歩行困難を起こし、さらには甲状腺機能低下症の疑いで緊急入院したが、服用を中止すると体調は回復したと言う。この薬品は海外の病院が処方したダイエット製品としてネット上などで販売されていて、頭痛などを引き起こす「シブトラミン」など2種類の未承認の医薬品成分が成分検査で検出された。

 

 タイ製のダイエット薬品による健康被害は昨年も群馬県前橋市でも報告されていて、やはり10代の女性が食欲不振、吐き気、めまい、頻脈、発汗などの症状が現れ、医療機関で受診している。5年前には神奈川県茅ヶ崎市の20代の女性が急性心不全で、昨年は東京在住の40代の女性が呼吸不全で、いずれも個人輸入のタイ製のダイエット薬品を服用して死亡している。

 

  このように日本では未承認の成分を含む薬品が簡単に個人輸入で入手できるのも問題だが、このようなものでなくても、テレビや雑誌、巷の薬局などにはあの手この手でダイエット効果を謳うサプリメントや食品が氾濫している。ほとんどすべてが女性対象のものだ。それだけ女性、とくに若い女性には痩せることへの願望が強いのだろう。中国人の若い女性には日本人に比べるとスマートなのが多いようだが、それでもやはり痩せ願望はあるようで、私の友人達もすぐに「ダイエットしなくちゃ」と言う。もっともそれほど強いものでもないようで、「あしたからダイエット」などと言って元気に食べているからご愛嬌とも言えるが、それでも3キロ増えたとか2キロ減ったとか気にしている。私は女性の体重などはよく分からないから、私くらいの大きさの卒業生に「65キロくらい?」とか言って白眼視されることがある。

 

   若い女性はなぜダイエットにこだわるのか。和田秀樹『テレビの大罪』(新潮新書)によると、テレビなどでタレントなどのウエストサイズを「偽装」しているからだとして、[ウエスト58cmの幻想」と言っている。公表されているタレントのウエストサイズは軒並み50センチ台で、60センチ台となると少数派だそうだ。ちなみに体重は40キロ台が標準なのだそうで、これは「過少申告」ではないか。筆者の和田さんはこのようなタレントの「ウエスト偽装」を真に受けた思春期の女性達は、適切なボディサイズではなく、痩せすぎの体型を目指すことになり、そのような痩せ願望から究極的に拒食症に陥り、年間100人もの死者を出していると指摘している。

 

   私にはウエストが58センチと言われてもよく分からない。まさか女性の腰に手を回してそれを実感するわけにも行かないが、要するにいわゆる「柳腰」で格好がよいということなのだろう。あるダイエットサプリメントのテレビ広告で、愛用者と称する50代後半と思われる、いかにもその年らしい体型の女性が内緒めかして、「くびれが出てきました」と言ったのには馬鹿らしくて笑ってしまった。そのようなスタイルに憧れる心理は理解できなくもないが、何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」だ。年をとればやがては多くは樽のような体型になる。若いときは少しくらい太っていても、元気溌溂としたほうが好ましい。