法務省が公表した「平成22年版犯罪白書」によると、殺人、傷害致死など重大事件で服役した人のうち、出所後10年以内に31%が再犯に及んでいたそうだ。
この白書は、殺人、傷害致死、強盗、強姦、放火の5つの罪で服役して、平成12年に出所した計1021人を10年間追跡調査した追跡調査した実態を特集したそうだが、10年以内に再犯に及んだのは322人だった。再犯率は殺人が17.2%、傷害致死32.9%、強盗39.1%▽強姦38.5%、放火26.1%だった。また29人が出所後1カ月未満で次の犯行に手を染めていたという。特に強姦と強盗での再犯率が高い。
暴力団抗争による殺人事件で受刑していた者の再犯率は45.8%に達したいたそうだが、もともと暴力団員は規範意識や加害意識が非常に低いということを読んだことがある。暴力が普通の環境にあり、時には上層部の指令で殺人沙汰を起こすこともあるし、出所後も組織に戻ることが多いようだから、再犯率が高くなるのは当然かも知れない。
有名人が再々痴漢行為をして逮捕されるということがあったが、そのようなことが話題になると誰しもが「病気だ」と言う。性犯罪と言うものは女性の尊厳を踏みにじるきわめて悪質な犯罪だと思うが、強姦などを繰り返すのはやはり病的なもので、よほどのことがなければ更正は難しいのではないか。白書でも性犯罪の前科があり、強姦で服役した者の37.5%が出所後にまたも性犯罪に及ぶなど、犯罪者の更生が困難な現状が指摘されている。米国や英国の一部では未成年者や幼児などに対する性犯罪者は出所後も追跡監視すると聞いたことがあるが、それくらいのことは必要なのかも知れない。
強盗などは出所後の更正支援環境しだいで再犯も防止できるとは思うが、このような場合は家族や近隣からも疎まれたり白眼視され、仕事に就くのも難しいことがあって、再犯に至ることも少なくないのではないか。白書では「重大事犯者は規範意識が希薄であり、その社会復帰は容易でないが、家族らの理解と支援で更生を遂げる者も少なくない」として、周囲の支援の重要性を指摘しているそうだ。