神奈川県藤沢市で、インタネット個人輸入したタイ製のダイエット薬品を服用した10代の女性が意識障害などを起こして一時入院したそうだ。
この女性は錠剤やカプセル計9種類を服用し、息切れや嘔吐、歩行困難を起こし、さらには甲状腺機能低下症の疑いで緊急入院したが、服用を中止すると体調は回復したと言う。この薬品は海外の病院が処方したダイエット製品としてネット上などで販売されていて、頭痛などを引き起こす「シブトラミン」など2種類の未承認の医薬品成分が成分検査で検出された。
タイ製のダイエット薬品による健康被害は昨年も群馬県前橋市でも報告されていて、やはり10代の女性が食欲不振、吐き気、めまい、頻脈、発汗などの症状が現れ、医療機関で受診している。5年前には神奈川県茅ヶ崎市の20代の女性が急性心不全で、昨年は東京在住の40代の女性が呼吸不全で、いずれも個人輸入のタイ製のダイエット薬品を服用して死亡している。
このように日本では未承認の成分を含む薬品が簡単に個人輸入で入手できるのも問題だが、このようなものでなくても、テレビや雑誌、巷の薬局などにはあの手この手でダイエット効果を謳うサプリメントや食品が氾濫している。ほとんどすべてが女性対象のものだ。それだけ女性、とくに若い女性には痩せることへの願望が強いのだろう。中国人の若い女性には日本人に比べるとスマートなのが多いようだが、それでもやはり痩せ願望はあるようで、私の友人達もすぐに「ダイエットしなくちゃ」と言う。もっともそれほど強いものでもないようで、「あしたからダイエット」などと言って元気に食べているからご愛嬌とも言えるが、それでも3キロ増えたとか2キロ減ったとか気にしている。私は女性の体重などはよく分からないから、私くらいの大きさの卒業生に「65キロくらい?」とか言って白眼視されることがある。
若い女性はなぜダイエットにこだわるのか。和田秀樹『テレビの大罪』(新潮新書)によると、テレビなどでタレントなどのウエストサイズを「偽装」しているからだとして、[ウエスト58cmの幻想」と言っている。公表されているタレントのウエストサイズは軒並み50センチ台で、60センチ台となると少数派だそうだ。ちなみに体重は40キロ台が標準なのだそうで、これは「過少申告」ではないか。筆者の和田さんはこのようなタレントの「ウエスト偽装」を真に受けた思春期の女性達は、適切なボディサイズではなく、痩せすぎの体型を目指すことになり、そのような痩せ願望から究極的に拒食症に陥り、年間100人もの死者を出していると指摘している。
私にはウエストが58センチと言われてもよく分からない。まさか女性の腰に手を回してそれを実感するわけにも行かないが、要するにいわゆる「柳腰」で格好がよいということなのだろう。あるダイエットサプリメントのテレビ広告で、愛用者と称する50代後半と思われる、いかにもその年らしい体型の女性が内緒めかして、「くびれが出てきました」と言ったのには馬鹿らしくて笑ってしまった。そのようなスタイルに憧れる心理は理解できなくもないが、何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」だ。年をとればやがては多くは樽のような体型になる。若いときは少しくらい太っていても、元気溌溂としたほうが好ましい。