異動辞令は音楽隊!
地方の警察署のベテラン刑事成瀬(阿部寛)は、法令無視の荒っぽい捜査で知られ、同僚からも煙たがられていた。管内でアポ電強盗が多発し、成瀬は首謀者の自宅に押し掛けて追及するが、その際に暴行したことが告発され、広報課(音楽隊)に左遷される。成瀬本人はもちろん、音楽隊のメンバーはまるでやる気がなかったが・・・という話。
「きっとこういうストーリーになるんだろうな」と誰もが想定するとおりの筋立てで、平凡というかありきたりというか、という感じの展開。
それでも、飽きずに最後まで楽しめるのは、成瀬が閑職の極みのような職場に異動させられた後、立ち直っていく過程が丁寧に描かれているからだと感じた。
仕事にかまけて一人娘との約束を忘れて嫌われ、母親は認知症が悪化してまともな会話も成立しない。どん詰まりの私生活に加えて唯一のレーゾンデートルである刑事という職も奪われる。成瀬は、昔の職場に押しかけたり、音楽隊の活動を無視したりするが、もちろん何の成果も得られない。
役職定年になったサラリーマンとかが等しく味合うような寄る方なさを、成瀬はどう折り合いをつけて行ったのか? 平凡ながら、それなりに納得性があるプロセスだった。