前十字靱帯損傷に関しての情報をリクエストいただきましたので、調べてみました。
前十字靱帯は膝関節の中央部、大腿骨のくぼみにあり、激しく膝をねじったり過度に膝が伸びたりして無理な力(約200kg以上の力)がかかると切れます。周囲に損傷部の治癒を促す血管が少ないため、自然に治癒することが困難という特徴があり、前十字靭帯損傷に対する治療は手術治療になります。もともと強い牽引力がかかる所であり、切れると縫い合わせることは出来ませんので、手術では自分の腱を使って靱帯を作ります。移植する腱はハムストリングス(膝を曲げる筋肉の腱の一部)、骨付き膝蓋靱帯(膝のお皿の骨と脛の骨の一部が付いた状態の膝蓋靱帯)の2つがスタンダードです。日本やヨーロッパの一部で行われている人工靱帯は、アメリカでは手術成績が悪いことから承認されていません。
ハムストリングスにするか骨付き膝蓋靱帯にするか、こんな論文がありました。
A meta-analysis of stability after anterior cruciate ligament reconstruction as a function of hamstring versus patella tendon graft and fixation type.
Arthroscopy. 2005;10:1202.
(インパクトファクター★☆☆☆☆、研究対象人数★☆☆☆☆)
この論文は最近、前十字靱帯再建術に関して報告された論文をまとめて解析したメタアナリシスです。4本の腱を編んだ腱を移植した24人と、2本の腱を編んだ腱を移植した8人と、骨付き膝蓋靱帯を移植した32人が術後の膝の安定性などが比較されました。
結果は、4本の腱を編んだ腱群は骨付き膝蓋靱帯群に比較して有意に安定性が良く(77% vs. 66%)、低安定性の率が有意に低かったそうです(4.4% vs. 5.9%)。
また、術式としては、EndoButtonという器具を使い4本の腱を編んだ腱を使った場合の安定性が一番良く(80%)、不安定性は一番低かったそうです(1.7%)。
メタアナリシスといっても発症率の高い心筋梗塞などの論文に比較して人数が少ないですね。
「なるほど、ためになった」と思われた方は、こちらから投票をお願いいたします
今は何位かな?
前十字靱帯は膝関節の中央部、大腿骨のくぼみにあり、激しく膝をねじったり過度に膝が伸びたりして無理な力(約200kg以上の力)がかかると切れます。周囲に損傷部の治癒を促す血管が少ないため、自然に治癒することが困難という特徴があり、前十字靭帯損傷に対する治療は手術治療になります。もともと強い牽引力がかかる所であり、切れると縫い合わせることは出来ませんので、手術では自分の腱を使って靱帯を作ります。移植する腱はハムストリングス(膝を曲げる筋肉の腱の一部)、骨付き膝蓋靱帯(膝のお皿の骨と脛の骨の一部が付いた状態の膝蓋靱帯)の2つがスタンダードです。日本やヨーロッパの一部で行われている人工靱帯は、アメリカでは手術成績が悪いことから承認されていません。
ハムストリングスにするか骨付き膝蓋靱帯にするか、こんな論文がありました。
A meta-analysis of stability after anterior cruciate ligament reconstruction as a function of hamstring versus patella tendon graft and fixation type.
Arthroscopy. 2005;10:1202.
(インパクトファクター★☆☆☆☆、研究対象人数★☆☆☆☆)
この論文は最近、前十字靱帯再建術に関して報告された論文をまとめて解析したメタアナリシスです。4本の腱を編んだ腱を移植した24人と、2本の腱を編んだ腱を移植した8人と、骨付き膝蓋靱帯を移植した32人が術後の膝の安定性などが比較されました。
結果は、4本の腱を編んだ腱群は骨付き膝蓋靱帯群に比較して有意に安定性が良く(77% vs. 66%)、低安定性の率が有意に低かったそうです(4.4% vs. 5.9%)。
また、術式としては、EndoButtonという器具を使い4本の腱を編んだ腱を使った場合の安定性が一番良く(80%)、不安定性は一番低かったそうです(1.7%)。
メタアナリシスといっても発症率の高い心筋梗塞などの論文に比較して人数が少ないですね。
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