知人から、薬局での支払いに関して「薬剤費」以上の費用が薬局から請求されている気がするというメールをいただきました。おまけに領収書には明細は書かれておらず、合計額だけが書かれていたそうです。処方の内容は、フロモックスという抗生剤を1日3錠4日分、ガスター(20mg)1日1錠28日分、健胃散(1日3回)28日分でした。
そこで調べてみたのですが、「薬価」はフロモックスが1錠78.7円、ガスター(20mg)が68円、健胃散が6.4円/グラムで1日分4グラムなので1日25.6円でした。
「薬剤費」に関しては、15円以上の「薬価」のものは1の桁が5までは切り捨て、5を超えたら切り上げですから。このケースの場合は3370円です。
「調剤料」ですが、1剤につき、4日間分で200円、14日分だと630円、28日分だと800円、60日分まで880円です。長期の処方のほうが得になる料金設定です。
フロモックスが7日分ですから200円、ガスターは28日分ですから800円、健胃散も28日分ですから800円で、「調剤料」の合計は1,800円です。
さて薬局の請求書の不思議でご紹介したように、ここに「調剤基本料」がかかります。これは薬局の状態により異なりますが、このケースでは490円でした。さらに薬剤服用歴管理・指導料 170円、特別指導加算 280円、薬剤情報提供料 170円を加算して合計6,130円、本来の「薬剤費」が3370円ですから「薬剤費」以外は2,760円でした。もちろん個人が支払う額は6,130円の3割ですが、残りの7割は私たちの保険料や税金などの公的資金からまかなわれるのですから私たちが払っているようなものです。
知人のメールにあったように「薬剤費以上の費用が薬局から請求されている」とまではいかないですが、3,370円分の薬を買っただけなのに、薬局自体への報酬が2,760円加算されるのは盲点だと思いませんか。これではいくら薬剤費の値下げによる国の医療費の節約を叫んでも意味がありません。
このあたり、すごーい闇のように思えてなりません。
そこで、どうしたらこういう支払いを節約することができるかを考えてみました。まず、「調剤料」ですが、算定できるのは3剤までとなっているので4剤以上は同じです。3剤の方は2剤に、2剤の方は1剤にできると「調剤料」は節約できます。なお、例えば朝だけ内服という場合は何種類朝に内服していても1剤と計算されます。1日3回朝、昼、夕の場合などもそういう内服のしかたをする薬は何種類あっても1剤とします。ただし、「1日3回朝、昼、夕」と「1日3回朝、昼、眠前」のように1回でも内服する時期が異なる場合は別とします。そうすると、
コレステロールは夜に合成されるからと、高脂血症の薬を夕方に内服するように処方され、
ノルバスクという高血圧の薬を1錠朝1回とメバロチンという高脂血症の薬を1錠夕1回処方された場合は28日間の場合「調剤料」は1,600円であるのに対して、メバロチンも朝の内服として処方してもらえば800円ですみます。
そして「調剤基本料」は1カ月の受付が4,000回以上、1カ所の病院からの処方の集中が70%以上の薬局では210円であるのに対して、そうでない薬局での「基本調剤料」は490円ですから、できるだけ大きな病院の近くの薬局で処方してもらうと280円節約できます。
「薬剤服用歴管理・指導料」は「患者ごとに作成した薬剤服用歴に基づいて、処方薬の重複投薬、相互作用、薬物アレルギーなどを確認し、基本的な説明・指導を行い、その記録を3年間保管した場合」170円加算されるものですから、薬局がそういうチェックをしているのであればしかたがないでしょう。
ただし「特別指導加算」は「薬剤師が患者や家族と対話することで情報を収集し、薬剤服用歴に基づいて投与される薬剤の適正使用のために服薬指導を行った場合」に280円加算されるものですから、かなりグレーゾーンです。「お変わりありませんか?」と聞かれ「はい」と答え、「それではこれまで通り薬を飲んでください」と言われるだけで加算できるとも解釈できますし、良心ある薬剤師がそういう場合は加算しないこともあると思います。自分で自分の内服薬が管理できる方は、この料金の加算を断ってもいいのではないでしょうか。
「薬剤情報提供料」は「薬の説明書の配布、糖尿病手帳など、各種手帳への記載」によって170円加算されるものです。「この薬は咳のお薬です」といった説明書きが配布されると思いますが、いつもと同じ薬の場合は必要ない場合が多いと思います。必要ないなら説明書の配布を断り「薬剤情報提供料は加算しないでほしい」と主張して170円を節約しましょう。
これで800+280+280+170=1,530円節約できることになります。
また、「調剤料」は30日では800円ですが、60日でも880円ですから、1ヶ月分処方してもらうより2ヶ月分処方してもらう方がはるかに経費を節減できる事に気がつきます。若い方の高血圧や高尿酸血症のような慢性疾患で症状にほとんど変化がない場合はそうしてもらうと安くすみます。
逆に医者の方は、慢性疾患で症状にほとんど変化がない場合は2カ月処方することや、投薬時期をなるべくそろえることを心がける事で患者さんの負担を減らす事ができます。
以前もお伝えしましたが、2003年度の国民医療費約32兆円のうち保険薬局に支払われた費用は3兆9千億円で、医薬分業が行われた結果1兆円増えてしまいました。これは厚労省が薬局の経営に配慮した結果、病院内の調剤報酬より院外薬局の調剤報酬の方が高く設定されたためです。
みなさん、薬局で合計額だけの請求書をもらったら、詳細を書いた請求書もほしいと求めましょう。そういうことも日本の医療費を節約するための一歩になると思います。
「なるほど、ためになった」と思われた方は、こちらから投票をお願いいたします
今は何位かな?
そこで調べてみたのですが、「薬価」はフロモックスが1錠78.7円、ガスター(20mg)が68円、健胃散が6.4円/グラムで1日分4グラムなので1日25.6円でした。
「薬剤費」に関しては、15円以上の「薬価」のものは1の桁が5までは切り捨て、5を超えたら切り上げですから。このケースの場合は3370円です。
「調剤料」ですが、1剤につき、4日間分で200円、14日分だと630円、28日分だと800円、60日分まで880円です。長期の処方のほうが得になる料金設定です。
フロモックスが7日分ですから200円、ガスターは28日分ですから800円、健胃散も28日分ですから800円で、「調剤料」の合計は1,800円です。
さて薬局の請求書の不思議でご紹介したように、ここに「調剤基本料」がかかります。これは薬局の状態により異なりますが、このケースでは490円でした。さらに薬剤服用歴管理・指導料 170円、特別指導加算 280円、薬剤情報提供料 170円を加算して合計6,130円、本来の「薬剤費」が3370円ですから「薬剤費」以外は2,760円でした。もちろん個人が支払う額は6,130円の3割ですが、残りの7割は私たちの保険料や税金などの公的資金からまかなわれるのですから私たちが払っているようなものです。
知人のメールにあったように「薬剤費以上の費用が薬局から請求されている」とまではいかないですが、3,370円分の薬を買っただけなのに、薬局自体への報酬が2,760円加算されるのは盲点だと思いませんか。これではいくら薬剤費の値下げによる国の医療費の節約を叫んでも意味がありません。
このあたり、すごーい闇のように思えてなりません。
そこで、どうしたらこういう支払いを節約することができるかを考えてみました。まず、「調剤料」ですが、算定できるのは3剤までとなっているので4剤以上は同じです。3剤の方は2剤に、2剤の方は1剤にできると「調剤料」は節約できます。なお、例えば朝だけ内服という場合は何種類朝に内服していても1剤と計算されます。1日3回朝、昼、夕の場合などもそういう内服のしかたをする薬は何種類あっても1剤とします。ただし、「1日3回朝、昼、夕」と「1日3回朝、昼、眠前」のように1回でも内服する時期が異なる場合は別とします。そうすると、
コレステロールは夜に合成されるからと、高脂血症の薬を夕方に内服するように処方され、
ノルバスクという高血圧の薬を1錠朝1回とメバロチンという高脂血症の薬を1錠夕1回処方された場合は28日間の場合「調剤料」は1,600円であるのに対して、メバロチンも朝の内服として処方してもらえば800円ですみます。
そして「調剤基本料」は1カ月の受付が4,000回以上、1カ所の病院からの処方の集中が70%以上の薬局では210円であるのに対して、そうでない薬局での「基本調剤料」は490円ですから、できるだけ大きな病院の近くの薬局で処方してもらうと280円節約できます。
「薬剤服用歴管理・指導料」は「患者ごとに作成した薬剤服用歴に基づいて、処方薬の重複投薬、相互作用、薬物アレルギーなどを確認し、基本的な説明・指導を行い、その記録を3年間保管した場合」170円加算されるものですから、薬局がそういうチェックをしているのであればしかたがないでしょう。
ただし「特別指導加算」は「薬剤師が患者や家族と対話することで情報を収集し、薬剤服用歴に基づいて投与される薬剤の適正使用のために服薬指導を行った場合」に280円加算されるものですから、かなりグレーゾーンです。「お変わりありませんか?」と聞かれ「はい」と答え、「それではこれまで通り薬を飲んでください」と言われるだけで加算できるとも解釈できますし、良心ある薬剤師がそういう場合は加算しないこともあると思います。自分で自分の内服薬が管理できる方は、この料金の加算を断ってもいいのではないでしょうか。
「薬剤情報提供料」は「薬の説明書の配布、糖尿病手帳など、各種手帳への記載」によって170円加算されるものです。「この薬は咳のお薬です」といった説明書きが配布されると思いますが、いつもと同じ薬の場合は必要ない場合が多いと思います。必要ないなら説明書の配布を断り「薬剤情報提供料は加算しないでほしい」と主張して170円を節約しましょう。
これで800+280+280+170=1,530円節約できることになります。
また、「調剤料」は30日では800円ですが、60日でも880円ですから、1ヶ月分処方してもらうより2ヶ月分処方してもらう方がはるかに経費を節減できる事に気がつきます。若い方の高血圧や高尿酸血症のような慢性疾患で症状にほとんど変化がない場合はそうしてもらうと安くすみます。
逆に医者の方は、慢性疾患で症状にほとんど変化がない場合は2カ月処方することや、投薬時期をなるべくそろえることを心がける事で患者さんの負担を減らす事ができます。
以前もお伝えしましたが、2003年度の国民医療費約32兆円のうち保険薬局に支払われた費用は3兆9千億円で、医薬分業が行われた結果1兆円増えてしまいました。これは厚労省が薬局の経営に配慮した結果、病院内の調剤報酬より院外薬局の調剤報酬の方が高く設定されたためです。
みなさん、薬局で合計額だけの請求書をもらったら、詳細を書いた請求書もほしいと求めましょう。そういうことも日本の医療費を節約するための一歩になると思います。
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