信行道場とは日蓮宗の教師になるための養成機関で35日間こもって修行するところです。
そこでは一切外界との接触を断たれひたすらさまざまな修行に取り組むのです。
食事はもちろん精進料理、地元のお母さんたちの手作りごはんです。
たとえば朝はごはんに生卵、箸休めの漬物と汁物。(私が信行道場に行ったのは昔のことなので今は違っているのかもしれませんが)
たまに夕食にカレーが出ることもあります。しかしそのカレーも精進料理なので肉はなし、代わりにこんにゃくが入ります。小口切りのこんにゃくの食感は肉を感じなくもないし味も良かった。あまりに面白かったので、道場を出たら作ってみようを思ったのですが結局今まで一度も作ることはありませんでした。やはりあの場所で食べるからおいしいと感じるのかも知れません。
食事は指導者の引金(法要道具の一つで音を出して合図をする道具)の合図で食べ始め、二度目の引金の音で食事終了となります。食事中はもちろん無言です。
食べる楽しみというのはほとんどありませんが、唯一の変化は外部からの差し入れです。特定の個人にだけ差し入れすることはできませんから、差し入れする場合は道場生全員分をおさめることになります。
ヨーグルトとかお菓子類が多かったように思います。
いただいた差し入れ品はおいしく残さずいただくのが基本ですが、差し入れが多くて食べきれない場合もあります。そんな時にはまだ食べられる仲間に食べてもらうという形で対応していました。
中でも差し入れの多かったのが身延まんじゅう、私たち山梨地元の人間は食べ飽きている感があるのですが県外の方にはとても魅力的に映るらしく人の分までたくさん食べる人もいましたね。
たいてい信行道場から出るときには体重が減っていることが多いのですが、身延まんじゅうの食べ過ぎで太った人もいました。
今差し入れは現物ではなくお金でおさめることになったらしいのでこういう風景はもう見られないのかもしれません。
食べ物の変化といえば、もう一つは道場から外部に出た時です。信行道場のカリキュラムの中には七面山登山や山梨近隣の霊跡への訪問があります。その時にもご供養としてパンやジュースなどが差し入れされることもありました。たいていはその場で食べるのですが、食べきれない場合は持ち帰りとなります。バスで移動のときはいいのですが、長い距離を歩く場合、特に登山などの時にはジュースの重さ(時には数本となる)が負荷となって結構大変だった記憶があります。
いずれにしても無事に道場を終えられたのはおいしいごはんを作ってくれた地元のお母さんたちやご供養として差し入れをしてくださった方々のおかげでもあります。
あの時はほんとうにごちそうさんでした。
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