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世界報道写真展2019

2019年08月02日 | アート

東京都写真美術館で開催中の「世界報道写真展2019」を見に行きました。東京では8月4日まで、のち大阪、滋賀。京都、大分に巡回します。

「世界報道写真コンテスト」の今年の入賞作品、8部門48点(組)が展示されています。今年は「世界報道写真大賞」に加え、新たに組写真を対象にした「世界報道写真ストーリー大賞」が設けられました。

ポスターの写真は、今年大賞を受賞したアメリカのジョアン・ムーア氏の作品です。トランプ政権が掲げた不寛容な移民政策によって、アメリカ・メキシコ国境で引き裂かれた母子をとらえた作品で、私もSNSで何度も目にしました。この写真がきっかけで抗議運動が高まり、政策が見直しとなったことも記憶に残っています。

スポットニュースの部・単写真3位を受賞した、メキシコのペドロ・パルド氏の作品です。メキシコ・アメリカ国境のティファナで、フェンスをよじ登る中米の親子をとらえています。昨年は中米から7000人もの難民がキャラバンを組織し、アメリカを目指して歩きました。

このキャラバンの過酷な旅は、オランダのピーター・テン・ホーペン氏が10点の組写真にし、今年の世界報道写真ストーリー大賞を受賞しています。

環境の部・単写真1位を受賞した、南アフリカのブレント・スタートン氏の作品です。ジンバブエの野生動物公園で活動する、女性だけの反密猟武装組織「アカシンガ」(勇気ある者たち)の擬態訓練に参加している女性の姿をとらえています。

シリアスな写真に不謹慎ですが、長期的な環境保護の視点に立って真摯に戦う女性の姿が神々しく、「マッド・マックス」のシャーリーズ・セロンを思い出しました。

長期取材の部・1位を受賞した、アメリカのサラ・ブレセナー氏の組写真。30点からなる大作です。ロシアとアメリカの両国において、軍事的な意味合いを持つ愛国教育が、子どもたちの活動にさりげなく組み込まれていることを知り、複雑な思いを抱きました。愛国心とは何かと考えさせられ、私にとって一番強烈だった作品です。

スポーツの部・組写真1位を受賞した、イランのフォルーグ・アラエイ氏の作品です。イランでは、女性がサッカー観戦するのに大きな制約があるそうです。この日は特別に、女性たちがスタジアムの区切られたエリアへの入場が認められたそうで、応援する女性たちの生き生きとした表情が心に残りました。

異国の文化に触れられることもこの写真展の魅力です。これはポートレートの部・組写真3位を受賞した、ブラジルのルイーザ・ドール氏の作品です。スペインのバレンシアの火祭りで女性たちが身に着ける、ファジェラという民族衣装を紹介しています。繊細なレースの装飾を施したアンティークなドレスはどれもすてきでした!

自然の部・単写真2位を受賞した、オランダのブレント・ドゥースト氏の作品です。カリブのオランダ領キュラソー島にて、脚に傷を負って、治療用の靴下を履いている、ベニイロフラミンゴの姿をとらえています。見慣れない靴下が気になるのかな? かわいい姿にきゅんとしました。

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日本の写真家の受賞はありませんでしたが、テニスの大坂なおみ選手がプレイする姿をとらえたオーストラリアの写真家の作品がありました。

今年の受賞作品は、こちらのサイトで見ることができます。
WORLD PRESS PHOTO 2019

また過去の感想はこちら。
世界報道写真展2018
世界報道写真展2017
世界報道写真展2011-2016

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