サム・メンデス監督による第1次世界大戦を舞台に描いた戦争ドラマです。
1917年、第1次世界大戦中のフランス。イギリス軍のエリンモア将軍(コリン・ファース)は、ドイツ軍が撤退すると見せかけて大規模な奇襲作戦を企てていることを知り、若き2人の兵士にそのことを前線にいるマッケンジー大佐(ベネディクト・カンバーバッチ)に知らせて撤退させるべく、メッセージを託します。
大任をあずかった若き兵士ブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)とスコフィールド(ジョージ・マッケイ)は、前線にいる1600名の兵士の命を救うため、たった2人でどこから敵が現れるともしれない戦場を突き進みます...。
戦争映画は重いながらも深いドラマがあって、心を揺さぶられる名作が多いですが、本作も期待を裏切らないすばらしい作品でした。
ストーリーとしてはシンプルで、若き2人の兵士が前線にいる1600名(その中にはブレイクの兄もいる)を救うために、命がけで任務を全うする物語。
過酷でシリアスな戦争映画ですが、常に主人公2人の視点で映像が進行し、塹壕を走り抜け、滝から落ち、遺跡に身を隠し... 敵の攻撃と背中合わせにある危険が、ひりひりと伝わってきます。ビデオゲームのサバイバルゲームを想起させ、エンターテイメントとしても楽しめました。
兵士を探して戦場を突き進む展開は「プライベート・ライアン」、子どもを連れた女性に匿われる場面は「コールドマウンテン」、長く続く塹壕には、第1次世界大戦のフランスを舞台にした「戦火の馬」と、時代も場所も違ういろいろな戦争映画を思い出しました。
そしてエリンモア将軍の伝言にすべてを理解し、将軍を信じ、マッケンジー大佐が隊の命を守るために勇気ある決断を下す場面に心打たれました。
脇役にベテラン俳優を配しつつ、主人公の2人が実力派若手俳優というのもよかったです。
スコフィールドを演じたジョージ・マッケイは、イギリス映画の「パレードにようこそ」(Pride)や、ヴィゴ・モーテンセンの「はじまりへの旅」(Captain Fantastic)での演技が印象深く、心に残っていた俳優さん。
わけあって疎遠となっていた家族に思いをはせるラストは、忘れられないシーンとなりそうです。