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フェラーリ

2024年07月14日 | 映画

イタリアの自動車メーカー「フェラーリ」の創業者、エンツォ・フェラーリの半生を描いた伝記ドラマです。

フェラーリ (Ferrari) 2023

最近映画はほとんど配信で見ていたので、ちゃんと映画館に足を運んで新作映画を見たのはほんとうに久しぶりです。過去記事をチェックしたら、なんと2023年10月に見た「グランツーリスモ」以来、9か月ぶりでした。

車を題材にした映画が好きなのと、本作は大好きなアダム・ドライバーがフェラーリを演じ、ペネロペ・クルス、シェイリーン・ウッドリーが出演するというので、楽しみにしていました。

アダム・ドライバーが演じるのは「ハウス・オブ・グッチ」に続いて、イタリアの創業者一族。グッチ家のおっとりとした御曹司役がとても気に入っていたのですが、本作では終始不機嫌な、冷酷な創業者を演じています。

妻(ペネロペ・クルス)、愛人(ウッドリー)の苦悩に寄り添うことをせず、ひょっとしたら会社の経営すら興味なく、頭の中にあるのは、最高の車を作って、レースで自分のチームが優勝することばかり。

チームのレーサーが事故で亡くなっても、公道を走るレースで事故を起こして何人もの死傷者を出しても、死を悼むより、どうやってこの難局を乗り越えるか腐心している(ように見えました)。

ものすごい天才だけれど、人の心を持たない人物、という印象を受けました。

特に私は妻ラウラに同情しました。エンツォの妻として、そしてビジネスのパートナーとして夫を支えてきたラウラでしたが、後継ぎ息子のディーノを病気で亡くして以来、夫の心は愛人へと移ります。

フェラーリが危機に立った時、ラウラがその気になれば、自分の取り分を得て、フェラーリ家を去ることもできたと思いますが、彼女は自分の財産を会社再建のために捧げるのです。

ラウラは、エンツォ以上に会社を愛し、存続の危機を救ったのだと思います。一方、彼女がそのためにエンツォに切り出した条件に、彼女の悲痛な思いがひしひしと伝わってきました。

ちょっぴりネガティブな感想になってしまいましたが、映画はおもしろかった! とりわけ本作の華というべき、レースのシーンの臨場感がすばらしかったです。

イタリアの公道を走る「ミッレミリア」というレースでは、イタリアの雄大な山岳地方や、素朴な田舎の村々を走るのですが、こんな美しい風景の中をドライヴして旅してみたい!と思いました。

車好きの夫から、フェラーリにはエンツォの早逝した息子ディーノの名前を冠した名車があると聞きました。エンツォは彼らしい方法で、息子の生きた証を残したのですね。

【参考】知っておきたいフェラーリ・ディーノの逸話

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