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アラン・ドロン追悼上映「冒険者たち」

2024年12月01日 | 映画

招待券をいただいて、渋谷のル・シネマ宮益坂下で開催中の、この夏に亡くなられたアラン・ドロン追悼上映に行ってきました。「太陽がいっぱい」ほか全3作が上映されていますが、私たちが見たのは「冒険者たち」です。

※ ル・シネマが東急文化村から宮益坂下に移転してから初めて訪れました。シアターは7階と9階にありますが、チケット発券所は1階にありますのでご注意くださいね。

冒険者たち (Les Aventuriers / The Last Adventure) 1967

飛行機操縦士のマヌー(アラン・ドロン)、レーシングカーのエンジン開発者ローラン(リノ・ヴァンチュラ)、現代美術アーティストのレティシア(ジョアンナ・シムカス)。

それぞれ夢に破れた3人は、コンゴの海底に眠る5億フランの財宝の噂を聞きつけ、アフリカへと旅立ちます。

男性2人、女性1人の3人が宝探しの旅に出る冒険映画で、この作品は「明日に向かって撃て!」など、後のさまざまな映画に影響を与えたと言われています。

久しぶりに見たフランス映画ということもあり、とても楽しめたのですが、最初のうちは、3人の生き方が地に足がついていないように思えて、共感しにくい部分もありました。

例えば、マヌーが凱旋門の上を飛ぶ前に法律を調べなかったことや、ローランが安全性を考えずに実験したこと、レティシアが全財産を個展に注ぎ込んだことなど、どれも見込みが甘く無鉄砲に思えて、ちょっといらいらしました。

でもそれは、私が常識的だからかもしれません。コンゴに行くことも、コンゴでの3人の行動も、見ていて冷や冷やするばかりでしたが、そもそも私のように心配していては映画にはなりませんね。

印象に残ったのは、マヌーとローランが、レティシアの故郷を訪ねる場面です。どことなく「男はつらいよ」のテイストを思い出しました。ローランがレティシアの夢を実現しようと熱く計画を語る場面も、胸にぐっときました。

意外だったのは、レティシアがハンサムで年齢も近いマヌーではなく、年上のローランを将来のパートナーとして選んだことです。でも、彼女はローランの誠実さや優しさに惹かれたのかもしれません。

一方で、マヌーがレティシアに対して最初から一歩引いていた点も、彼の思いやりを感じて、好感を持ちました。この3人だからこそ絆が深まり、関係がうまくいったのでしょうね。

そして、ローランがマヌーに語りかけた最後のことばに心を強く揺さぶられ、そのとたんに涙があふれてしまいました。なんだかんだと文句を言いましたが、私はこの作品をとても気に入りました。


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8 コメント

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Unknown (latifa)
2024-12-01 17:16:32
セレンディピティさん、こんばんはー
「冒険者たち」見たかもしれないけれど、途中で挫折しちゃったような・・・、それとも未見かな・・・。
写真で見るとアラン・ドロンは凄くカッコイイですね!美貌がピークの頃だったのかな。

>ル・シネマが東急文化村から宮益坂下に移転
そうなのね・・・知らなかったです。
かつての場所の時はその映画館に何度か行った事がありました。素敵なカフェもあって、洒落た場だったなあ(90年代だったと思うので随分前ですが・・)
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羨ましいな~♡ ()
2024-12-01 19:07:54
こんばんは。

「冒険者たち」を映画館でご覧になったのですね!!追悼上映があると聞いて上京したい気持ちでした(*^-^*)

アラン・ドロンが素晴らしく美しくて(コンゴでの髭顔も大好き 笑)リノ・ヴァンチェラの大人の包容力が素敵で、なにより二人に愛されるジョアンナ・シムカスのキュートな中にも孤独を感じさせる雰囲気が素晴らしくて、大好きな作品です。
レティシアの故郷を訪ねるシーン、印象的でしたね。
そして、ラスト・・・残された彼の悲哀がなんとも胸に刺さります。あの最後の言葉も・・・。

>見込みが甘く無鉄砲・・・
確かにそうでしたね~。
実は本作には原作があるのですが(「生き残った者の掟」)原作者のジョゼ・ジョヴァンニは、本作が甘すぎると不満があったようで自ら原作に忠実な映画を作ったそうなんですよ。
いつかそちらの作品も観てみたいと思っています。
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☆ latifaさま ☆ (セレンディピティ)
2024-12-01 23:12:11
latifaさん こんばんは。
latifaさんも冒険者たちをご覧になったかもしれないのですね。
この映画は「サムライ」と同じ年に作られたのですが、まさに黄金時代でしょうか。
アラン・ドロン、美しくてほんとうにかっこよかったですよ。

東急文化村、私も80年代の頃大好きでよく行きました。
当時の私はフランスかぶれのところがあったので、東急文化村の運んでくるパリのにおいが大好きでした。
今、渋谷は大開発の真最中で、東急本店とそのお隣の文化村はクローズしてしまいました。
ル・シネマは、明治通りの東映の映画館があったところに移転したんですよ。
東映の時は入ったことがなかったですが・・・
場所はビックカメラの上ですよ。機会がありましたら是非☆
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☆ 瞳さま ☆ (セレンディピティ)
2024-12-01 23:30:00
瞳さん こんばんは。
「冒険者たち」は瞳さんの大のお気に入りの作品だったのですね。
私もとっても気に入りました。
アラン・ドロンはほんとうに美しかったですね。
マヌーとローランがそれぞれレティシアを愛しながらもそれをおくびにも出さず、お互いを思いやっていることが見てとれて、最後のローランの台詞には号泣してしまいました。
レティシア、キュートでしたね。
個展の時の作品のイメージにあわせたメタリックなドレスがすごくチャーミングでした。

余談ですが、後からレティシアを演じたジョアンナ・シムカスが、私生活ではシドニー・ポアチエと夫婦であったことを知ってびっくりしました。

原作も気になるし、原作に忠実な映画も見てみたくなりますね。^^
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Unknown (ヌマンタ)
2024-12-02 14:23:22
少し前に拙ブログでも取り上げました。多分、私が最初に観たドロンの映画だと思います。作中でドロン自身が歌っていた「愛しのレティシア」は何気に好きな曲なんです。
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☆ ヌマンタさま ☆ (セレンディピティ)
2024-12-02 23:03:17
ヌマンタさん こんばんは。
ヌマンタさんも本作を記事に取り上げられたのですね。
先ほど貴ブログを拝見しました。

私はどちらかというと現実的なタイプなので
3人の見込みの甘さが気になってしまいました。
あと、儲け話にうかうか乗ってしまうところとか。
でもそれを差し引いても、すてきな作品でしたね。
主題曲は、ノスタルジックなメロディが心に残りました。
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アデュー、ムッシュウ・ドロン (松たけ子)
2024-12-04 23:55:10
セレンディピティさん、こんばんは!
古き佳きフランス映画もトレビアンですね(^^♪アラン・ドロンは、映画史上最高の美男のひとりだと思います。ダークで怪しい美貌が好き。この作品では、ダークで怪しい役ではないみたいですね。いいひとなドロンも素敵そう。彼の出演作、この作品も含めてあまり観てないので、追悼のつもりでひっそりドロン映画祭やりたいです。おすすめ作品があれば、ぜひ教えてください(^^♪
関東在住時代、ル・シネマよく行きました!田舎者なので最初は意味もなく緊張しながら(笑)。トリコロール三部作や王妃マルゴとか忘れがたいです。
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☆ 松たけ子さま ☆ (セレンディピティ)
2024-12-06 00:18:14
たけ子さん こんばんは!
久しぶりのフランス映画、クラシックな雰囲気もあり堪能しました。
アラン・ドロン、すてきですよね。男性の美に厳しいたけ子さんのお墨付きでしたら、間違いありませんね。
この作品では怪しい雰囲気はなかったですが、プレイボーイのイメージが強い彼が、年齢を超えた友人のために一歩引いているところが意外でもあり、新たな魅力を発見しました。
ひっそりドロン映画祭、いいですね!
私はドロン映画はそれほど見てはいないのですが、この映画は人気が高い方だと思いますよ。
あとはご覧になられていなければ「サムライ」とか。
たけ子さんもこちらにいらした頃、ル・シネマよく行かれたのですね。
映画のセレクトがさすが!とうならされる、小さな名作が多い映画館という印象があります。
私も大好きな映画館です。
トリコロール三部作、見たいと思いながら見逃してしまったのですよね。
とくにジュリエット・ビノシュの青の愛はいつか絶対に見たいです。
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