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イサム・ノグチ 発見の道

2021年06月09日 | アート

東京都美術館で開催されている「イサム・ノグチ 発見の道」を見に行きました。

楽しみにしていたイサム・ノグチの展覧会。開幕翌日に東京都の非常事態宣言で閉館となってしまいましたが、6月1日から再開されたので、早速見に行ってきました。日時指定の予約制となっていて、比較的ゆったりした環境で鑑賞できました。

日本とアメリカの両方のアイデンティティをもつ20世紀を代表する彫刻家であり、工業デザイナーでもあったイサム・ノグチについては、これまでに何度か記事にしていますので、よかったらご覧になってみてください。

イサム・ノグチ庭園美術館(香川県・牟礼) 2018.08.26
映画「レオニー」(イサム・ノグチの母を主人公にした映画)2010.11.28
イサム・ノグチ美術館(ニューヨーク・ロングアイランドシティ)2007.10.14

3階にまたがる展示室のうち、最初の2階は写真撮影可能でした。知ってたらミラーレスカメラを持っていったのですが、今回はiPhoneでの撮影です。

作品は大きく分けて、石を使った彫刻、金属を使った彫刻、そして竹と和紙を使ったイサムおなじみの「あかり」シリーズの照明など。イサム・ノグチのインタビュー映像や、香川県牟礼にあるイサム・ノグチ庭園美術館を紹介するビデオもありました。

最初のロビー階の入口を入ると、「あかり」シリーズの照明をたくさん使ったインスタレーションがお出迎え。大小さまざまな照明が、少しずつ明るくなったり暗くなったりする様子は神秘的でもあり、幻想的な光景でした。

サークルストーン(お地蔵さん) 1980 花崗岩 

沖縄の石敢當(いしがんとう)を思い浮かべたら、お地蔵さんと知りなるほど!と納得しました。当たらずも遠からずでした。

無題 1988 花崗岩

石の面の仕上げによって全く表情が変わることに驚きました。「2001年宇宙の旅」のモノリスを思い出しました。

下方へ引く力 1970 アリカンテ産及びマルキニア産大理石

同じ横浜美術館が所蔵する「真夜中の太陽」に似ていますが、こちらは知恵の輪風になっています。

ヴォイド 1971 ブロンズ

香川県牟礼にあるイサムノグチ庭園美術館にある「エナジーヴォイド」の小型版で、こちらはブロンズで作られています。

女(リシ・ケシュにて) 1956 鋳鉄

リシケシュというのは、インドのヒンズー教の聖地のようです。この抽象的な造形からさまざまなことが想起されます。女性の神秘性と艶めかしさが表現されていてドキッとしました。

リス 1988 ブロンズ

ぱっと見てカタツムリかな?と思ったらリスでした。^ ^

びっくり箱 1984 溶融亜鉛メッキ鋼板

これは見てすぐにわかりました。Jack in the Box ということばが先に浮かびました。

あかりシリーズから。こちらはペンダントタイプですが、このほかに床置きタイプの照明もありました。イサムノグチの照明や家具は今でも販売されていますから、手に入る芸術作品というのがうれしいですね。

参考作品のフリーフォームとオットマン。ここにすわることもできます。

このさらに上の階には、石を使った大作の数々がありました。今回の展覧会は、作品タイトルが少し離れたところにあったので、まず最初に作品とじっくり向き合い、その後でタイトルを見て答え合わせ?ができるのがよかったです。

先にタイトルを見てしまうと、どうしても先入観にとらわれてしまいますものね。最後に、心に残ったイサム・ノグチのことばを紹介します。

”自然石と向き合っていると、石が話をはじめるのですよ。その声が聞こえたらちょっとだけ手助けしてあげるんです。”

どこか子育てにも通じる深い哲学だと感じ入りました。私は子育てに手をかけすぎてしまいましたけどね。^^;


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6 コメント

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和のテイスト (ノルウェーまだ~む)
2021-06-10 14:23:47
セレンさん☆
どこかほっこりするデザインが多いと思ったら、日本で幼少期を過ごした人なのですね・・・
実は30年前にノルウェーでイケアの照明が、まさにこういったデザインの和紙っぽいものが多かったので驚いたのですけど、日本でよくみられる和紙の照明は、外国ではとてもエキゾチックで好まれるわけですね~

後で答え合わせするって楽しいですね!
実はざっとお写真だけ先に拝見して、リシケシュが女性みたいだな?と思って当たっていたので嬉しかったんです♬
照明を背景にしたヴォイドのお写真も素敵☆
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☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ (セレンディピティ)
2021-06-10 21:30:53
まだ~むさん、こんばんは。
イサム・ノグチの作品、無駄をそぎ落としたシンプルな作品が
どこか日本の禅の精神にも通じるような気がします。
IKEAの和紙の照明は、私も最初にアメリカで見た時に驚きましたが
間違いなくイサム・ノグチの影響だと思います。
ファッションにしても、インテリアにしても
最初に芸術として生み出されたものが、やがてムーブメントを起こして
広く行き渡るという流れがありますよね。
(「プラダを着た悪魔」の中にも、ストリープのそんなセリフがありました)

リシケシュ、女性の体を思わせる艶めかしさがあって
ちょっとドキッとする作品でした。
今回写真が撮れなかった作品にもすばらしいものがたくさんあって
お見せできないのがとっても残念です。
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イサムさん (ごみつ)
2021-06-15 22:44:41
こんばんは。こちらにも。

この展覧会のチケットを、出版社さんからいただいたので、私も今月末頃見に行く予定です!もうオンライン予約もしました。

実は「鳥獣戯画」もいただいていたのですが、こっちはもう満杯で予約出来ませんでした。( ;∀;)

セレンさんの記事、とても良い予習になりました。楽しみです。
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☆ ごみつさま ☆ (セレンディピティ)
2021-06-16 00:01:30
ごみつさん、こちらにもありがとうございます。
ごみつさんも近いうちに、イサム・ノグチ展を見に行かれるのですね!
すごーくよかったですよ。(^_-)-☆ どうぞお楽しみに。
ごみつさんの記事も楽しみにしています☆

鳥獣戯画、やっぱり...というかすごい人気のようですね。
私も、世田谷美術館にアアルト展見に行きたかったのですが
予約しようとした時には、週末は既に満杯で。
予約制だと混まずにじっくり見れる一方
人気の展覧会は、入れないこともあるので残念ですね。
それも致し方ないですが...
返信する
Unknown (latifa)
2024-06-13 08:44:25
セレンディピティさん、こちらにも。
わー!この美術展に行かれていたのね。いいなあ!
実はこの企画をやっていたのは数日前まで知らなくて、モエレ沼の時に知った次第。
「あかり」の電灯が一杯並んでいる空間に立ってみたかったな。こんな風に一杯あると壮観、可愛い!

3つリンクが貼られていたので、それぞれ飛んで楽しく見せてもらいました!
残念ながら、2007年のNYのだけは見れなくなってしまっていましたが

あ!「レオニー」ご覧になっていたのですね。しかも劇場で!

イサム・ノグチ庭園美術館、こういうお家に住まわれていたのですね・・・。ずっと保存していて欲しいです。

思いがけず、一杯色々な情報や記事、大変楽しませて頂きました、ありがとう♪
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☆ latifaさま ☆ (セレンディピティ)
2024-06-13 23:31:32
latifaさん こちらにもありがとうございます。
イサム・ノグチが好きなので、喜び勇んで行ってきました。
これだけたくさんの作品を一堂に見られる機会はなかなかないので、すごく見応えがありました。
「あかり」の空間、圧巻でした!!

リンク先も見てくださってありがとうございます。
そう、最初に作ったブログは閉鎖されて、記事も見れなくなってしまったのですよね。とっても残念です。

「レオニー」latifaさんもご覧になられたのですね。
お母さんにスポットをあてた作品って珍しいので、興味深かったです。
レオニーを演じたエミリー・モーティマーも好きな女優さんなんですよね。

イサム・ノグチ庭園美術館、すばらしかったです。
作品と空間が一体となっていて、忘れがたい場所でした。

こちらこそ、見てくださってありがとうございました!
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