ランチの後、天王洲の YUKIKOMIZUTANI (TERADA ART COMPLEX II) で開催された、山本基さんの個展「時に宿る - Staying in Time -」を見に行ってまいりました。展覧会は5/6に終了しましたが、遅ればせながら記録を残しておきます。
山本基さんは、塩を使ったインスタレーション作品で国際的に活動されている、現代美術のアーティストです。私は、2015年に銀座の POLA MUSEUM ANNEX で山本さんの作品に初めて出会って深い感銘を受け、以来心に留めています。
今回は、コロナ下の2020年に THE GINZA SPACE で開催された土屋仁応さんとのコラボ展以来の作品展ということで楽しみにしていました。 これまでの山本さんの世界を継承しつつ、素材や表現に広がりが感じられ、発見に満ちた作品展でした。
かわひらこ(Butterfly)2023 Acrylic paint on panel
時を纏う(Shrouded in Time)2023 Acrylic paint on mirror
たゆたう庭(Floating Garden)2022 Acrylic paint on canvas
これまでの塩を使ったインスタレーション作品が、色彩を施したパネルやキャンバス、鏡の上に展開し、垂直に展示されていたので、え?!と驚きました。塩に糊を混ぜて固めているのかしら...?と不思議に思って、後でギャラリーのスタッフにお聞きしましたところ
アクリル絵具にガラスの粉末を混ぜたものを絞っているそうです。アクリル絵具だけでなく、ガラスの粉末を混ぜることで、塩で制作した時と同じくらいの立体感を出すことができるのだそうです。
塩の時には、お好み焼き屋さんが使うプラスティックの油さしを使って絞り出しているとお聞きしていましたが、今回はその油さしの小さい版を特注して絞っているとお聞きし、その油さしも見せていただきました。^^
塩を使ったインスタレーションは、いつも展示最終日に山本さんがボランティアの方たちとともに回収し、海に還すというプロジェクトをされています。閉展とともに消えてしまう、その儚さも魅力ですが、一方で常に飾っておけるアートもまた魅力的ですね。
時を纏う(Shrouded in Time)2023 Acrylic paints, natural pigments on wooden panel
横 8.5m ある大迫力の作品
時を纏う(Shrouded in Time)2022 Acrylic paints, crystal glass
1辺 8㎝ のクリスタルに施されたオブジェ
さくらしべふる(Sakura Shibefuru - Falling cherry petals)2023 installation (salt)
塩を使って散り降る桜の花びらを表現したインスタレーション。チェリーレッドの床が、山本さんの作品としてはめずらしく新鮮に感じられました。どのように作られたのか、気になってこれもスタッフにお聞きしましたところ
桜の花びらの形のクッキーの抜型のようなものを作り、そこに塩を絞り入れて作られているのだそうです。1枚1枚ていねいに仕上げられていますが、塩のわずかな厚みの違いで唯一無二の花びらとなっているのがすばらしい。
中心にいくほど、花びらが幾重にも重なっていて、そこには見えない木の存在を感じました。
時に宿る(Staying in Time)2023 digital drawing
別室に展示されていたデジタル・ドローイング。渦の模様がレリーフ全体を少しずつ埋めていき、すべて埋めつくされると、今度は時間がさかのぼって渦の模様が少しずつ消えていく、ということが繰り返されます。渦の模様が等高線のように見えました。
私もセレンさんにご紹介頂いて、POLA美術館へ見に行って塩のアートに感銘を受けてファンになった一人です!
何と今度はガラスを混ぜているのですね??
桜の花びらも塩で!?とビックリです。甘いピンク色に桜の花びらが塩というのが、桜餅の甘くてしょっぱいのを想起させます(食いしん坊でスミマセン)
まだ~むさんもPOLAの展示の時に見に行ってくださったのですよね。
本展では、新たな試みとして、アクリル絵具にガラスの粉末を混ぜたもので描いた作品があり、塩とはまた違った魅力がありました。
桜の花びらはどうやって作っていらっしゃるんだろうと思いましたら
花びらの型を作るところからはじめられたとは驚きでした。
チェリーレッドの床も目に鮮やかで新鮮でした☆