@妻からの遺言、それは夫に「最大のプレゼント」を用意することだった。出不精な夫を妻の故郷に旅をさせ、不思議な体験をさせ、最後には自分なりの自由で心ゆく「一歩」を踏み出せる勇気を与えることだった。 1通目の遺言で夫を旅をさせる仕組み、2通目の遺言で夫婦の絆と愛に感動し、涙する小説だ。「最大のプレゼント」の発想と夫の性格等を正確に読み取り、妻なき夫のその後の人生まで考えた仕組みはとても愛らしく素晴らしい。 旅での「奇遇」とは本当は世に仕組まれた出会いかも知れない。「遺言」それは寂しさと別れの言葉ではなく、その後家族・仲間を思い「生きている者への勇気のステップ」などの言葉に変化させたいものだ。
『あなたへ』森沢明夫
『BookDataより出典』富山の刑務所で作業技官として働く倉島英二。ある日、亡き妻から一通の手紙が届く。そこには遺骨を故郷の海に撤いてほしいと書かれており、長崎の郵便局留めでもう一通手紙があることを知る。手紙の受け取り期限は十二日間。妻の気持ちを知るため、自家製キャンピングカーで旅に出た倉島を待っていたのは。夫婦の愛と絆を綴った感涙の長編小説。
- 15年付き合った妻が癌で亡くなる。妻の遺言は「遺骨を生まれ故郷の海に散骨してほしい」と、もう一つの遺言は「生まれ故郷での書留郵便を受け取ってほしい」というものだった。
- 妻の座右の銘「他人と過去は変えられないけど、自分と未来は変えられる」。さらに「人生には賞味期限がない」
- 妻の思いはあまり出歩かない夫の性格を読み「最大のプレゼント」を遺言に遺す事だった。それは夫に生まれ故郷まで旅をしてもらい「今この瞬間」を大切に思ってもらう事。また、不思議な偶然の出会いに出会える事を望んでいた。 実際この旅で3つの偶然に遭遇、1つは刑務所で木工を教えていた元受刑者と会った事、2つ目は妻の同級生とあい親切にしてもらった事、3つ目は人生の賞味期限内に自由に心ゆくまで生きていく「一歩」だった。
- 2通目の遺言には「あなた」
- 「あなたと一緒に旅をしてみたかったです。新婚旅行のつもりで。」
- 「正直にいうと人生は思っていたより、ずっと短かったです。」
- 「自分の「生」を愛おしく思えるということは、私がとても幸せな人生を送れたという証しでもあります」
- 「あの海に散骨をしてもらえたら、いよいよあなたとお別れです。どうか、あなたは、あなたのこれからの人生を、自由に心ゆくまで生きてください。今回の旅は、私が強引に誘い出しましたが、これからのあなたには、あなただけの「一歩」があると思うのです。その一歩を踏み出して、どんどん素敵な人生を歩んでいってください。」