@明治から昭和の初めの農家、旧加藤家・旧秋山家で見つけた「嫁入り道具」の一つ裁縫箱・くけ台・鯨尺・鏝、機織、着物、オシメ(3枚目の写真)、など。ここは無料開放、整備された旧民家屋村。機織の実演、囲炉裏で焚き火、昔ながらの風情が蘇って来るかのようだ。
@人は何事にも全てに満足することはなく、いつも何かを探し求め、彷徨っている。子供のいない夫婦だけの生活が続くと、変化を期待したいことで生まれる偏見が、昔恋した夫に欠けたものを他の男に見つけ出し、心が揺れる。そんな恋心を描いた妻の心境の小説だ。結婚間のない子供のいない妻であり教師の隙間心を埋めようと、いつもと変わらない生活から何か物足りないと思いつつ、新たな出来事に反応していく、それに偏り始める。人には超えてはならない「壁」がある、また他人との間にも「壁」がある。人間関係の大切さは双方の「壁」、それは妻であり、夫であり、友人であり、親友であり、同僚でもある、を理解してこそうまくいくのだ。 それと「人はたまに何か無性に何かをやってみたいと思う、そうするとどこかに着くとような気がする」 馬鹿になることで自分をブレイクさせることもストレス解消に現代は特に必要かもしれない。
『切羽』井上荒野
- 第139回(平成20年度上半期) 直木賞受賞 かつて炭鉱で栄えた離島で、小学校の養護教諭であるセイは、画家の夫と暮らしている。奔放な同僚の女教師、島の主のような老婆、無邪気な子供たち。平穏で満ち足りた日々。ある日新任教師として赴任してきた石和の存在が、セイの心を揺さぶる。彼に惹かれていく──夫を愛しているのに。もうその先がない「切羽」へ向かって。
- 「切羽」とはトンネル工事または鉱石、石炭などを採掘する坑内作業の現場。一番先が「切羽」と言う。
- セイ、妻は赴任した男の先生に心を揺さぶられる。それは何か物たらない心の隙間をその赴任した男性に惹かれた。悶々とする中、同じ学校の独身の女先生が東京の男性と不倫をする。ある日、その男の妻が島に来て喧嘩となり、男は妻と一緒に東京に帰ってしまう。その日喧嘩別れで不倫の男を亡くした独身女先生は赴任してきた男性と寝てしまい、結婚すると言い出す。ところが数日後不倫した男がまた帰ってきて依を戻し始める。セイは心を寄せた男性が女の先生と結婚することに唖然となるが・・・
- 人はたまに何か無性に何かをやってみたい、「馬鹿みたいに踊ったり、闇雲に足ったり、大声を言ってみたりと、どこかにつくような気がする」