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「秘め事」を絶対明かせない心理『雁の寺・越前竹人形』

2019-10-08 06:05:00 | 人生を「生かす」には

@この小説は、誰にも言えない隠し事、それはたとえ親族でも隠し通したい事を常に抱えながら辛身に耐え、我慢し、自分を生んだ母親に憎しみを持った人生の物語である。自分だけの秘め事が誰かに漏れる事は絶対にあってはいけないと思う心境が日頃の姿勢に出てくる。それは時とともに隠しきれない状況にもなる。だが一旦それが公になる事で自信をなくす自滅を意識しだすかもしれない。人には一つや二つは他人に知られたくない秘め事がある。それは生涯、自分だけにとどめておくことが良しとしなければならない。

『雁の寺・越前竹人形』水島勉

  • 「軍艦頭」と罵倒され、乞食女の捨て子として惨めな日々を送ってきた少年僧の孤独と凄惨な情念のたぎりを描いて、直木賞に輝く「雁の寺」、竹の精のように美しい妻玉枝と、彼女の上に亡き母の面影を見出し、母親として愛情を求める竹細工師喜助との、あまりにもはかない愛の姿を越前の竹林を背景に描く、哀しみを全身に秘めた独特の女性像をうちたてた「越前竹人形」。
  • 「雁の寺」
    • 預けられた異様(軍艦頭)な小僧(寺僧)が育ての住職を殺害する。それは住職への恨みと、自分の母は乞食であり、母への恨み、絶対誰にも明かすことができない秘密を隠し持っていた。 それは寺の部屋にある雁の襖の絵(母の絵)に隠されていた。 小僧は最後にその襖の絵の母の部分だけを破り寺をさった。
  • 「越前に竹人形」
    • 幼い頃母を亡くし父親だけで育てられた職人男が時を経て父を亡くすと今までの職人の腕を磨き生活を余儀なくされる。その時父が作ったとされた竹細工の人形が父の恋した女性に贈ったものだったと判る。それがなんとも巧妙にできた人形で市中に高い評価を受けて商売として作成、商売繁盛となる。実はその人形は亡き母の姿に似ており、父の恋した女性に瓜二つであり、職人男も惚れた。 その後女性は職人男と結婚するが最後まで妻ではなく、母としての存在を頑なに守った。実は結婚した直後に昔馴染みの男性と会い妊娠、悩みに悩み狼狽するが体の異変で堕胎する。他の男との妊娠、それは決して夫には言えない生涯の秘め事になった。