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偉業とは「他人のやれないことをやる」『百年先が見えた男』

2024-10-12 07:45:21 | 経営・リーダーシップに必要な事
経営者たるべき姿「世のため、人のため、他人のやれないことをやる」信念を見せつけられた。戦争前後の苦難を乗り越え、「国産原料で国産製品を」(倉敷レイヨン:ビニロン)をとことん追求、最後には国交のない中国へのプラント輸出で戦争で失われた両国民の蟠りをも腐食する事業を成し遂げた大原總一郎氏はすごい人だ。また、大原總一郎氏は今後日本文化を重要視、多くの文化財を遺す偉業も忘れてはならない。現代、観光立国としての日本は今その時を迎えている
『百年先が見えた男』江上剛
『概要』「すごい経営者がいた!日本オリジナルの合成繊維の事業化、そして国交回復前の中国へ――。敗戦後の日本人の誇りを取り戻させた大原總一郎の激動の人生を描いたノンフィクションノベル。松下幸之助に「美しい経済人」と評された稀代の経営者・大原總一郎――。
数々の分野でシェアNo.1を誇る企業=現在のクラレを創り上げた男の生涯は、波乱に満ちたものだった。国産第一号の合成繊維「ビニロン」の事業化や、国交回復前の中国へのプラント輸出……。激動の昭和史を背景に、“百年先が見えた経営者”と言われた男の生涯を描く感動の企業小説。『天あり、命あり』を改題。
「クラレ」(旧倉敷紡績・倉敷絹織、その後倉敷レイヨン)を創業一家、孫三郎・總一郎・謙一郎の創業から戦後の復興、再生するまでの苦難等を記した立身書。戦争により事業を解体、航空機製造を余儀なくされ社員は徴兵。戦争で工場は消滅、会社は解体され資本110億円~160億円を国にGHQに寄付、社長を辞任し国の復興物価庁次長を数年歴任する。その後社長に復帰し事業復興のため国産の原料を使った「ビニロン」(日本人の、日本人による、日本人のための合成繊維)へ全力投球していく。一番の障壁は15億円という莫大な建設資本を必要としたが国の大物を説得、さらに国の渉外を乗り越え中国への輸出する。
昭和34年岡山、富山、倉敷工業設備増設で売上238億円(内ビニロン126億円)
昭和36年国交がない中国へのプラント輸出計画、米国、台湾、日本での牽制
        米国は日本が中国と関係を改善することに不満を持った
        昭和38年日本が承認(大平外相、田中角栄大蔵大臣、福田通産大臣)
    文化交流を率先させるべく大原美術館、民藝館、考古館を昭和5年から新設
ー公務員の給与・物価価格
    昭和21年540円、昭和23年6月2990円、同じく12月4863円となる
    昭和21年小麦粉10kgが21円、塩1kgが1円1銭、昭和24年それぞれ45円、21円66銭
アメリカの調達(朝鮮戦争景気)
    昭和25年から日本からの調達軍需物資(朝鮮戦争へ)10億ドル
    アメリカ軍による国内消費を換算すると36億ドルにも達した(当時換算1兆3千億円)
ー一家の教訓
・教育方針「強くあれ」「卑屈になるな、ごまかすな」「至誠無息」
・「人は如何に生きるべきかを考えない経営者はダメだ」(哲学+聖書)
・「まだやったことのない新しいことを、失敗なしにやり遂げることが真の経験だ」
「10人の人間がいてその中の5人が賛成することを言ったら、大抵のことは手遅れだ。せいぜい10人のうち2、3人位が良いと言ったときに仕事はやるべきで、一人もいいと言わないときにやるとそれも危ない」
・「日本がこれから国際社会で認められ、再び輝くためには技術立国であるべきだと考えております。独自の新しい技術でイノベーションを起こしてこそ真の発展があります。それこそが戦争に負けて自信喪失に陥っている日本人に勇気を与え、立ちあがろうと奮起させるのだと考えています」(首相・大臣に対して建設資金15億円支援の陳情)
・「経営者の責任というのは、技術革新による利潤、社会や国民経済に貢献することによって得られる利潤でなくてなならないんだ」(企業の社会的責任)
「なにもかわっとらん。官僚というものは前例踏襲ばかりでどうしようもない」
・「アメリカという国は、神よりも効率的な利益を重んじる国なんだ」
・中国と取引する際は、筋道を通し、人として道理を尽くさなければならない」
・「成長を目指せば目指すほど、日本人が古来から持っていた良きものを破壊する。愛する祖国を西欧化し、先進国の植民地にしてしまうことに加担してしまう。日本人は一体なにをより拠り所にすればいいだろうか」(日本文化伝統の継承、重要性)