志太泉オフィシャルブログ

静岡県藤枝市の地酒の蔵元。志太泉酒造のブログ。違う角度から見た日本酒の現在とは

フランスワインの憂鬱

2007-11-01 00:00:23 | 飲み物ならなんでも味見レビュー
ちょっと前になりますが10月25日(木)NHKにて「クローズアップ現代 フランスワイン危機」を放送していました。仕事中ですがつい見てしまいました。

概要をNHKのサイトから引用すると

世界のワイン生産の65%を占めるヨーロッパのワイン産業がいま危機的な状況に追い込まれている。
南米やオーストラリア、アメリカなどのいわゆる「新世界ワイン」と呼ばれる安価なワインに急速に市場を奪われ、多くのブドウ農家が廃業に追い込まれる事態となっているのだ。
さらに、追い打ちをかけるように、EUは、今年7月、これまでのワイン産業に対する保護政策を大きく転換、補助金の廃止やブドウ畑の減反、そして新規参入の自由化といった大胆な改革案を打ち出した。
グローバル化の中、競争原理によってワイン産業を復活させるというのが狙いだが、こうした改革が進めば、小規模な農家と醸造所が長年伝統を守ることで育んできたヨーロッパの多彩なワイン文化が失われることになるのではないかという懸念も広がっている。大きく揺れるヨーロッパのワイン産地のいまを描く。

この中での私の感想。
○フランスでは、よくフランス人は自国の酒に誇りを持っているのに、対して、日本人は日本酒に対して下等なものだと思っているという「決まり文句」があるが、フランス人もコストパフォーマンスの良い「新世界ワイン」を買っているという事は、大衆的なアルコール市場においては、あまりこの「決まり文句」は機能しないのではないかと思われる。
○日本酒は(現時点では)グローバルな生産市場がないだけワインより恵まれている。
○概要にはないが、フランスでも有名シャトーのワインはさらに高騰していて、その要因には市場のグローバル化がある(らしい)。日本酒でも、将来日本国外市場が拡大した場合、グローバル市場の中での需給関係により蔵元も高級化に特化したような一部の好調蔵とそれ以外に二極化する可能性がある。
○保護政策と市場原理のせめぎあいは日本もヨーロッパも共通ですね。

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10 コメント

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Unknown (さっちゃん)
2008-10-30 06:30:30
こんばんは。ワインのことを調べていたら、このページに当たりました。
そういう番組があったのですね。知りませんでした。
見ていないのでどういうルポをしていたのか知りませんが、フランス人は「新世界のワイン」なんて、ほとんど全く買っていないと思います。というか、売っているのは一部の商店をのぞいて見た事がありません。
第一、自分の国でつくれ、政府が買い取って捨てるほどあるのに、海の向こうから輸入するわけないし、輸入なんてしたら高くなってしまうではありませんか。
もちろん、安価なスペインやイタリアのワインが流入しているということは、地方によってはあると思います。

それよりも問題なのは、フランス人のワイン離れです。若者はどんどん飲まなくなり、ビールの需要が増えています。

何か誤解があったみたいなので、投稿してみました。
それでは。。。


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Unknown (shidaizumi2006)
2008-11-13 14:06:11
コメントありがとうございます。
コメントの最大の趣旨は、「フランス国内のワイン需要においては、新世界ワインはほとんどない。」という点だと思われます。

その放送内容は、以下のブログの方が詳しく書かれております。
http://blog.goo.ne.jp/may_w/e/49099cbf5cf8253616f13745bf6c2112

 これは、NHKのクローズアップ現代という看板番組の中でのレポートでございましたので、素直に「パリ一番のワイン専門店でも40%がニューワールドのワインで、フランスの消費者もニューワールドのワインを買うのに抵抗がなく、むしろ積極的に買っている姿を映し出していました。」という放送内容をまずまずの信頼性にある情報として判断したわけでございます。
もちろんNHKだから信頼性があるという考え方には、妥当性がない事は認めます。

 私自身は、ワインにつきましては門外漢で、フランスにも行った事がございません。
 ですから、まずフランスにおけるワイン需要の現実という点について語るには不適当でございます。フランス国内における、酒販の現状についてはさっちゃん様の貴重なご意見は真摯に伺いますが、それが普遍性をもつかどうかの判断は保留させていただきたいと思います。
フランス国内におけるワイン輸入につきましては、
http://wind.ap.teacup.com/elbecko/157.html
こういう考察もあります。

 フランス国内需要の中の輸入分が多いように感じられます。これについては、ご指摘のとおり、スペインやイタリアからの流入の比率が多い事は常識的に想像されますので、新世界ワインの輸入分について言及できるわけではありません。

ですから私の感想も、「フランスでは、よくフランス人は自国の酒に誇りを持っているのに、対して、日本人は日本酒に対して下等なものだと思っているという「決まり文句」があるが、フランス人もコストパフォーマンスの良い「他国ワイン」を買っているという事は、大衆的なアルコール市場においては、あまりこの「決まり文句」は機能しないのではないかと思われる。」
と訂正します。

 「第一、自分の国でつくれ、政府が買い取って捨てるほどあるのに、海の向こうから輸入するわけないし、輸入なんてしたら高くなってしまうではありませんか。」この部分につきましては、同じ価格(海の向こうからの輸送コストを含んだ売価)で新世界ワインの方に品質優位性がある場合には、通常の場合は市場としては成立する可能性はあると思われます。
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Unknown (さっちゃん)
2008-12-04 04:34:43
丁寧なお返事ありがとうございます。昔のものだったので、まさかお返事いただけるとは思っていませんでした。

確かに、自分の知っている範囲だけさして「フランス人は」というのはよくないですよね。私は南フランスに住んでいて、始終パリに住んでいる人が「フランス人は」と言っているのに対して「それはパリのことでしょう? 南フランスは全然違うよ。ちゃんとパリの人は、って書いて」と思っているのに、自分が同じ間違いをしてしまいました。反省です。。。

南フランスはワインの生産量は大変多いので(質はそれほどでもないケースが多い)、AOCじゃなくても安くて美味しいワインがたくさん出回っています。だから安い輸入物が少ないのかもしれません。
(全国チェーン店の場合はかなり画一的ですが、それでも地方色はありますので)。

特にパリはまた違うのでしょうね。都会の人々はより目新しいもの好きでしょうし。

あとおっしゃるように、市場原理は別の問題ですね。
日本だって米があまっていても中国から輸入しているのですから(事故米が話題になりました)、量の問題ではなく、政治ですよね。

ただ、フランス人が自国のワインに誇りをもっているというのは本当だと思います。買う買わないとは別問題であって、「どこの国にも負けない。世界一」というプライドはもっていると思います。

あと、アドレスいただいたHPを見て思ったのですが、もしかしたら、普段絶対に行きたくない安スーパー(毎日そこで買って食べていたら健康を害しそう)に行くと、「格付けのない安ワイン」として、外国のものがたくさん売っているのかも。
ジュースを買うくらいしか利用しないのですが、今度じっくり見てきます。

いろいろ発見があって面白かったです。ありがとうございました。



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Unknown ( さっちゃん)
2008-12-04 04:42:17
追伸:
「パリ一番のワイン屋」ってどこでしょうね。。。?
今パリにいるので、知りたいです。画面では写っていたのでしょう。
思うに外国のものというのは、新しい物好きの最先端か、安いという理由で出回るか、どちらかという気がします。
もちろんもっと一般的になれば、この枠を出るはずです。
でも私にはどうしても、フランスにおける新世界のワインはこの域であるような気がしてなりません。。。
自分の感覚が正しいかどうか、もっと観察してみようと思います。
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Unknown (shidaizumi)
2008-12-04 20:36:34
再度コメント頂き誠にありがとうございました。
むしろ、私の方こそ門外の分野になまいきなコメントを致しまして申し訳ありません。

現代はインターネットで情報だけは、過剰に収集する事はできます。ですから自論になるべく優位な情報だけを選択してその情報の確実性を精査しないまま論拠する手法がございます。
私の前述のコメントもその意味においては、批判を免れ得ないものだと反省しております。
現場の感覚(この場合でしたら、フランスでのワイン事情)については、さっちんさんの方がはるかに精通されておられると思います。現場の感覚と信頼のおける情報というのをうまく組み合わせればかなり包括的な現況というのに近づくと思います。
またフランス人が自国ワインに誇りを持っているというのはこれは基本的に同意します。
もしかすると、フランス国内でも移民系の人々においては、経済的な理由から他国産ワインの消費率が多いのかもしれません。
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Unknown (shidaizumi)
2008-12-04 20:39:35
「パリで一番のワイン屋」については、すみません、完全に記憶がありません。たまたま見たので録画もしてなかったので..
返信する
Unknown (さっちゃん)
2008-12-06 01:40:08
何度もすみません。すごく興味がわいたので、スーパー行ったついでに見てみました。報告します。

行ったのはパリ11区、ナシオンという地下鉄駅の所にあるチェーン店、CASINOです。このスーパーは、都市にも郊外(大型多し)にもあり、ランクとしては「極めて並」と思っています。

この店の大きさは中くらい、向かい合った列2列がワインコーナーです。今はそのほかにもボージョレーヌーヴォーが別棚で売られています。
赤が半分強でしょうか(南フランスのほうがロゼが多いんですよね)。残りはロゼ、白、シャンパン。季節がらシャンパンが増えてる印象です。

おおまかに、160種類くらい赤ワインがありました。

スペイン産 4、5種類くらい
イタリア産 2種
モロッコ産 2種
チリ産 1種
カリフォルニア産 1種
アルゼンチン産 1種
あと他は全部フランス産でした。。。

見落としがあるかもしれませんが、やっぱり新世界物は全然多くなかったです。オーストラリア産が1本もなかったと思います。

「ワインは専門店でしか買わないよ」という人もいますけど、たいていの人はスーパーで買う、あるいはスーパーと専門店と両方利用するパターンだと思います。なので並みのスーパーチェーン店で売っていないことの意味は大きいのでは、と思いますが、、、どうお感じになりますか。

今度、カジノよりやや上の感じのスーパー「モノプリ」(都市に多し。こ洒落た高めのものも売ってる)と、うんと下の「ED」(健康に悪そうなスーパー)も見てみます。

ご迷惑でなければまた報告しますが、迷惑だったらおっしゃってくださいね。投稿やめますので。。。
読んでいただいて、ありがとうございました。
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ぜひお願いします。 (shidaizumi)
2008-12-07 01:14:48
本当にリポート頂きありがとうございます。
ここは基本的にどんな内容でもコメントは歓迎しております。

素直に読んで、フランスの一般的な家庭では、国産のワインが飲まれているとういうことでしょう。

となると
①1年前のNHK放送の時と状況が変化した。
②NHKが放送のシナリオとして新世界のワインの影響を現実以上にあおった。
③文脈に沿えば、健康に悪そうなスーパーで低所得者層が買っている。

他にも考えれば、いろいろ考えられると思います。
①だと為替レートはそんなにユーロ対各通貨は変わってないと思うので、市場であきられたとか、なんらかの政策が発動したとか
②については、この放送の解説者的に出演された
立命館大学の山下 範久様のお考えかもしれません。
http://www.nttpub.co.jp/webnttpub/index.html
ワインとグローバリゼーションの第6回のところに
「近年、フランスのワインは、特に国際市場で(実はフランス国内市場でもなのですが)、いわゆる「新世界」のワインに押されています。」という言及がありまので、ただ押されているというのはこれだけ微妙な表現ですね。

南フランスはロゼが多いというのも面白いです。暑いからですかね。
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Unknown (さっちゃん)
2008-12-07 04:23:42
お返事いただき、ありがとうございました。
今度、ギャラリーラファイエットというデパートのワイン売り場と、健康に悪そうなEDの両方を見てみますね。どうせ、デパートにはクリスマスプレゼントを買いにいかないとと思っていたので。

ワインのチェーン店もありますので、どこかで通りかかったら見てみようと思います。チェーン店以外のワイン専門店は、おそらくフランス人の性格からして、店主の方針が色濃く反映されるような気がするので、見るなら複数みないといけないなと思います。

南フランスがロゼが多いのは、やはり気候だと思います。地中海性気候の、日差しが強く、風がさわやかで、やや乾燥している気候にはぴったりです。

前に東京の某一流ホテル勤務のフランス料理のシェフが、南フランスにあるやはり一流ホテルのレストランに研修にやってきました。そういう交換留学(?)のような制度が、世界の一流ホテル間のネットワークであるそうです。

地中海を見ながら食事をとってロゼを飲み、「そうか、ロゼってこうやって飲むものなんだなあ。赤と白っていうのはわかるけど、ロゼっていうのは今ひとつよくわからなかったんだ。ここでやっとわかったような気がする」と言っていました。

フランス全体でロゼの需要が増えているという記事もよんだことがあります。ロゼの方が気楽でフレンドリーな感じがするからでしょうか。ビールの需要も、特に若者の間ではますます増えていることを考えると、赤ワインの重厚さが古くさい感じがするのかなと思ったりもします。(でも相変わらず多数派ですが)。

あと、料理の変化でしょうか。バターやクリームをつかったこってりした伝統的フランス料理が敬遠されがちになり、ヌーヴェルキュージーヌは基本的にカロリーが少なくて自然派の料理です(地中海料理っぽいとも言えます。あとは和食の影響)。それには白やロゼのほうが合うのかもしれませんね。

日曜日はどこもかしこも閉まっているので、また来週!
よい週末をお過ごしください。

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Unknown (さっちゃん)
2008-12-23 03:38:08
こんばんは。
色々あって急にパリを離れないといけなくなったので、遅くなりました。あの後、パリのデパートであるギャラリーラファイエットに行ったのですが、どうも今後も含めてあまりにも長くなりそうなので、これからは自分のブログに書こうかと思います。
今までのことはhttp://saolienpaca.blog.so-net.ne.jp/に今回まとめました。この中にこちらのブログの引用がございます。十分気をつけたつもりですが、もし不備な点がございましたら、お知らせください。
削除する、あるいは逆にこちらのホームページアドレスを掲載するなど、ご希望に添いたいと思います。
面白いテーマに気付かせてくださって、本当にありがとうございました。これからもこのテーマを自分なりに追って行きたいと思います。
最後に、フランスでも、寿司ブームに乗じたのでしょうか、サケは人気です。何かわかりやすい指標のようなものがサケにもあれば、もっと外国人に受け入れられるのになあと思ったりします。これは政治の領域になりますが。。。
これからもちょくちょく寄らせていただきます。更新、楽しみにしております。


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