華道家 余田紫甫(志穂) 

いけばな嵯峨御流・華道家 余田紫甫の海辺の街での楽しいくらしと花を愛する日々

梅子黄なり(うめのみきなり)

2013年06月12日 | BOOK
梅子黄なり(うめのみきなり)

梅の実が熟して色づくころ、季節は梅雨、しとしと降る雨を恵みに

これは日本の季節を七十二等分した七十二候です。

立春、春分などの二十四等分した二十四節気は耳にすることも多いと思います。

今の季節は丁度

芒種(ぼうしゅ)

稲や麦など穂の出る植物の種を蒔く頃の事。稲の穂先の針状の突起を芒(のぎ)といいます。

暦といけばなは密接しています。
常に季節を感じ、昔からの年中行事を大切にし。
現代では忘れられかけている太陰歴を大切に守りたい。

そんな一冊に巡り合いました。

『日本の七十二候を楽しむ』-旧暦のある暮らし-



枕元に置いて寝る前、目覚めに読んで
季節を感じる習慣にしています。

繊細に季節を敏感に感じてきた日本の文化は素晴らしい。
季節の風物詩、昔の暮らしの知恵も満載です。


不道徳教育講座 

2011年07月15日 | BOOK
1958年に「週刊明星」に連載された三島由紀夫の随筆
「教師を内心バカにすべし」
「知らない男とでも酒場に行くべし」
「大いにウソをつくべし」などのタイトルで
当時の世の中の流行や常識がうかがえて面白かった。
映画化・TVドラマ化もされたとあるから当時はかなり話題だったのかも。


私の知ってる三島由紀夫は、
純文学作家。 その後右翼的な思想を持ち、切腹で最期を遂げた事くらい。

それが意外!この文章を読んでると実にイケテル男性って気がした。
俗な事も派手な遊びも好きそうだし華やかな交友関係をお持ちだし
もちろん女性が好きで、ボディービルで体を鍛えて、TVに真っ赤なシャツで登場して読者から抗議の手紙を頂くような人
お洒落にも世間の流行にも敏感だ。銀座の夜遊びが好きそう。
もし私がこの時代に毎週この連載読んでたら、、女子会とかの会話で
『最近 三島いいよね~~あんな男近くにいないかな~~』『私も!好き好き!』
『銀座のどこのBARに行ったら三島に会えるんだろう?』『一度一緒に飲んでみたいわ~~』
とか言ってそう(笑)

ここに書かれてるのが昭和40年代の事とはびっくり事も沢山出てきます。
昔の時代の方が粋な人間が多く、遊びやお洒落も恋愛も面白い。
この時代に既に恋愛はここまで自由だったんだ~~
それに今時の若者は・・と嘆かわしい様な事も書かれていて、
それはいつの世も同じなんだな~
不道徳教育講座 と言いながら 終わりあたりは道徳的になったり
当時の世の中の批判する内容になったりして
まじめな三島由紀夫が垣間見れたりする。

本書の中に何か自殺する人の事が出てくる 嗜めたり 批判したり
ここでは自分は自殺をするたぐいの人間ではないと言ってる
その三年後にあの切腹。

今更ですが三島由紀夫という人物に興味津々。
KATSUMIさん本書オススメありがとう!!面白かったです。
自らでは絶対出会わなかった一冊です。


ヨダが来っつぉー!逃げろー!

2011年06月02日 | BOOK

三陸海岸大津波 (文春文庫)
吉村 昭 (著)

昭和45年(1970年)に書かれたものです。
明治29年、昭和8年、そして昭和35年のチリ地震。三度の大津波の
前兆、被害、救援の様子を体験者の貴重な証言などを記録した書。
著者がこの地を自分の足で調べ徹頭徹尾「記録」に徹してる分だけ過去の悲劇と津波の恐ろしさが
ひしひしと伝わってきます。
解説にも未来に伝えられるべき貴重な記録 大切な伝言として受け止めたたいと締めくくっていて
まさに同感です。
今まで知らなかった事、沢山学びました。

昭和8年の津波では天皇陛下から御下賜金として被災者に贈られ
国会開催中であったので衆議院では議員1名につき10円の寄付金を集めて
被災地の贈ったと記録されている。
日々NEWSでうんざりする政治家の足の引っ張り合。
その時間やお金をもっと建設的に使って欲しいと切に願う。私たちの血税。

ところで本書の中で何度も何度も ヨダ=津波と出てくる
東北の言葉で 津波は昔から ヨダと呼ばれ恐れられている・・・ちょっと微妙。
もともと、会社で会議の合間の雑談でこの本の話になり
本を読まれたお二人が。。。とても言い難そうに・・・
本の中にヨダ・ヨダって出てくるんでよね~~
東北では津波をヨダって言うんだよね~~って本を貸し手くださったのだ。
それにしてもこんなに沢山、ヨダ=恐ろしいと出てくるとは・・読んでて複雑です。

近々東北に行きたいと思ってるが ・・・
『ヨダです』って名乗り難いやん。
ヨダはヨダでも津波のヨダじゃないだっぺ!!怖がらないでケロ。

「ヨダ(津波)が来っつぉー!山さ逃げろー!」
http://hanasukko.exblog.jp/8288012/
こんな民話ページも見つけました。

ヨダダヨ



きもの 著 幸田 文

2010年11月11日 | BOOK
この本と巡り合えてほんとうによかったと思える一冊です。
『きもの』というタイトルに惹かれて手にとってみましたが
明治~大正時代から現代を生きる私のとっても心に響く生きる知恵がぎっしり詰まってます。
感じ方、考え方に関して教わった本です。
幸田文の初めて作品ですが他も読みたくなりました。
大好きなきものの事も沢山出てきて楽しめました。

主人公るつ子は
子供の頃からメリスン(モリスンともいう昔のウール素材)・銘仙(めいせん)・セル(昔のウール)
を着ると体がかぶれたり、繊維の匂いで蒸せて気分が悪くなったり、発熱する始末
綿入れを着せられ動き難いと袖を引きちぎり、
縮緬(ちりめん) 羽二重(はぶたえ) 綸子(りんず)などの上質の絹を手に
取って恍惚とする・・・
生まれもって着物の着心地に魅せられた利かん気の少女
自分だけじゃなくクラスの女子の袴(はかま)の襞(ひだ)だらしないのが許されず
本人に詰め寄り、それを注意した教師までも口で言い負かす頑なさ
そんな人一倍感じやすいるつ子の気持ちを家族で一番理解して目をかける祖母

人との付き合いの上でよかれと思ってやったことが裏目に出た時
お前はまだまだ考えが足りないと人の心理の奥深さを教える祖母
アンダーラインを引いときたいくらい心に響く箇所が沢山ある

家族構成がるつ子は三姉妹にお一番下が私と一緒、それに兄が一人(うちは末弟だが)
姉妹が衣服で喧嘩するのは時代が変わっても同じだと納得。

るつ子は子供の頃の利かん気な性格から
人の為に自分を犠牲にする様な健気な娘に成長していく。

着物を脱ぐ時、自分で脱ぎ散らかした長襦袢や肌襦袢などをみたら
これからずっとこの小説が浮かんでくるであろう。

きもの着る人もそうじゃない方もお勧めの一冊
時を経てまた読みかえしたい作品です。

利休にたずねよ 山本兼一

2009年09月10日 | BOOK
読み終えて、本を閉じてしばらく、目を閉じて静寂に浸りました。
久しぶりに本に圧倒された
もう一度最初から丁寧に読み返したい衝動に駆られます。

『間違いなく今年のナンバーワンや』っとKさんが貸してくれた一冊
直木賞を受賞したので存在は知っていた。
読み進んで残り少なくなるのが悲しくなる、読み終わりたくないという思いが強くなるとまで言うから
なかなか凄い作品なのだろう。期待をしてページをめくる。
最初の章からぐいっと強烈に引きこまれました。
文章自体がとても美しい。美しい日本語に観せられて行きます。
一語一句も漏らさず丁寧に読みたい、、っと強く思った。

華道は長年勉強していますが、
茶道については経験はほとんどなく母・姉や茶会で客としてお茶を点ててもらった程度。

日々の雑事に追われ、慌しいく乱雑な自分の日常生活。
物事の上っ面だけしか見れて無い様に感じ恥ずかしい。

”一期一会”  今一度この言葉を噛締めたい。

自分の進む華の道にも大きな影響を与えてくれました。

侘び寂と称しながら
内面にほとばしる熱を隠しもって、わかる人には判ってしまうその“艶”

床に活けた一輪の朝顔を際立たせる為に、
庭に咲き誇るすべての朝顔も刈り取ってしまう

妾宅に飾られた椿の花の咲き加減が落ち着かないと無言で立ち去ってしまう

生まれ持ってのずば抜けた審美眼は幸か不幸か?
たぶん不幸。
この様な男を愛してしまい愛されてしまった妻も妾も恋人も 幸か不幸か?
気楽な凡人の方が幸せ?やはり不幸かも。

一輪の椿の位置・茶匙の竹の節位置 
利休にはすべて一番美しい姿が見えている。
高麗の女の最期も利休が求めた究極の美の結果で、
永遠に自分の心の中で美しく留める為だったか?
とは私の勝手な推測と解釈。

戦国時代、これほど茶の湯が浸透し、歴史に影響をあたえていたとは勉強になりました。
歴史小説でもあり、芸術小説でもあり、恋愛小説です。
茶道・茶の湯の事を知らなくても、興味がなくても読んで損はないし楽しめる作品。

花器と花材を目の前にして、、さて、利休ならここでどうされる?
これから花を活ける時、厚かましくも頭の中で問うてみたくなる。

★★★★★


のうぼうの城 ・忍びの国   

2008年12月17日 | BOOK
著 和田竜

久しぶりに本の話。
ふとしたきっかけでYUCKYと本に貸し借りが始まり、最近、時代小説にはまりました。
私が借りたこの2冊。とてもよかった。
身近な人の薦めでないときっと選ばないジャンル。

この小説を書くにあたって読まれた膨大な参考文献には驚くばかり。
事実に基づいた出来事をこれほど面白く描ける才能はすごい。

”のうぼうの城”は大好きな犬童監督ので映画化が決まっており
(正確には映画の為に書かれた脚本を小説化したとの事)
こちらも非常に楽しみ。

忍びの国は子供の頃よくとずれた伊賀の国の忍者にこんな深い事情が
あったのかと改めて知らされた

ちなみ私が薦めたのは この2冊
憑き神様 
壬生義士伝 
浅田次郎 (どちらも映画化されました。映画いいです、役者もええ。)

そしてこちらは時代は江戸の物語

宮部みゆき あやし・堪忍箱


江戸時代の短編集。
宮部氏の時代物をはじめて読んでみました。
どれも無駄のない文章でスラスラと読んでしまった。すっと背筋が寒くなって、、
次の作品へとすぐに進みたくなる憎い旨さ
東京で生活する様になったからこそ楽しめた。
大川(隅田川のこと)を越えて深川のまだ先の大島(逗子の前に住んでた!)へと向かったり
永代橋を渡るとくだりが出てきます(まさに会社から見える景色)
あとがきに宮部氏自信が深川生まれで
この本を書くにあたって、門前仲町から日本橋まで実際に歩いてみたとありました。
私が日々歩く街がぐっと身近に感じられた。
江戸の時代の町の活気が伝わってくる。。。。


走ることについて語るときに僕の語ること 村上春樹(著 )

2008年02月05日 | BOOK
村上春樹の本は昔の作品を数冊読んだ事がある。(そういえばちょっと前にアービングの翻訳本も読んだな)
エッセイは読んだ事なかったので著者の事について何も知らなかった。
表紙の写真は走るイメージのモデルと思ってたので、本中の写真をみて
著者本人だと知ってびっくりした。(私の中で勝手な村上春樹像が出来上がってた)
すごいいい体だ!
フルマラソアン・トライアスロン・100kmマラソンに挑んだ時、著者が感じた事が綴られてる。
しかもマラソンがこんなに世の中に浸透してない時代から走りはじめている。
淡々と乾いた感じの文章が心地よく、一気に読んでしまった。
私にも走ってる時の自分の気持ちあんなに上手く表現出来たらいいな。

大会を2週間後に控えて、、もう少し早くこの本に出合えてたら
マラソンに向けての体の準備も間違いなく変わっていたと思う。
もう遅いはないので、、これからでもいいと思うけど、、、
著者も納得が行くまでまだまだ走り続けると締めくくってるのだから
私もまだまだこれから始まったばっかりだ。

走る事以外にも作家になったきっかけだとか作家になる前の事を初めて知った。
この本は会社の友人がマラソンを控えた私に是非と貸してくれた。
彼女自身は春樹ファンで新刊は必ず書うらしく、この本をきっかけに走り始めたと言う。
最近、走り話題に華が咲くお相手だ。

村上春樹のファンでこの本がきっかけで走り始めた彼女と
走る事が書かれてるから読んだ本がきっかけで村上春樹ファンになり始めてた私。
なんか面白い。

まず、昔読んだサリンジャー”ライ麦畑でつかまえて”を村上春樹翻訳で読んで見たい!
いや、その前に、大会を終えたら、もう一度この本を読もう。
共感する部分が更に増えてるかもしれない。

そういえばフルマラソンを出る準備にはすごくなんかないだろうけど
単純に手帳につけて走った距離を足して見ると
1月はトータル100km越え走った事になる。


MEETS 別冊 東京出張

2007年10月18日 | BOOK
本屋で見つけて思わず買いました。
MEETSは京阪神の通なお店が乗ってるお役立ちのグルメ&情報誌。
広告的なグルメ誌じゃないく、ホントにおいしいおもしろいお店を紹介することで我が家の評価は高いです。
東京に来て、グルメ本買おう買おうと思いつつ今になり、、、
あえて関西人が東京に来た時用の本を買う。(笑)
関西人(出身で東京在住かな)の目線でセレクトされたお店の数々。
ふむふむ、、Meets的、いい感じのお店載ってる載ってる。
行った店があったらうれしいし。
Meetsの何が好きってコメント・文章がおもしろい。
本誌もそのグルメ記事はもちろん充実してますが、後ろの方の読み物の項が非常におもしろかった。

ここは関西人in東京♪(言わずと知れたスティングのカバー)をBGMでお願いします。

”乗り換えの基本の『き』”の項では、
よそ者には複雑すぎるな地下鉄の乗換えを丁寧カツわかりやすく解説してくれてる。
私が毎日乗ってる横須賀線(&総武線)は地底人王国とか言われてるし。(笑)
大江戸線もひどいらしい。(地下6階?)
目的地までのルートを多様ななかから選ぶなら、駅数に惑わされることなかれ、
乗換えが一駅以上歩くとかで結局時間かかるなど落とし穴もあり。
地下鉄は古い程、地上に近い!(覚えるべし!)

”ザ・東京ルール”の項には
????と思いながら聞けなっかった関西人納得の話しが満載。
私も先日経験した、大阪ではありえないタクシーの運転手さんの道のしらない&声小さい。
関東人は会話の中にオチや笑いはなくていい。
東京のディスカウントショップは既にディスカウントされてるので値切りはなし。
人の多さになれてる東京の人は辛抱強い。見栄っ張りでシャイなどなど、、、

そして、なかでもおもしろかったのは
”関西で言うたら”の項
私も関東に遊びに来てた時から必ずと言っていい程、○○って関西で言うたらどこ?と人に聞くし、考えてしまう。
(例えて言うなら、京橋・鶴橋ってのがやたら多い!中には十三、布施ローカルもあり。)

芦屋が田園調布じゃなく二子玉川で田園調布は帝塚山の方がぴったり。
自由が丘は岡本。
堀江は代官山
鶴橋は新大久保というより上野の方が近い。
新世界は浅草
池袋は京橋(乗換えとピンクがおおい)
大手町は淀屋橋(オフィス街、夜は閑散)
京橋(東京の)は堺筋本町
丸の内は西梅田(丸ビル=ヒルトンプラザ)
京都三年坂は鎌倉
などなど納得のオンパレード!

逆に関西では決して言えない街もたくさんある。秋葉原・六本木.....
関西の私鉄をこちらの私鉄に例えるのは各私鉄の特徴をまだよく知らない私にイメージつかめてはありがたい。

但し、この楽しさを共有出来るのは関西人同士で!
こんなことペラペラ話しても、関東の人には面白くもなんともないハズ。

本誌に出てくる4コマまんがで一ヶ月の東京出張から帰ってくる旦那が
奥さんさて置き、”これがないとやっぱり寂しいい~~~”帰るなりTVをつけると、
そこには”大阪ほんわかテレビ”昼後はんでっせ~~~というオチ。
ものすごく共感する私。
やっぱり”ひるごはんでっせ~~”恋し、、、王様のブランチとはやっぱり違う。


夜は短し 歩けよ乙女  森見 登美彦

2007年10月10日 | BOOK
会社のY君がすこし前に朝礼で紹介した。
高校時代の後輩でまた自分の友人が担当編集者という偶然が重なり
手にしてみたらおもしろかったと。
タイトルがなにやら興味深く早速借りて読んでみた

すっかり不思議ワールドに入り込んでしまいました。
しかもとてもシアワセな気持ちにさせてくれる本です。
まず、かわいいヒロインに夢中になってしまいます。
二人の恋の行方も気になるところですが、
何よりも次々に出てくる人物がおもしろすぎる。

ヒロインの彼女のお酒の飲みっぷりは共感しました!
幻のお酒、偽電器ブラン を水の如しの飲みっぷりには感動する。
BARで知り合ったナイスミドルにちょっと飲むピッチが早いんじゃないか?と言われて
”のんびり飲んでたら醒めてしまいます”
さっらと答える彼女は確かに只者じゃない。
それでもって清楚で純粋・無垢なところがたまらない。

第2章では古本市を舞台に、作者の気持ちいいくらい本のオタクっぷりを披露されてます。
そこに出てくるは懐かしの大島弓子・萩尾もとの名前(漫画家)
わかった!大島弓子ワールドを彷彿とさせます。
それとも現代版ルイス・キャロル、彼女は不思議の国を旅するアリスだな

読んでるといろんな映像イメージが浮かぶ、映像化して欲しいような、
イメージと違う作品、キャストなら絶対して欲しくない気がする。
第一章の怪しい夜の街は鈴木清順監督?

そして京都の四季がとても美しく描かれてて、すごく京都に行きたくなりました。
と、、、、タイミング良く、12月に一人で京都に泊まる予定があるのです。
”夜は短し 歩けよ乙女”
夜の木屋町・先斗町でこんなおもしろい事、起こることを期待しながら、
偽電器ブランを探し求めて、夜の京都に繰る出してみよう。

森見 登美彦氏の次作も是非読んでみたい。

おまけですが、、、45-10さんも自身のmixiで絶賛。なんだかうれしい。


思いわずらうことなく愉しく生きよ/ 江國香織

2007年09月26日 | BOOK
裕福な家庭でのびやかに育った3姉妹の物語
冒頭はそんな3姉妹に自分の姉妹も当てはめてみたり、のほほんと文章を楽しんでいた
が、読み進めると、そんなのびやかさから想像もつかない
3人それぞれが大きな秘密、かかえた問題が現れて来る。
都会で暮らしストレスにさらされた人間のちょっと、いや、かなり病んだ部分を
独特の表現で描いているので江国ワールドは決して社会派の小説にはならない。(気がする)
本当ならとても重く、暗い気持ちになるのに、、ラストは爽快に明日も頑張ろうと思える。
3姉妹の誰にも自分はあてはまらないけど、ぐいぐい物語りの中に引き込まれた、
気がつけば自分の幼い頃、姉妹と過ごした懐かしさを感じていた。
どこの姉妹でも姉妹でしかわからない、、ゲームの様な遊び、共通語 あるんだね。

江国を読むと必ず思い出す人がいる。
どうしてるかな~~っと思い、そしてコンタクトする、、これ読んだ?っと(二人とも文庫になるの待つのだ!)
そう、私に江国の本を勧めてくれたのはYUKAちゃん。
だから、、江国を読む時、絶対YUKAちゃんを思い出す。

先日、私の誕生日に丁度、東京出張があり一緒に久しぶりに濃厚に過ごした(笑)
彼女といるとそこが銀座のオシャレなお店であっても、
品川の駅の構内のおじさん立ち並ぶ居酒屋であっても、どちらも無敵な感じになれる。
飲んでる最中にやっぱり!と席を立ち、新幹線を一時間遅らせてくれたりすると、、、
もう、YUKAちゃん大好き!と抱き着きたくなる!
そして最後は品川駅の新幹線乗り場までお見送りした。
東京で人を見送るのは初めてのシュチエーション。じんわりさみしい。

YUKAちゃんは、いつも、とびきりおいしいものを知ってる。
今回のお土産はほんとおいしかった。 黒船のOSAK RASQ なかなか手に入らないらしい。

そして、、まだ夏に間に合った!
とプレゼントしてくれたGALLAR DAGALANTEのブルーのブレスレットは
この夏ずっと私の左腕、ずっと一緒だったよ。

ほんとにありがとう♪(言うのが遅い!ごめん!)

また今度は東京?大阪で江国の本と二人の好きな音楽と人生を語ろう♪


一流の男、二流の男

2007年05月01日 | BOOK
著者:里中李生(さとなか りしょう)

いわゆるHOWTO本はほとんど読まないが、たまたま部署の人が会社の朝礼スピーチで
出張の電車の中で一気に読めた本として紹介したので興味がわき借りて読んでみた。

文章のテンポがいいので軽快に先に進んで、中たるみなくいっきに読めてしまう。
要は男の勝手言いたい放題な訳だけど。
部分的にはどうかと思うか箇所も多々あるにせよ
自分の考えに文句を言わせない、文句は受けつけない強さを感じて許せてしまう。
私は著者が文中で嫌うフェミニストでないし
男の言い分にイチイチ目くじら立てたりしないタイプなんで
男が描く理想郷を面白く垣間見せてもらい楽しめた。

軟弱男よりは強い雄が好きなので、共感するところも沢山あった。
著者が若い頃病気を患って苦労したみたいなので、
世の弱き男性に時間を無駄にするな!と渇を入れてます。

時間を作ってまで読む必要はないが暇な時に読むにはいい。

万葉の時代に生まれてたら

2007年02月16日 | BOOK
田辺聖子さんの”文車日記 ~私の古典散歩~”はとても面白いです。
昔の時代の人達が生き生きと瑞々しく蘇って描かれてます。
あの時代の人達の生き様、特に恋愛は田辺さん流の推測を交えて実に見事に描かれてます。
小難しくて敬遠しがちな古典の世界がなんと魅力的な世に思えることか、、
もし自分がその時代に生まれてたらっと想像力も豊かになります。
そして時代は変わっても人間の本質は変わらないという事もよくわかる。
万葉の時代に恋心を歌に託して送りあう男女。
それに返歌で応えたりして、、、あ~~楽しいだろうな~~
言葉を巧みにあやつれて、センスの良さがモテの基準になったんだろうな~~
返事がないと一日千秋の思いでヤキモキもしたんだろうな~~

それって、現代の恋愛事情に共通しますね。。
レスは早る気持ちをま押さえて、ちょっとじらしてみたり、、、
いかに気の効いた言葉で返事をするか考えあぐねたり
今のMAIL社会も万葉の世も変わらないかも、、、

もし万葉の世に生まれてたら、、
私はそこそこモテてたと思う。(笑)

それにしても田辺聖子さんの読書量ってすごい、、ぜったい真似出来ない。


絵國香織ワールド

2006年11月17日 | BOOK
彼女とは絶対友達になれない!!
『スイートリトルライズ』の最初の1ページで感じた主人公に対する気持ちは
江國さんのどの作品にも共通する。
友達に慣れないと言うか、共感も理解も出来ないまったくの別の生き物だ
実生活では回りにいて欲しくないとさえ感じる。
そして作品の中で主人公も単純明快でとてもわかり易い私みたいな人物が出てくると
その人物に対して拒否反応や理解不可能だったり違和感もったりしてるから笑える。
(今回の作品の中では単純明快キャラはズバリしほって名だった(笑))
でも、、気がついたら作品にのめりこんで、江國ワールドに引き込まれている。
私が過ご事のない時間や生活がそこにあって
読んでる間中、妙になつかしいく、心地よく、落ち着いた気持ちになる。
彼女が描いたら、、不倫も浮気も同性愛もアルコール中毒もヘビースモーカーも
透明感があって、ぜんぜん生々しくないから不思議。
大抵の小説では主人公に感情移入したり、共感しながら楽しむのだけど
江國作品は主人公がまったく別の人種だから、
想像を超えた行動もすっと受け入れられてしまう。

それと江國作品はいつも強烈に東京を感じるのです。
私にとって東京=非現実かな。

ちょっと肌寒くなった秋の午後に読むのが一番心地よくって似合う。
(コーヒーじゃなく紅茶)
江國作品は本屋で見つけたら買わずにいられない。
それが江國中毒。

ワイルドスワン

2006年04月21日 | BOOK
ワイルドスワン 著:ユン・チアン

私の生まれてから幼かった頃、世界は平和の方向に進んでいたように思う。
戦争は過去のもの、過去の過ち、、もう2度と起こらない事、
少なくとも私は思っていた。
日本人(特に私の世代に限って)は平和ボケしてるように思う。
世界は平和に向かって動き始めてると信じてた私の子供の頃
この本は、隣の国中国で実際に起こっていた話です。
その事実の驚愕した。(少しの知識はあったもののここまでとは想像しなかったと言う方が正しいかも。)

大人になって平和って言葉が嘘っぱちで、偽善だと気がつき始めた、
今も世界のあちこちで起こっている多くの国と国・個人と個人の争いをみて
人間は争う・戦う、その果てに殺しあうという本能を完全に捨てることは一生出来ない生き物では?
と恐ろしいことを考えてしまっていた。

それから、、少なくとも表面上は驚くほど変わった。
文化大革命から10数年後に ”上海ベイビー”とうい作品が生まれたほど変わった。
ワイルドスワンを読んでから(知ってから)なお更、上海ベイビーは衝撃な作品となる。
まだまだ得体の知れない国。とういのが私の中国への見方。

著者ユン・チアンのその後の作品
マオ―誰も知らなかった毛沢東 も非常に興味深い。

引き続き、、本の話

いけばな教室の場所を貸していただいてるHASEGAWA氏はかなりの読書家で
家で眠ってる蔵書の一部を事務所に持ってこられて、Officeに出入りする方に貸し出しされています。
この本もその中からKAZUNAさんが見つけたのがきっかけでした。
(なんでもご両親に薦められたとか、、)
私の踏み込んでないジャンルや作家がいっぱい♪
これからもHASEGAWA文庫活用させていただこう。。

そして昨日のお稽古時、読書話題に花が咲きました。
自分のお気に入りの作家や作品、今話題のあの作品はどうだったとか、、
人と本の話をしてると話題つきませんね。
気になりながら読めていない作品・作家に俄然興味が出てくるし、
どうしても普段偏ってしまいがちなのを打破出来る!人の感想や意見聞くと楽しいです。
これをきっかけに学生の読書クラブのりで行きたいもんです。
友人の家に行ったら、本棚にも興味深々になります。読書センスを垣間見るというか、、
(そういう私のセンスはどうなんだか、、、)

私は時間のあるとき文庫本片手にお風呂で半身欲しながらの読書がっ好き!
たっぷりの汗をかけてリラックスして、、贅沢な時間。
しかし、、本は湿気でよれよれになるのでご注意!大切にしたい本や人に借りた大事な本は駄目です。
あとは、通勤時間が忙しい一日の唯一の読書タイムかな、、、
みんなはどんな時に本読んでるんだろう、、

もっとBlogで感銘を受けた本のことも書きたいんだけどな、、


東京タワー

2006年01月06日 | BOOK
東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~ (著)リリー・フランキー

大晦日の日に家に帰る電車の中で読み終えました。
泣きました。
男なら無条件で大泣きでしょうね。
女の私はいろな立場で考えもしました。
女としてオカンの立場にもなって考えたし
自分が、リリーさんの彼女やったら、、と考えたら
こんな濃い親子の情には正直、ちょっと嫌悪すると思う。
どうあがいてもオカンに勝たれへんわけで
彼の人生の中で常に一番の女がいるのはツライ。
 
リリーさんの文章はドロドロさを感じさせない。
男は大小あれどみなマザコンなのだと、、、
 
そしてオトンの描きが笑えた。憎めない人。
オトンの”リアップ”のコメントは最高。つぼにはまった。
ヤンソギルの”血と骨”のアボジとやることは似てるようでも
笑いがある、、憎めない、そこが違いです。(どちらも好きな小説ですが)
 
そう言う私はファザコンかな。
父の喜ぶ顔は正直うれしい。父と私は家族の中で無類の酒好き同士。
自惚れじゃないですけど世の中、私とお酒を飲むのが楽しい言ってくださる男性が沢山います。
(もう少し弱ければとの条件もつきますが、、、)
しかし父程私と飲むことが至福人だと思ってる人は世の中にいないかも。
このお正月の喜びようったら♪ そう私も開き直ってファザコン。
 
本の話に戻りますが、、
この本を読んでる最中に、読み終えたら、無性に薦めたいっと思った人がいました。
ところがまだ私が読んでる途中に、、
こんな本知ってる?実は泣きしましたとMAILがあって、、すごくびっくりした。
そして、ほんわかうれしくなりました。
男が電車の中で泣いちゃいかんよ!
と言いながら私も電車で初めて泣いたよ~~(笑)
( 確かに泣きましたが、、泣きが先行して号泣本と思われるのはイヤ)

 ぎりぎりで2005年の心に残ったBOOKですね。
 
とりあえず我が家の唯一の息子である弟に読んで欲しいな。

去年の春に初めて登った時の写真です。