山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

樹木の癒着

2010-12-16 20:20:25 | 植物(木本)
画像の複雑な形をした樹木は、城陽市の鴻ノ巣山にある珍木の一つですが、元々一本の木だったのか
それとも2~3本の木が癒着したものかは不明です。

取り敢えず、中央の2本には何れにしても明確な癒着が見られます。
植物の種類にも依りますが、一般に同じ種類の木ならば、樹皮の下にある形成層を接触させると
この様な癒着が起こります。この木の場合も、2本の幹が擦れ合って樹皮が傷ついた結果、形成層が
接触して癒着したものと思われます。

農業や園芸でよく使われる接木や寄せ木などの技術はこの性質を応用したものです。
この画像のケースは人工的に行われる場合で言うと寄せ木にあたります。

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チャノキ(茶の木)

2010-12-13 17:15:50 | 植物(木本)
 日本茶を含め、世界の多くの国で飲まれている殆どの茶の原料植物であるチャノキは
中国の雲南省あたりが原産地であることが、近年のDNA研究などで明らかになっています。

 わが国では、平安時代には既に貴族の間で茶を飲む習慣があったようですが
その当時には、山野に自生する山茶が使われていた可能性もあります。

 チャノキの栽培が本格的に行われ始めたのは、中世になって臨済宗の開祖、栄西禅師が
2度に亘る渡宋の際に持ち帰った茶種を佐賀県の背振山に植えたのが始まりとされ、現在
栽培されたり野生化しているものも、この子孫と言われています。

茶畑で栽培されるものは、丸く刈り込まれる場合が殆んどですが、山野に自生する
ものでは高さが10㍍近くになるものもあります。

初冬から真冬にかけて咲く花は不規則な形の5弁花で完全には平開しないようです。


チャノキ <ツバキ科 ツバキ属>  常緑小高木





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色鮮やかになってきたサネカズラの果実

2010-12-12 21:41:46 | 植物(木本)
先月1度UPしたサネカズラの果実です。前回撮影時はまだ冷え込みが弱かったせいで
暗紫紅色の黒ずんだ色になっていましたが、ここ数日の冷え込みで一変して本来の美しく
鮮やかな色を見せています。

しかし、別名のビナンカズラ(美男葛)は、前回にも触れましたが、この果実の美しさに由来する
ものではなく、蔓枝に含まれる粘液成分が、男性の整髪料として用いられたことによります。


サネカズラ <モクレン科 サネカズラ属>  常緑蔓性  別名ビナンカズラ





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イズセンリョウ(伊豆千両)

2010-12-11 17:38:50 | 植物(木本)
イズセンリョウは山地に生えるヤブコウジ科の常緑低木です。
名前のイメージからは伊豆地方を中心とする関東が主な生息地のようですが、
関東では茨城県がほぼ北限で、本州ではそれより西の全域と四国、九州、沖縄などに
分布しています。

伊豆地方に多いとする説もありますがどうも納得のいかない命名です。
むしろ西日本を中心に分布する植物と言ってもいいような気がします。

雌雄異株で、果実は直径約5㍉の球形で乳白色、結実初期の実はツルリンドウのように
残存する花冠に包まれている時期があります。

葉は互生し、長さは6~15㌢の長楕円形。先端は鋭く尖ります。
葉の表には艶があり、葉脈は主脈と側脈の部分が深い溝になって目立ちます。


イズセンリョウ <ヤブコウジ科 イズセンリョウ属> 常緑低木






ヤブコウジ科では珍しく、赤い実ではなく白い実を付けます。


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センダン(栴檀)の果実

2010-12-09 06:53:01 | 植物(木本)
クリーム色に熟したセンダンの果実が、初冬の青空に映えて中々見事な眺めです。
よくヒヨドリがこの木に群がって実を啄ばんでいるのを見かけるので、ヒヨドリの
大好物という印象がありますが、真冬になってもかなりの数の実が残っているところを
見るとそれほど食べてはいないのかも知れません。

センダン <センダン科 センダン属>  落葉高木


このセンダンの白く熟した実には、「栴檀坊主」などという可愛い呼び名もあるようです。
果肉はヒヨドリやムクドリが好んで食べますが、家畜や人間に対しては猛毒で、人間では
8~12個位が致死量になると言われています。


果肉を取り除いた核果、5つの稜を持つ核は非常に硬く、中には複数の部屋があり、
扁平な形の種子が4~5個入っています。


核果の断面、扁平な形の種子が4個入っているのが判ります。
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タラヨウ(多羅葉)

2010-11-26 21:53:34 | 植物(木本)
タラヨウはモチノキ科の常緑高木で、神社の森などでよく見る木です。
葉は15~18㌢の長楕円形で厚く、表面には光沢があり、葉の大きさでは
我が国のモチノキ科の中では最大です。

10~12月に熟す果実は直径6~8㍉の球形で、葉腋に多数が密集して付きます。

里山でも、山頂部や自然林ではあまり見かけないところをみると、
昔は神事や仏事などに使うために人為的に植えられていた名残りなのかも知れません。

葉の裏に尖ったもので字を書くと、やがて書いた字の部分が黒く浮き上がるところから
「葉書の木」とも呼ばれ、各地の郵便局にシンボルツリーとしてよく植えられています。


タラヨウ <モチノキ科 モチノキ属>  落葉高木


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サネカズラ(実葛)の果実

2010-11-25 22:18:49 | 植物(木本)
サネカズラの果実が赤く熟してきました。
別名をビナンカズラ(美男葛)とも呼びますが、名前の由来はこの赤い果実を
美男子に喩えたということではないようです。

この蔓性の枝には粘液が多く、昔は男性の整髪料として粘液が使われていた
ことに由来する名前だそうです。

今年は夏の天候の影響によるものかどうか判りませんが、昨年と比べると
色の鮮やかはいまひとつです。

このサネカズラは常緑樹としては珍しく、冬が近づくと葉や葉柄の一部が赤くなりますが
落葉樹のように枯葉となって落ちることはありません。

冬が近づくと葉に糖分を多く取り込むことによって、水分に含まれるアントシアニンなどの
濃度を高くし、葉や茎を凍結から守っています。

常緑の蔓性植物ではこれの他にテイカカズラなどもこの時期に葉や葉柄の一部が
赤くなりますが、これと同じ理由によるものと考えられます。


サネカズラ <モクレン科 サネカズラ属> 常緑蔓性






これは昨年の12月中旬に撮影したものです。


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アオハダ(青膚)?

2010-11-18 06:51:06 | 植物(木本)
里山の藪の中で赤い実をいっぱい付けた木を見つけました。
初めてみる樹木です。

まだ紅葉(黄葉)していませんが、ウメモドキなどに見られる
葉にモチノキ科特有の黒い死斑が出ているので多分モチノキ科の樹木だと思います。

同定にはあまり自信がありませんが
短枝が発達していて、その先端に実が付く特徴などから一応、
モチノキ科のアオハダを候補にあげておきます。



アオハダ <モチノキ科 モチノキ属>  落葉高木

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ウメモドキ(梅擬)

2010-11-14 09:32:16 | 植物(木本)
モチノキ科の樹木の多くは晩秋から赤い果実を結びますが、その中でも
枝いっぱいに果実をつけるこのウメモドキが特に美しく人目を引きます。

果実は落葉した後も、枝に残り、冬の間も長く目を楽しませてくれることから、
庭木としてもよく植えられています。

しかし見頃というと、やはりまだ緑の葉が残るこの時期が一番でしょう。
この赤と緑のバランスは実に絶妙です。

和名は「梅擬」で、6月頃に葉脇に咲く、淡紫色で4㍉ほどの花の形が
梅の花に似ていることによります。



ウメモドキ <モチノキ科 モチノキ属>  落葉低木



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オトコヨウゾメ(男莢迷)

2010-11-12 22:01:23 | 植物(木本)
日当たりのよい山地に生えるガマズミ属の低木です。
鮮やかな赤い色の果実とは対照的に、やや黒ずんだ地味な色合いの紅葉を見せています。
どちらかというと、赤い果実が主役で、葉は引き立て役というところでしょうか?

和名の漢字表記は「男莢迷」で、莢迷とはガマズミのこと、頭に「男」と付くのは
実が不味くて食べられない、染料として使えないの意味だそうです。
要するに「役に立たない」ということでしょうか?

私見ですが、どうも植物の名前の先頭に「男」や「犬」などが付けられるとロクな意味はなさそうです。




オトコヨウゾメ <スイカズラ科 ガマズミ属>  落葉低木

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ムラサキシキブ(紫式部)

2010-11-11 17:54:17 | 植物(木本)
ムラサキシキブの小さな実が美しい淡紫色に熟しています。
庭木として植えられるコムラサキに比べ、実は少なく、やや疎らに付きますが
素朴で清楚な雰囲気は、”紫式部”のイメージにより近い気がします。

このムラサキシキブの古名は「玉紫」で、それが京都では紫色の実が重なるという意味で
紫重実(むらさきしきみ)と呼ばれていましたが、言葉のもつ響きからの連想で
源氏物語の作者、紫式部のイメージを重ね合わせ、ムラサキシキブの名で呼ばれるようになりました。


ムラサキシキブ <クマツヅラ科 ムラサキシキブ属> 落葉低木

今はまだ緑色の葉を付けていますが、落葉の後も実はかなり長く枝にとどまります。



すぐ近くの木の梢に冬の渡り鳥、ジョウビタキが止まっていました。
お目当てはどうもこのムラサキシキブの実のようです。
この鳥は冬の間は雌雄共に単独行動で、春の渡りの直前にカップルが
成立し、繁殖はロシアの極東地域や中国で行われるため、ひな鳥の
姿は日本では見ることができません。

ジョウビタキ <スズメ属 ツグミ科>  冬鳥

画像の個体は雌鳥、雄は下面のオレンジ色が濃く、中々美しい
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ホツツジ(穂躑躅)

2010-08-29 21:47:17 | 植物(木本)
ホツツジは日当たりの良い山地に生えるツツジ科の植物ですが、ツツジ科としては珍しく

8~9月に花を咲かせます。


花冠は3裂し、先は反りかえりますが、開花後は比較的短い日数で落花するためか整った形の

花があまり見られません。

雄蕊は6個で白く扁平、花柱は長く約7㍉で先端は上に曲がります。


この植物の花や葉は有毒で、食べると嘔吐、下痢、神経麻痺などの症状が出るので要注意!


同科同属には他に、高山の森林限界近くに生えるミヤマホツツジがありますが、花柱は本種

より短く、花冠の裂片の幅はもう少し広いようで、花の形は本種より整っています。




ホツツジ <ツツジ科 ホツツジ属>  落葉低木






こちらは高山に生えるミヤマホツツジです。
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サネカズラの雌花

2010-08-22 22:06:08 | 植物(木本)
秋に熟す球形の赤い実が美しいことから、別名をビナンカズラとも呼ばれます。

モクレン科の蔓性植物で、8月に固い質感のある1.5㌢位の淡黄色の花を咲かせます。

雌雄異株または同株で、稀に両性花が付くこともありますが、どういうわけか、

この株を含めて、近くで雄花や両性花は未だ見たことがありません。

雄花は比較的、早期に落花するのかも知れませんが、そのことについては

今のところ確認していません。

花弁と萼は共に淡黄色で区別が付け難く、合計数で9~15個ほどになります。

画像に見られるように、雌花は受粉の後、花床が膨らみ秋に向かって、

赤色の美しい実へと変身していきます。



サネカズラ <モクレン科 サネカズラ属> 別名ビナンカズラ  常緑蔓性




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クサギ(臭木)

2010-08-19 22:10:12 | 植物(木本)
山野の林縁で日当たりの良い所に普通に見られる落葉小高木です。

名前が示すように、枝を折ったり葉を揉むと独特の強い臭気がありますが、

春の新芽は山菜として食され、水に晒してアク抜きをすると中々美味しいそうです。

しかし、許せる範囲を超えているとも言える耐えがたい悪臭を発するこの植物を、

最初に食べてみようなどと考えた人のチャレンジ精神には、ただただ驚かされる

ばかりです。

一方、8月の熱い季節に次から次へと咲く花は、悪臭のする葉や茎とはかなり離れたイメージで、

中々清楚でおしゃれで可愛い花です。



クサギ <クマツヅラ科 クサギ属>






花は合弁花で、萼は5裂しますが当初は袋形で、その中から花冠が伸びてきます。花冠は5裂し
やや後方に反った形で、長い雄蕊が4個と、それと同じ位の長さの雌蕊が1個あります。
萼の色は個体差があって、画像のような白っぽいものの他、ピンクや赤紫色のものがあります。


吸密のために飛来したナガサキアゲハ、元々は九州や南西諸島だけに
生息していたようですが温暖化の性か、最近では近畿~関東でも生息が確認されています。
クロアゲハに似ていますが、後翅に尾が無く、赤色の混じった白紋が艶やかです。この個体は♂ですが
♀の個体は白紋が大きく、特に美しいそうです。


同上、翅表



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ヤブコウジ(藪柑子)の花

2010-07-06 09:47:27 | 植物(木本)
木津川河川敷の竹藪で最初に蕾を見つけてから3週目になりますが、

ヤブコウジの花がやっと開花しました。

薄暗い竹藪でひっそりと咲く小さな花をわざわざ見に行く人はいないと思いますが

この姿は何とも可愛いものです。

ただ腹ばいになって撮影する時は藪蚊の猛攻撃に少々参りました。

ここでは虫除けスプレーもほとんど効果がありません。



ヤブコウジ <ヤブコウジ科 ヤブコウジ属>  常緑小低木



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