山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

シャラノキ(沙羅の木)

2010-06-29 17:04:38 | 植物(木本)
山を歩いていると、樹皮を剥れたような赤褐色の木をよく見ます。

今がちょうど花期で画像のような白い花を咲かせています。

この木の名前はシャラノキで、別名をナツツバキ(夏椿)とも言います。

漢字では「沙羅の木」と書くので、平家物語冒頭の「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。

沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。」に出てくる

”沙羅双樹”として扱われることもありますが、実際は正しくありません。

お釈迦様が亡くなられた時に、傍らに生えていたと言う沙羅双樹は熱帯植物で、植物園の

温室などでは見られますが、日本の気候では絶対に育ちません。



シャラノキ <ツバキ科 ナツツバキ属>  別名ナツツバキ





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ラクウショウ(落羽松)

2010-06-17 21:41:14 | 植物(木本)
ラクウショウは北米東南部~メキシコの湿地帯が原産の落葉高木で、日本では明治時代に

導入され、植物園や国有の保安林などに植樹されたものが現在も残っています。

かなりの高木で原産地では高さ50㍍、直径3㍍に達するものがあるそうです。

少しメタセコイアに似た雰囲気ですが、変わった点は、木の周囲に膝根と呼ばれる呼吸根を

林立させていることです。

この呼吸根は公園などの普通に植樹されている所では、ほとんど見られませんが、沼や湿潤地

などで土中の根からの酸素の摂取が困難な場所では多く見られるようです。



ラクウショウ <スギ科 ヌマスギ属>  落葉高木 別名/ヌマスギ







膝根と呼ばれる呼吸根、公園などの適湿地や乾燥地では、ほとんど発生しないので、
植えられていても、メタセコイアとの区別は難しいようです。


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夏に咲くサカキ(榊)の花

2010-06-14 19:35:59 | 植物(木本)
サカキは漢字で書くと木偏に神と書くことでも分かる様に、我が国では昔から枝を玉串として

神前に捧げるなど、主に神事用に用いられてきました。

主に関東地方から西の山地に自生するツバキ科の常緑高木ですが、比較的温暖な地域に生育するため

関東以北では同じツバキ科のヒサカキが玉串として使われています。

花期はヒサカキが2~3月であるに対して、このサカキは6~7月に花が咲き、

花は、ヒサカキの花が直径が5~6㍉であるのに対し、このサカキの花の直径は約15㍉ほどあります。

葉は鋸歯がなく全縁で分厚く光沢があります。



サカキ <ツバキ科 サカキ属>  別名/マサカキ




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イワガラミ(岩絡み)

2010-06-12 23:15:42 | 植物(木本)
この植物は山地に生え、蔓性で気根を出して岩や高い木に這い上ります。

遠くから見ると、同じ生態を持つアジサイ属のツルアジサイと極めてよく似ていますが

ツルアジサイの場合、装飾花の萼片が3~4個で花弁状であるのに対して、イワガラミの

装飾花は1個で葉状になっています。

しかし高い木の上の方に花が咲いている場合などでは、双眼鏡での確認が必要になります。


イワガラミ <ユキノシタ科 イワガラミ属>






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ソヨゴ(冬青)の花

2010-06-05 20:46:15 | 植物(木本)
今の季節、何もこんな地味で小さな花を撮らなくても・・・・

確かにそうですね。よく注意をして見ないと咲いていることすら

誰にも気付いてもらえない可愛そうなほどの小さな花です。

しかしながらこの時期にしか見られない花であることも事実、

撮らなければならない理由がもう一つあります。

この木はモチノキ科ですから当然、雌雄異株で、画像の花は雄花。

雌花は美しく真紅に熟していくのですが

雄花は受粉が終わる頃には寂しく散るのみです。

同じ♂でもよくぞ人間の男に生まれけり・・・などと安堵していていいものか?



ソヨゴ <モチノキ科 モチノキ属>





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センダン(栴檀)

2010-05-30 19:48:46 | 植物(木本)
木津川河川敷の雑木林でセンダンの花が見頃を迎えています。

この花の花弁は5枚あり、雄蕊は10個で、濃い紫色の花糸が合着して筒状になった上部の内側に

黄色い葯が見えています。

果実は10月頃に黄色く熟し、葉が落ちた後も枝に残ります。生薬で整腸薬などに使われますが、

「毒をもって毒を制する」類、基本的には有毒で、生の果実7~8個で致死量に達するとも言われています。

食べるのは避けるべきでしょう。

諺にある「栴檀は双葉より芳し」の栴檀はインドネシアから東南アジア原産の香木、白檀(ビャクダン)の

中国名で、本種とは全く別の植物です。

近くに居ても”香り”と言えるほどのものが無いこの植物に「センダン」の名前が付けられた背景は

よく分かりませんが、葉はアメリカセンダングサによく似ています。


センダン <センダン科 センダン属>





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サルトリイバラ(猿獲茨)の花

2010-05-03 05:35:49 | 植物(木本)
サルトリイバラは山で低木の生い茂った日当たりのよい藪を歩くと、よく棘が衣服に引っかかり

苦労することでお馴染みの蔓性低木です。

光沢のある葉が美しく、生花店で生け花のアレンジ用に売られていることもあって、一般的には

サンキライ(三帰来)の名前でも知られています。

今、花の咲く時期を迎えていますが、ご覧の様に如何にも葉が未成熟な黄色い色をしているので

この様な状態では市場に出回ることはありません。

身近に有りながら少し馴染みが薄い花ですが、改めてこの花を観察すると、透明感のある黄色の花被片には

絹のような光沢があり、陽光を浴びると黄金色に輝いて見えます。

私達山野草愛好家は、ともすれば珍しさを優先するあまり、見慣れたものの美しさを見逃しがちですが、

もし仮に山野草のことをあまり知らない人に、いくつかの山野草の写真と共にこの花の写真を見せれば

美しさでは、かなり上位にランクされるのではないでしょうか。


サルトリイバラ<ユリ科またはサルトリイバラ科 シオデ属> 別名サンキライ

雌雄異株で、雄花には雄蕊が6個、雌花には仮雄蕊6個と花柱が3個あります。画像の花は雄花です。

ユリ科に分類されますが、棘のある頑丈な蔓や広くて固い葉を見ると、とてもユリ科とは思えません。

しかし、この花をよく観察すると、確かにユリ科の特徴を備えています。

花弁が6枚ある様に見えるのは、全て花被片と呼ばれるもので、外側の3枚は萼、内の3枚が花弁となり、

この様な花の特徴は、ユリ科の花に共通するものです。





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アオキ(青木)の雌花と雄花

2010-04-08 23:08:38 | 植物(木本)
艶のある美しい葉と、秋から翌年の4月頃にかけて赤色のこれも美しい実が付くので

よく庭木として植えられるアオキです。

このシーズンは既に果実は終わって花が咲いていますが、この木は雌雄異株で、

雌株には雌蕊だけで雄蕊のない雌花が付き、雄株には雄蕊だけの雄花が付きます。

当然ながら果実を結ぶのは雌株の方ですが、植えたアオキが秋になっても果実を結ばないという場合は、

今の時期に花を見ると雌株なのか、雄株なのかがよく分かります。


アオキ<ミズキ科 アオキ属>


これは雌株に咲く雌花、雌蕊が1個あって、雄蕊はありません。秋に赤い果実を付けるのは
この花が付いている株です。


↓の画像は雄株に付く雄花、雌蕊はなく雄蕊が4個あります。当然ですが、この花を付けている
株には、果実はできません。
花の色には多少個体差があって、普通は赤紫色をしたものが多いのですが、
この花の場合は緑色に薄く紫色の混じった色をしています。
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コブシ(辛夷)

2010-04-01 19:56:17 | 植物(木本)
今日の花はコブシです。残念ながら今日は雨の降る中での撮影なので、あまり色良く撮れていません。

この花はちょうど今、各地で咲いていますが、よく似た花にモクレンがあるので、何処がどう違うのかと

よく聞かれます。そこで、それを簡単に見分けるポイントですが、

先ず、1枚目の画像を見ていただくと、これはコブシの花で、花の下に葉が1個あるのが分かります。

これがコブシの特徴で、モクレンの場合は、この段階ではまだ葉をつけません。


コブシ<モクレン科 モクレン属>


次に、もう1つの特徴は、6枚ある花弁を外側から見ると、基部が全て紅色を帯びることです。

モクレンの場合は花弁全体が真っ白です。

前述の葉があることと、花弁の基部に紅色の部分があることの2点が確認できれば、

コブシ思っていただいて間違いありません。花弁の下に見える白い小さな舌状のものは萼片です。




ハクモクレン<モクレン科 モクレン属>
こちらはよく似た花のハクモクレンですが、コブシに見られるような若葉や、花弁基部の紅色部分はありません。
それに萼片は花弁と見分けがつかない位に大きいのが特徴です。
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ニワトコ(庭常)の花

2010-03-30 23:00:36 | 植物(木本)
山を歩くと白い泡のようなニワトコの花が目に付くようになってきました。

この様な形を”円錐形花序”と言いますが、花冠の大きさが4㍉程の小さな花が多数集まってできています。

今回はこの個々の小さな花の様子を少し詳しく観察してみることにしましょう。

ニワトコ<スイカズラ科 ニワトコ属>


花冠の筒部は短く、先端は5深裂して反りかえっています。

雄蕊は5個あり、花のサイズからするとやや大きめの葯は、離れて眺めると花弁の様に見えます。

雌蕊は極端に短く、先端が濃紅色で少し目立ちます。萼片は5個ありますが、画像では写っていません。

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アブラチャン(油瀝青)

2010-03-29 22:28:17 | 植物(木本)
アブラチャンは低山の谷筋など、少し湿り気のある場所でよく見かけます。

雌雄異株で、画像は雄花、下段の画像を見て頂きますと、多数(9個)の雄蕊と、

中心に退化した雌蕊が1個あることが分かると思います。

雌花には葯の無い退化した雄蕊(仮雄蕊という)が9個と、球形をした雌蕊が1個あります。

よく似た花を咲かせるものにダンコウバイがありますが、本種に見られるような花枝は無く、

枝に直接花が付いていることで見分けることができます。

チャン(瀝青)とはタールやピッチのことで、名の由来は、

この木の種子や樹皮から灯火用の油を採ったことによります。



アブラチャン<クスノキ科 クロモジ属>


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ヒサカキ(姫榊)

2010-03-25 22:26:10 | 植物(木本)
今の時期、山ではヒサカキの花も咲いています。

艶のある緑の葉の下に隠れるように、びっしりと付いた下向きの花は、

クローズアップして見ると、中々洒落た可愛い花ですが、独特の臭気があり、

仏花として使う場合は花の開いたものは仏壇など屋内に飾るには不向きです。

この木は照葉樹林なら、ほとんど全国の何処でも見られるほど、色んな環境に対する

順応力が高く、乾燥した場所では低木状態を保ちながら繁殖を続けますが、

少し湿り気のある樹林に生えているものでは、同じ植物とは思えないほど背が高くなり、

5~8㍍に達する個体も見られます。

普通、この花には雄花と雌花があり、雌花には1本の雌蕊と、時として退化した雄蕊が数本

付いていることがあります。

雄花には、10~12本の雄蕊と退化した雌蕊が1本ありますが、驚くべき事には、山火事など危機的な

状況が起こった時には雌蕊を発達させて、雄花⇒雌花と性転換することがあります。

図鑑では”雌雄異株”と記されていることが多いようですが、雌雄どちらか一方の花だけを

付けている株はそれほど多くはなく、両性花となっているものもあるようです。


※下の画像のものは全て雄花です。


ヒサカキ<ツバキ科 ヒサカキ属>




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コバノミツバツツジ(小葉の三葉躑躅)

2010-03-23 22:09:23 | 植物(木本)
ミツバツツジにはいくつかの種類があります。

中でも一番早く咲くことから、イチバンツツジとも呼ばれる

このコバノミツバツツジは、その咲きっぷりが何とも見事です。

ミツバツツジとよく似ていますが、大きな違いは雄蕊の数、

ミツバツツジの雄蕊が5本であるのに対して、コバノミツバツツジでは

長短合わせて10本の雄蕊があります。

同じく10本の雄蕊を持つものでは、サイゴクミツバツツジやトサノミツバツツジ

がありますが、時期的に咲くのはもう少し先になりそうです。


コバノミツバツツジ<ツツジ科 ツツジ属>






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マルバマンサク(丸葉満作)

2010-03-16 06:39:56 | 植物(木本)
滋賀県の琵琶湖西岸北部など、本州日本海側でよく見られるマンサクの一品種です。

個々の花は小さいのですが、暗紫色の萼片の間から出る花弁は明るい黄色で、

枝にいっぱい花を咲かせている姿は遠くからでもよく目立ちます。

他のマンサク科の花と同様、リボン形の花弁は変化に富んでいて、手足に見立てて眺めると

まるで人が踊っているような楽しい雰囲気があります。

基本種のマンサクの葉の先端がやや三角状に尖るのに対し、

マルバマンサク系は半円形になることからこの名があります。

マルバマンサクの変種で花弁の基部が赤味を帯びるものは、ニシキマンサク、

花全体が赤味を帯びるものはアカバナマンサクと呼び、本種とは区別しています。


マルバマンサク<マンサク科 マンサク属>






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サンシュユ(山茱萸)の花

2010-03-13 19:11:42 | 植物(木本)
サンシュユは別名を春黄金(ハルコガネ)とも呼びますが、この木が明るい黄色の散形花序をつけると

季節もいよいよ春本番に向かいます。

この線香花火が弾けたような形の花序の基部には褐色の総苞弁が4枚あり、

その中に小さな花が約30個ほど、密に咲いています。

小さな花には、花弁と雄蕊がそれぞれ4個と1個の雌蕊があります。

この木はヤマボウシやハナミズキなどと同じミズキ科に属していますが、似ても似つかぬこの花も

下段の写真でよく見て頂くと、個々の花がヤマボウシに形がそっくりなのが分かると思います。


サンシュユ<ミズキ科 サンシュユ属>




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