山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

迎春

2010-01-01 22:28:55 | 植物(木本)
皆さん明けましておめでとうございます

清々しい新年をお迎えのことと存じます


昨年中は私のつまらないブログに幾度となくご訪問を頂き

心より感謝いたしております

本年も昨年同様、このブログを通じて、山登りや植物、昆虫動物の事等々を皆様と共に楽しく

語り合い、学んでいきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。


最初の画像は、初詣の「水主神社」の横に咲いていた藪椿です。



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アオキ(青木)

2009-12-28 06:56:48 | 植物(木本)
私はこれまで、漠然とした意味で「自然学」という言葉を使ってきました。

これはアカデミックな「自然科学」が人間の英知の結晶とも言える科学をもって

自然の様々な事象を解析していくのに対して、自然との触れ合いを通して、そこから何かを

学んでいくことを意味しています。


そういった意味では、絵画や音楽、小説、詩なども「自然学」と言えます。

それは私達が、子供の頃に多くの遊びの中で色々な事をを学んでいったように

その延長線上で、多くの「楽しみ」に満たされたものです。


一般的に♪の世界では、音を楽しむという意味から「音楽」という言葉が使われていて、

決して「音学」や「音楽学」という言葉は使われません。

もし、自然を楽しむことが「自然学」なら、

私的には「自然学」=「自然楽」であっても良いような気がします。


ところで、この「自然学」にも学歴のようなものがあって、

その最初学歴はといえば、物心のついた頃に、蟻やカタツムリなどに興味を覚え、

そしてもう少し大きくなると、蝶やクワガタムシ、ハンミョウなどに好奇心を広げていった頃の経験です。

山で出会った人達と、この頃の経験を語りあうと、思いがけないほど話が弾むことがあります。

どうも同じ最初学歴を持つ者同士は、多くの点で分かり合えるような気がします。




さて、今年も今日を含め後二日、正月準備に何かと気忙しい二日間となりそうですが、

無理をして、怪我などなさいませんように、元気で良い年を迎えましょう。


今日の画像は、ミズキ科のアオキです。

茎が緑色をしていることからこの名前が付けられています。


山地の林下に普通に生えますが、赤い実が美しいことから庭木にもよく使われ、

葉の汁には解熱効果があることで知られています。


雌雄異株で、3~5月に茎の先の円錐花序に紫褐色の小さな花を沢山つけます。

雄花には雄蕊が4個あり、雌蕊は退化しています。雌花は雌蕊が1個のみで雄蕊はありません。

尚、この赤い実は4月位まで長く楽しめます。


アオキ<ミズキ科 アオキ属>











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マンリョウ(萬両)

2009-12-23 07:28:46 | 植物(木本)
木津川河川敷の雑木林で見つけたマンリョウです。

観賞用に町で売られているものに比べると、実の付き方が少し貧弱でした。

センリョウ(千両)より多いからマンリョウ(萬両)なんでしょうが

このマンリョウは何枚もの葉に隠れるように遠慮がちに赤い実を覗かせていました。

センリョウに負けちゃっていますね。

でも自生のマンリョウはこんなものかも知れません。

このマンリョウの様に赤い実を付ける植物は、日本では古くから縁起の良いものとされ、

正月の飾りとして、センリョウ、ヤブコウジ、アリドオシ、ナンテンなどと共に珍重されてきました。

西欧ではクリスマスの飾りものに赤い実を付ける、クリスマスホーリーが使われていますが、

たとえ国や民族、宗教、思想等が違っていても、人間の基本的な感性というものには、

どこか共通するものがあるような気がします。


マンリョウ<ヤブコウジ科 ヤブコウジ属>



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ヤマガキ(山柿)

2009-12-15 06:21:12 | 植物(木本)
「渋柿の 渋こそ良けれ そのままに 変わりて変わる 味の甘さよ」

これは私が父から教わった一句です。誰が詠んだ歌かは知りませんが、今でも柿の実が成っているのを見ると

父の思い出と共にこの句が蘇ってきます。



この歌にも詠まれているように、柿には渋が付き物。これはタンニンが多く含まれているためで

現在、果物として売られている柿の多くは、焼酎やドライアイスなど色んな方法で「渋抜き」が行われています。

渋柿はこの渋抜きをしない限り、どんなに熟しても渋さが消えることはありません。


但し、乾燥させて干し柿にした場合は、タンニンが可溶性から不溶性に変化するため、渋さを感じなくなります。

この場合の甘さは砂糖の1.5倍とも言われます。


富有柿や次郎柿などの甘柿は、日本で淘汰された生食用の柿ですが、糖分そのものは

渋柿に比べて少ないため、干し柿には不向きです。



ヤマガキは日本の山野に生える、野生の原種柿の総称で、

種類によって、雌雄異木のものと雌雄同株のものがあり、現在栽培される色んな柿のルーツとも言われます。

地方によって、変種も多く固有の名前が付けられているものもあります。

一般に柿の品種を作るための台木として使われることが多いようです。



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サネカズラ(実葛)の冬葉

2009-12-14 22:19:55 | 植物(木本)
サネカズラは今秋2度目のUpになりますが、今回は葉の紅葉についてのお話です。

一般に紅葉する木といえば、カエデやイチョウなどの落葉樹がほとんどですが、常緑樹の中にも

美しい紅葉を見せる植物があります。

サネカズラもその一つで、落葉しませんが冬になると葉や茎の一部が濃い色の赤に

染まってきます。

これは植物の寒冷に対する防御反応で、葉や茎などの凍結しやすい部分に養分や色素を多く

取り込むことによって濃度を上げ、凍結から身を守っています。

サネカズラの葉には、赤の色素であるアントシアニンが特に多いため、赤く染めたようになります。

同じように、常緑樹で紅葉するものには、他にクスノキなどがあります。


サネカズラ<モクレン科 サネカズラ属> 常緑蔓性 別名 ビナンカズラ










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ヤブツバキ(藪椿)

2009-12-12 17:37:11 | 植物(木本)

木津川河川敷の雑木林ではヤブツバキが開花をはじめました。

同じ場所での開花は、昨年に比べて7~10日ほど早いようです。

このヤブツバキやサザンカを含む椿科の花は、昆虫の少ない冬に咲く花の代表的なもので、

花粉の媒介は、主にメジロやエナガなどの小鳥の吸密によって行われています。

私の最初学歴によって得られた知識によりますと、この花の基部にはかなりの量の

甘い蜜がたまっていて、花冠を基部から引き抜いて吸うことにより密を味わうことができます。

私がここで言う「最初学歴」とは、学校の授業などのアカデミックな学歴のことではなく、

少年時代の遊びの中で、子供たちが自然に物事を学んでいく課程のことを指します。

糸の両端に小石を付けてオニヤンマを捕えたり、イタチの巣がある土蔵の穴の前に環にした紐をたらし

出てくるのを待って釣りあげたり、カナヘビやイモリを捕えて飼育したり、蛙に火薬を突っ込んで爆発させたり

神社の縁の下に木の枝や葉を敷き詰めて、仲間だけの秘密基地を作ったり等々

多くの子供たちが親からお小遣いなど貰えなかった、第2次世界大戦後の貧しい時代でしたが、

自然の中での楽しい遊びには全く事欠きませんでした。

時代も変わり、子供達の遊びもニンテンドーやソニーと大きく変化しましたが

地球的規模での環境の悪化が危惧される今、

次代を担う子供達が遊びを通じて自然を学ぶ事の大切さは今一度見直されるべきではないでしょうか。



ヤブツバキ<ツバキ科 ツバキ属>




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ベニバナトキワマンサク(紅花常盤万作)

2009-12-11 06:29:54 | 植物(木本)
今日は朝から本格的なでした。

今年はどこでも、短い周期でお天気の変わることが多いようです。

それでも、ここ数週間、少なくとも関西での週末の天気は

意外と安定していて、今週も土曜日から日曜日にかけては

天候の回復が見込めそうです。

これは週末を山歩きでリセットしている私には有り難いことで、

あさっての日曜日には、また近くの山をのんびり歩こうと思っています。

さて、今日の画像はベニバナトキワマンサク・・・

先日、誰かのブログで見たような気がしますが、私は見るのが初めてです。

この間の日曜日、国見山の帰りにJR津田駅の近くの住宅街の植垣に咲いたのを撮りました。

家に帰って調べてみると、原産地は中国湖南省で、トキワマンサクの栽培変種だそうです。

普通のマンサクは、葉が黄葉の後、落葉しますが、トキワマンサクの仲間は常緑で

落葉はしません。


ベニバナトキワマンサク<マンサク科 マンサク属>  栽培種




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ユリノキ(百合の木)

2009-12-01 21:37:16 | 植物(木本)
街路樹や公園樹として、よく植えられているユリノキです。

アメリカ東部原産の木で、日本へは明治の初期に渡来しましたが、原産地では樹高60㍍にも及ぶ

巨木があるそうです。

渡来した当時は和名がまだ付けられていなかったこともあり、色んな呼び名が生まれました。

主なものを挙げますと、葉の形を半纏に見立てたハンテンボク、奴凧に見立てたヤッコダコノキ、

また見様によっては軍配にも似ているのでグンバイノキなどです。

6月頃に咲く花は、チューリップの形に近いもので、チューリップツリーの名もありますが、

ユリノキの名前が公式な和名とされたのは、皇太子時代の大正天皇がこの木をご覧になって、

ユリノキと名付けられたといういきさつがあります。

学名は Liriodendron tulipifera で、Lriodendronは「百合の木」の意味ですが、

大正天皇がそのことをご存じであったかどうかは定かではありません。


ユリノキ<モクレン科 ユリノキ属>





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ナワシログミ(苗代茱萸)の花

2009-11-27 21:52:14 | 植物(木本)

水田で苗代作業が行われる4~5月頃に果実が熟するナワシログミですが、花は今が咲き時です。

木の葉に隠れるように咲く白い小さな花には、百合の花に似た強い香りがあり、小さな虫たちを引き寄せ、

この集まってくる虫を狙って小さな蜘蛛が巣をいっぱい張っているのも、このグミの特徴です。

初夏に熟する果実は甘酸っぱい味がするものの渋みを伴い生食ではあまり美味とはいえません。

ナワシログミ<グミ科 グミ属>



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イヌビワ(犬枇杷)

2009-11-26 06:39:47 | 植物(木本)
里山を歩くと、この小さな紫色をしたイヌビワによく出会います。

名前は「不味くて食べられないビワ」という意味だそうですが、まずくて食べられないということに関しては

私は子供の頃によく食べていたので、熟したものはさほど不味くはなかったように記憶しています。

それともう一つには名前の後ろに「ビワ」とつきますが、これはクワ科イチジク属の植物で

バラ科ビワ属であるビワとの近縁関係ではないようです。

イチジクと同様、雌雄異株で、この果実のような形をしているのは、花嚢(かのう)と呼ばれ、

この中にたくさんの花が詰まっています。

この花は虫媒花で、花粉の媒介は、花嚢に寄生するイヌビワコバチという寄生蜂によって行われます。

ところが、この受粉システムが少しややこしいのです。

まずイヌビワコバチの雌の成虫が、雄株にできた雄花嚢の頂部から花嚢の中に入り込み、仮雌花の柱頭から

産卵管を差し込み、胚珠に産卵します。卵から孵った幼虫は胚珠を食べて成長し

成虫になった雄は、雌より先に子房から出て、雌のいる子房壁を破って交尾します。 ここで雄はお役御免となり

花嚢から出ることもなく死んでいきます。

交尾を終えた雌は新しく若い花嚢を求めて外へと飛び出しますが、新しく見つけた花嚢が雄花嚢なら、そこで産卵できますが

雌花嚢だと仮雌花と違って、雌花の柱頭が長いため吸密できず、体に付いた花粉を柱頭にこすりつけるだけで

産卵することなく諦めて去っていきます。産卵されなかった雌花では胚珠が幼虫に食い荒らされることなく

無事に種子を付けることができます。

尚、雄花嚢の中の仮雌花は柱頭が短くイヌビワコバチが吸密しやすい構造ですが、幼虫が胚珠を食べるため、

受粉はしますが種子はほとんどできないようです。


イヌビワ<クワ科 イチジク属>



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アキニレ(秋楡)

2009-11-23 19:40:55 | 植物(木本)
楡の仲間ですが、東海以北に多く見られる楡が、別名ハルニレ(春楡)と呼ばれ、花が4~5月頃に咲くのに対して

東海以西の西日本に多い本種は、9月頃になって花が咲くことから、アキニレ(秋楡)と呼ばれます。

花は淡黄色の両性花で本年枝の葉腋に数個付きますが、9月に撮っていないので残念ながら画像はありません。

葉は、2~6㌢の長楕円形で、表面は光沢があり、指先で撫でてみると少しざらついた感触があります。

落葉樹にしては葉が小さくて固いのは、乾燥に対する適応性と考えられています。

翼果は11月頃淡褐色に熟し、7~8㍉の楕円形で、中央に種子があります。

アキニレ<ニレ科 ニレ属>

低い山地や河川敷に近い雑木林などで見られる落葉高木、大きなものでは、15㍍
を超えるものもあります。


葉は下の方から少しづつ紅葉をし始めています。


葉がまだ元気なので翼果は未熟です。本格的に熟するのは、葉が落ちてからになります
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ヤマコウバシ(山香し)

2009-11-11 06:37:46 | 植物(木本)
少し変わった名前ですが、紅葉と黒光りする果実のコンビネーションが絶妙な美しさを見せています。

この実は直径7㍉程で、かじってみると、やや辛みがあり、

別名をヤマコショウ(山胡椒)といいますから、ひょっとして昔は何かの香辛料として

利用されていたのかも知れません。

いまのところ、名前の由来は私にはよく分かっていません。

もう一つの別名、「モチギ」は、どうやら葉を乾燥させたものを餅に混ぜて使うところからの名前だそうで、

「ヤマコウバシ」の名も、この使い方と関係があるかも知れません。

一応、クスノキ科の落葉小高木に分類されていますが、枯れた葉が冬でもたくさん残り、落ちないことから

一部では「落ちない葉」ということで、葉が受験のお守りとして商品化されているそうです。

しかし、商魂たくましいと言うか、こじつけでも何でも、ビジネスにしてしまおうという凄い人がいるもんですね。


ヤマコウバシ<クスノキ科 クロモジ属> 別名ヤマコショウ・モチギ





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ムラサキシキブ(紫式部)

2009-11-10 06:17:33 | 植物(木本)
これは里山に自生していたものですが、源氏物語ゆかりの地、宇治市では公園の植え込みなどに

紫式部に因み、この木がよく植えられています。

このムラサキシキブの名は、平安期を代表する歌人で、源氏物語の作者、紫式部になぞらえたというのが

一般的な説ですが、もともとこの植物の古名が「ムラサキシキミ」であったことから、この植物の名を文字って

「紫式部」のペンネームとしたという逆の説もあるようです。

なお、ここで言うシキミとは「実が重なる」=実が多いの意味です。


ムラサキシキブ<クマツヅラ科 ムラサキシキブ属>





これは一枚目の画像と同じ枝を撮りましたが、少し角度を変えてバックに陽のあたった竹林を入れてみました。


これは同じ角度で別の枝を撮っています。
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サネカズラ(実葛)~美男の異名を持つ赤い実

2009-10-31 19:31:38 | 植物(木本)
サネカズラは低山の藪で見られるモクレン科の常緑つる性の植物です。

8月頃に、直径1.5㎝位の淡黄色の花が垂れ下って咲きますが、花は雌雄異株または同株、

まれに両性花と3種類が混在しています。雌花は花の後、花床が膨らみ、球形の赤い実をつけます。

秋に赤い実を付ける植物は多いのですが、サネカズラは実の美しさから光栄なことに美男にたとえられ

「ビナンカズラ」とも呼ばれています。


サネカズラ<モクレン科 サネカズラ属>  別名 ビナンカズラ





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クコ(枸杞)

2009-10-24 17:42:37 | 植物(木本)
木津川河川敷の砂地に自生するクコの木に赤い実が付き始めました。

8月頃から咲き始めた、紫色の小さな花もまだ少し残っています。

このクコは、東アジアに広く分布するナス科の小低木で、果実は滋養強壮効果のある

食材として、薬膳料理などでもよく使われます。

また実を洗って乾燥させたものを、急須に入れて熱湯をそそぐと、クコ茶として楽しめ、

独特の風味がある上、肝機能強化、疲労回復、視力改善などの効果があるそうです。

中国が原産地で平安時代に渡来したそうですが、その頃からすでに健康によいお茶として

飲まれていたようです。



クコ<ナス科 クコ属>






この様な、花と実のツーショットが見られるのは今だけ



実は甘くて美味しい。そのままでも食べられます。
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