山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

五倍子

2009-10-23 06:25:49 | 植物(木本)
五倍子、字が一つ余ってしまいますが「ふし」と読みます。

4月頃にウルシ科のヌルデにヌルデノミミフシアブラムシの♀が卵を生み、孵化した幼虫が

若芽や若葉に寄生してできる虫瘤のことです。

成分の約70%がタンニンのため、昔から染料として、下地染めの他、既婚女性が歯を黒く染める

「お歯黒」や白髪染めなどにも使われていました。



五倍子は果実とよく間違われますが、ヌルデの果実はこれです。


五倍子を割ってみるとビッシリとヌルデノミミフシアブラムシが入っています。
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ウメモドキ&ムラサキシキブ

2009-09-12 22:30:24 | 植物(木本)
山に実りの秋がやってきました。歩きながら美しい木の実を探すのも秋山歩きの

楽しみの一つです。

今日はその中で、身近な里山でも見られる2種を取り上げてみました。


ウメモドキ<モチノキ科 モチノキ属>

真赤な実が一際鮮やかです。ウメモドキと言われるますが、実は梅と言うより

姫林檎のような感じです。

鳥さんたちには大変な御馳走らしく、こんなに沢山の実が見られるのも今のうちだけです。




ムラサキシキブ<クマツヅラ科 ムラサキシキブ属>

これも里山の秋定番、上品な薄紫の実は「源氏物語」の作者、紫式部をイメージさせます。

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サワフタギ(沢蓋木)

2009-09-10 21:45:10 | 植物(木本)
昼間はまだ少し暑さが残っていますが、朝夕はめっきり涼しくなってきました。

草むらでは、コオロギやクサヒバリの鳴く声が日毎に賑やかさを増し、少しづつ秋が深まっていくのが分かります。

秋は生命の受け継ぎが行われる季節・・・木々の実はその中に新たな生命を育み美しく熟していきます。

サワフタギの枝にもたくさんの実が成り、美しい瑠璃色がひと際目立つようになってきました。


サワフタギ<ハイノキ科 ハイノキ属>  別名 ルリミノウシゴロシ

5~6月に白い花を密に付け、少し歪んだ卵形の果実は、9月上旬位になると美しい瑠璃色に熟します

初夏に咲く白い花にも趣がありますが、この美しい瑠璃色の果実こそ、この木の真骨頂といえます。









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サネカズラ(実葛) 

2009-08-29 21:25:43 | 植物(木本)
山地の藪で、他の樹木に絡まって生える蔓性のモクレン科植物です。

花の大きさは約1㌢ほどですが、よく見るとモクレン科らしい雰囲気があります。

雌雄異株で、花弁と萼の区別のないやや厚みのある花被片が9~10個あり、

雄花は、中に数個の雄蕊、雌花は10数個の雌蕊があります。

雌花は花後に花床が膨らみ、球形の赤い果実を付けます。

枝には粘液物質が多く、これが男性の整髪料として使われたことから

別名、ビナンカズラとも呼ばれます。



サネカズラ<モクレン科 サネカズラ属>    雌花



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ノリウツギ(糊空木)

2009-08-26 22:05:40 | 植物(木本)
アジサイの仲間のほとんどは、この時期になると花の傷んだものしか見られませんが

比較的、遅く咲き始めるこのノリウツギは、まだまだ美しい姿で見ることができます。

この花のチャームポイントは何と言っても、目にしみるように鮮やかな純白色でしょう。

白をこれほど美しく見せる花もすくないのではないかと思います。

名前の由来は、樹皮の粘液を採取して和紙の製紙に使う糊を作ったことからだそうです。


ノリウツギ<ユキノシタ科 アジサイ属>



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フサフジウツギ(房藤空木)

2009-08-20 21:38:03 | 植物(木本)
フサフジウツギ<フジウツギ科 フジウツギ属>

本来の意味から言えば野草ではなく、中国原産の栽培種が野生化したものです。

この仲間にも貴重な在来種があるそうでが、具体的なことについては知りません。

低山歩きでは、明るい谷川に沿った藪などに咲いているのをよく見かけますが、

暑さや寒さに強いことが、この植物の繁殖を支えているのでしょう。

一旦根付くとその場所で毎年花を咲かせ、大きな集団に成長していくようです。

咲き始めるのは6月位からで、花期は長く今の時期でも見ることができます。





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アカメガシワ(赤芽槲)の雄花&雌花

2009-07-11 18:06:11 | 植物(木本)

アカメガシワ<トウダイグサ科 アカメガシワ属>


新芽や若葉が赤い色をしていることから、赤芽槲とよばれています。

正しくは葉が赤いのではなく、赤い星状毛に覆われて赤く見えています。

試しに赤い色の葉にセロテープなどを張って勢いよく剥がすと、赤い星状毛だけが

取れて緑色の下地が出てくるそうです。

成長した葉にも星状毛はありますが、数が同じで葉の面積が大きくなった分だけ密度が

低くなり、葉本来の緑色に見えてきます。

このアカメガシワが今、花期を迎えていますが、花弁のない地味花のためか、

一般に季節の花として取り上げられることも少ないようです。

雌雄異株で、雄花は雄蕊ばかり、雌花は雌蕊だけで花弁や蕚はありません。

雄花と雌花の咲く時期には微妙なズレがあり、雄花の咲く今の時期は、雌花の数は

かなり少なくて見付けにくいようです。




アカメガシワの雄花、中々造形的な面白さがあります。多数の雄蕊を持ち、花弁や蕚はありません。








こちらは雌花、雄花に比べると、さらに目立たない形をしています。雌蕊だけで構成され、花弁や蕚はありません。

花芯は成熟すると、赤みを帯びます。

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ムラサキシキブ(紫式部)

2009-07-04 19:49:34 | 植物(木本)
ムラサキシキブ<クマツズラ科 ムラサキシキブ属>


秋になると紫色の美しい実をたくさん付けて人の目を引くムラサキシキブの花です

さほど目立つ花ではありませんが、これも中々趣のある美しい色をしています。

その気品に満ちた美しさを、平安時代の天才女性作家、紫式部に例えたという説が一般的ですが

一方では、紫色の実が重なるところから、紫重実(ムラサキシキミ)、これが転訛して

ムラサキシキブとなったという二つの説があります。

何れが正しいのか、真偽のほどは定かではありませんが、平安時代に生きた聡明で美しい女性の

イメージをこの花に重ねて見るのもいいのでは・・・





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ハナヒリノキ(鼻嚏の木)

2009-06-24 06:18:55 | 植物(木本)

ハナヒリノキ<ツツジ科 イワナンテン属>

低山~亜高山帯に生えるツツジ科の落葉低木です。

ハナヒリ(鼻嚏)はくしゃみのことで、葉の粉を鼻に入れると

くしゃみが出ることに由来する名前だそうです。

しかし地方名ではウジコロシとも言われるほど強力な殺虫効果があり

有毒植物なので、このような悪ふざけは禁物です。

画像の丸い実のような形をしているのは、坪型の花序で

よく見ると、先端で5裂して反り返っているのが判ります。



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ガンピ(雁皮)~金勝アルプスの花

2009-06-18 21:51:37 | 植物(木本)
鶏冠山から竜王山に至る縦走路は風化した花崗岩が露出し、巨岩奇石が醸し出す特異な景観が魅力です。

その一方で、日当たりは良いが地質的には極端に貧栄養のこの稜線では、それに適応した植物の生育が目につきます。


ガンピ<ジンチョウゲ科 ガンピ属>

古典的な和紙の原料植物です。昔この山の麓、桐生は「雁皮紙の里」と呼ばれ、ガンピによる紙作りが盛んでした。

雁皮紙は表面が滑らかで、適度な吸湿性と風格のある色合いと光沢があり、手紙や写経用の紙として重用されていました。

しかし一方で痩せ地に育つこの木は、肥沃な土地での大量栽培には不適で、その上、紙を漉く際の水垂れが悪いなど

その生産性の低さから時代と共に衰退し、現在の桐生に「雁皮紙の里」の面影を見ることはできません。




水晶谷の上部の景観、標高400mそこそこながら、正に岩の殿堂といった感じ


耳岩


コース中、最大のビュースッポット天狗岩、右後方は鶏冠山


鶏冠山方面から見た天狗岩は、一種異様な雰囲気を醸しています。
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調子が滝周辺の花~赤坂山PART4

2009-06-04 21:56:01 | 植物(木本)
マキノ高原キャンプ場に向かって下山途中、右に斧研川に沿った道を2㎞程登ると「調子が滝」という落差18mという

先々のスケールの滝があります。時間は十分に余っていたので寄り道をしてみました。

後で知ったことですが、この上にまだ2の滝、3の滝があって、2の滝には不動明王が祀られているそうです。

ところで、全国には「銚子ケ滝」という滝は色々ありますが、「調子が滝」はここだけ


調子が滝




クマシデ<カバノキ科 クマシデ属>

滝のすぐ側に生えていたクマシデの木です。鎧を着たような果穂をいっぱい付けていました。





ホオノキ<モクレン科 モクレン属>

確認していませんが、韓国でよく名字に使われている「朴」はこの木のことかも知れません。

とにかく漢字で書くと「朴の木」と書きます。モクレン科の大きい花です。

この花は山でよく見掛けますが、開花してから形が崩れるまでの期間が短いのか、形の整ったものに中々

出逢えません。ここでも見られたのは、蕾と終わりかけの形の崩れた花だけでした。




コナスビ<サクラソウ科 オカトラノオ属>

名前はコナスビですがナス科の花ではありません。花の後にできる果実が、小さな茄子のような形なので

そう呼ばれています。あまり似ていませんが一応、サクラソウの遠い親戚です。このあたりでは道の端で

水の流れているような場所に点々と咲いていました。中々可愛い顔をしています。






タツナミソウ<シソ科 タツナミソウ属>

房状に並んで立つ姿を、打ち寄せる波頭に見立てた名前です。こうして真正面からみるとナットク~ゥです。

名付けた人のセンスが光ります。滝壺のすぐ側に咲いていました。





ノギラン<ユリ科 ノギラン属>

私の家の近くの里山では、既に花期が終わっていますが、ここでは未だこれから咲くようです。

花と呼ぶほど目立つ花ではありませんが・・・


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ヤマボウシ&イボタノキ~赤坂山PART3

2009-06-03 06:26:38 | 植物(木本)
ヤマボウシ<ミズキ科 ミズキ属>

今回の赤坂山では、ヤマボウシも沢山みることができました。

同じ登山道でこれだけ多く見られる所はここが初めてです。同じヤマボウシでも場所によって総苞弁の形が随分

違うんだなぁ~ということが実感できました。






イボタノキ<モクセイ科 イボタノキ属>

漢字で書くと「水蝋の木」となります。この木の樹皮に寄生するカイガラムシの一種、イボタロウムシの♂の分泌物

に含まれる蝋物質はイボタ蝋と呼ばれ、ロウソクや蝋紙を造ったり、敷居の潤滑剤として使われていました。

植物それ自体の特徴ではなく、寄生虫の名前が樹木の名前の由来になっているというのはちょっと珍しいことですね。


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ベニドウダン・チチブドウダン・サラサドウダン~赤坂山PART2

2009-06-01 22:55:51 | 植物(木本)
今回の山行では、3種類のドウダンツツジの花が見られました。

ベニドウダン<ツツジ科 ドウダンツツジ属>

ベニドウダンは西日本特有のドウダンツツジで、名前が示すように枝先に5~10個の赤い花を総状に

吊り下げています。関東地方ではほとんど見られないそうです。




チチブドウダン<ツツジ科 ドウダンツツジ属>

こちらはよく似ていますが花の色はさらに濃い赤色で、形はほぼ球形です。北方系のドウダンツツジで

近畿地方は南限、野坂山地は北から一続きの山並であることからこんな北方系の花も見られるようです。

この花は離れて見ると、赤い実が成っているように見えます。




サラサドウダン<ツツジ科 ドウダンツツジ属>

ドウダンツツジの真打はやはりこの花でしょう。花の色は帯白色で紅色の筋が入り、先端は淡紅色という

少しオシャレな花で、この花だけを求めて山に行く人も多いと思います。

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ウツギ(空木)&ヒメウツギ(姫空木)

2009-05-24 23:05:52 | 植物(木本)
南山城地方ではウツギの花が最盛期を迎えています。

また少し花が散り始めましたが、よく似た花でヒメウツギも見られます。

花期の重なる今の時期、この2種類の空木の見分け方を取り上げてみました。

画像の1~2枚目が別名ウノハナとも呼ばれるウツギ、単に「ウツギ」と言えばこれです。

花は密に下垂して咲き、葉は卵状披針形で先はとがります。これから夏に向かって咲くので

蕾をたくさん残していることも見分けの重要なポイントになります。

尚、別名のウノハナは、この花が旧暦の4月(卯月)に咲く花を意味します。


ウツギ<ユキノシタ科 ウツギ属>  別名ウノハナ




こちらは今ならまだ一部で見られるヒメウツギ、上に挙げたウツギと比べて全体に繊細な印象を受けます。

花は小型で必ずしも下垂せず、葉は長楕円状披針形、そろそろ花も終わる頃で蕾は見られません。

ヒメウツギ<ユキノシタ科 ウツギ属>


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センダン(栴檀)の花

2009-05-22 19:57:11 | 植物(木本)
木津川河川敷のセンダンが淡紫色の花をたくさん付けはじめました。

「栴檀は双葉より芳し」という諺がありますが、ここで言うところの栴檀はこの木ではなく、香木の白檀の中国名

「栴檀」の読みを「せんだん」としたものです。

現代のように植物図鑑やインターネットの植物サイトの画像と照らし合わせることができなかった昔、「栴檀」という

植物についての誤った情報が定着して、この木を「センダン」と呼ぶようになったのかも知れません。

関西では、主に各地の河川敷を中心に大繁殖しているところが見られますが、これは主にヒヨドリなどがこの果実を

食べることにより、種が広範囲に運ばれるからです。



センダン<センダン科 センダン属> 別名オオチ


花弁は5枚、雄蕊は10個あり、紫色の花糸が合着して筒状になった上部内側に黄色の葯が付いています。


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