𠮷田恵輔監督の『空白』観ました。パチパチ!
いやあ、きつかった。体調の悪い時は観ない方がいいです。
最近の映画はVFXの技術が凄くて、交通事故のシーンはあまりにリアルで、ちょっとトラウマになりそうです。
昔だったら「キキーッ」という車のブレーキ音と「ドン」という鈍い音だけでよかった。殺人シーンも昔は、出刃包丁を持った人がいて、次はお葬式のシーンに切り替わるだけだったそうです。それですべてが分かった。
本当にツライ思いを経験された人は、思わず席を立つのでは、という感想です。正直、ああいうのもう止めて欲しい、、、、
ラジオで、ラストに救いがあると言っていたので、どんなかなーと思っていたのですが、、、、、
以下、ネタバレあり。反転させて読んでください
親が怖くて委縮する中学生の娘、自分が全て正しいと思っている父親、離婚して新たな家庭を築き娘と離れて暮らす母親、、万引きを見つけた店長、自分の正しさを疑わないパートの女性、担任の教師、沈みそうな船から逃げる人、、、、もうですね、いろんなキャラが出てきて、誰一人、清廉潔白では無いのです。でも、それは私たちが暮らす世の中も、私たち自身もそうな訳で。
登場人物の「誰に感情移入できるか」で、感想がだいぶ変わると思います。
個人的に、寺島しのぶ演じるパート従業員がえぐくてよかった。確かに間違ってはいない、だけど、なぜこんなに周囲の人を苦しめるのか、、、、、
青柳店長の「何もかもが苦しい」というセリフに胸が詰まりました。正しいことが辛い人もいるんです。
藤原季節が演じる若い漁師は良かったなあ。自分が20代の頃、あんな心配りができたとはとても思えないのですが、彼自身、恐らく自分の父親に対するトラウマがあるのでしょう。
主人公の古田新太演じる添田充が、いわゆる「あやまれない人」なんです。お前が悪いと決めつける、自分が失敗しても、それは誰かのせい、、、、、
ちなみに土下座とか軽くできます「こうやりゃいいんだろ!」。だけど、自分が悪いとは思っていない。
そんな添田が亡くなった娘の墓参りの後に、別れた女房の田畑智子に謝ります。
「すまなかった。うらやましかったんだ」
ここで、思わず涙腺崩壊、、、、
モヤモヤしているのは、イライラしているのは、誰に対してではなく、実は全部、自分に対してなんだ、、、、、
そして、松坂演じるスーパーの店長に「(いつか謝るので、それまで)時間が欲しい」と言います。
ラストは絵を届けてもらった時点で、何となく予測がついちゃうのですが、それでもやはり泣けました、、、、、
みんな、救われたのかなあ?
二人も亡くなって、スーパーがつぶれて店長は自死未遂、パートも社員も職を失って、、、、、
本来、善も悪も、正も否もない。あるのは我々のその時の判断だけ。
ああ、まずは、あやまれる人になることから始めないと。
あと、職業病ですみません。花音ちゃんは浄土真宗の法名、自死した女性は日蓮宗の戒名でしたね。お位牌とか出てくるとどうしても気になって気になって、、、、、
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