子供たちが坂を走りながら上っている。
色とりどりの風船を手に持って。
一番遅れていた子が,転んで風船を放してしまう。
風船はどんどん高く登っていく。
それを見つめながら,涙をにじませる子供。
しばらく転んだままで,風船を見つめていたが,あきらめがついたのか,立ち上がって
坂を上る。
坂の上で待っていた子供たちが,遅れてきた子供が到着すると,顔を見合わせて,「せーの」で風船を放した。
幾つもの風船が空に吸い込まれていく。
しばらく見つめていた子供たちが、他の場所に移動しようとすると、一人の子供が,空を指差して
「何か落ちてくる」と叫んだ。
皆が空を見上げると,人形のような本当の人のような物語、さっき放した風船を持っていて,ゆっくりと降りてきた。
子供たちの前に降り立ったのは,歳格好は子供たちとたいして変わらない,女の子だった。
「ありがとう」
「見たちが風船を放してくれなかったら,私は地面に激突して,死んでしまうところだったわ」
「本当にありがとう」
子供たちは、なんにも言えずにうなずくだけだった。