フランス語読解教室 II

 多様なフランス語の文章を通して、フランス語を読む楽しさを味わってみて下さい。

Lecon 129 注釈と試訳

2007年11月14日 | Weblog
 [ 注釈 ]
* avec des constantes (...) sur lesquelles se reposer : des constantes 可もなく不可もなく家事をつづけること。se reposer sur...「…に寄りかかる」意味上の主語は、やはり、母でしょうね。ですから、淡々とこなされる「習い」に寄りかかる、ということだと思います。
* sans quiconque pour vous rendre visite ou vous parler : vous は読者への呼びかけですね。
* (on peut, pour manger se contenter d’un morceau de pain dont on pre’le`verait des tranches a` mesure) : ここは分かりづらいですね。le poids des choses, dans leur pluralite’ fatigante の例示ですから、パンを食べるという何気ない行為にしても、まずパンがあることが必要であり、さらに、これを食するに相応しい大きさにして少しずつ口に運ばなければならない、ということでしょう。
[試訳]
 それでも母はひとの手を煩わさずに、なんとか一人で切り抜けようとしてた。食事をするためには買い物にも行く。野菜を調理する(実は独身の頃から、また結婚して母親となってからも、母はそうしたことがあまり好きではなかった。それでも、特別な創意工夫はなかったものの、母はしっかりと大過なく、毎日くり返される習慣に寄りかかるように、バスタを作り、鶏を調理し、お昼にお腹を空かしてやってくる孫たちのためにはチョコレート<< マーブル >>のお菓子を用意したりもした。)。そうしたことが次第に離れ業めいて来たのだ。そこにまた母は、別の次元の孤独を感じていたのだ。あなたを訪れる人も、あなたに話しかける人もなく、ただ一人ぽつねんとしているだけの孤独ではない。さまざまなことの重みを、疲労させる複数の相においてひとり持ちこたえなければならない孤独(パンを食するにしても、ただ一塊のパンがあればいいというものではないだろう。それを切り取って口に運ぶのではないだろうか)。母がここ何年かその次元で生きて来た孤独には、そこに至るまでの孤独の重みがのしかかっていたことだろう。笑いや涙がいっしょくたになり、秘められた感情の源泉が長い喘ぎとなるように、深められた孤独の独自の重みもやがて明らかになる。積年の孤独が、母の中で姿を現す。
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 今回は、フランス語としてちょっと考えさせられる箇所がありましたね。次回は、同ページ refusant de lui ouvrir sa porte までとしましょう。
 インフルエンザの流行の兆しがもうあるとか。みなさんも、どうかお身体には気をつけて下さい。
smarcel