フランス語読解教室 II

 多様なフランス語の文章を通して、フランス語を読む楽しさを味わってみて下さい。

Lecon 130 注釈と試訳

2007年11月21日 | Weblog
 当教室では、今 Pierre Pachet << Devant ma me’re >> を読んでいます。今回が5回目になりますが、テキストを希望する方は、smarcel までご連絡ください。

 [注釈]
* Les incidents se multipliaient. : ここの半過去形が典型例なのですが、「過去くり返された行為」が半過去形で表現されています。
* Cela arriva : cela は、母親が鍵をなくして部屋に入れなかったことを指しています。
* un service de surveillance qui m’appela a` mon tour, : a` mon tour は「今度は(わたしに)」ということです。

 [試訳]
 ピェール・パシェ『母を前にして』(5)

 母はいつも言い張っていた。「大丈夫。わたしは不自由していないよ。」わたしには母の言うことが信じがたく、そんなことがあり得るだろうかという気持ちだった。けれどもますます母を放っておくことが難しくなって来た。事故が度重なったのだ。母が転び、立ち上がって電話にでられないことがあった(その夜わたしが電話をかけても母はでなかった)。また起き上がることはできても家の鍵が見つからず、買い物もままならず、食べるものが何もなかった、ということもあった。買い物はしたものの、今度は買い物かごの中に鍵が見当たらず、ドアの前でじっとしているということもあった。その時は運良く、母は首に呼び出しアラームをかけていて、ボタンを押してガードマンを呼ぶことが出来た。ガードマンが私に連絡をよこし、駆けつけてみると、母は階段の下に座って辛抱強く待っていた(わたしはパリからそう遠くない所にいたのだった)。母の暮らしぶりは危なっかしく、ハッとすることも度々あった。わたしは、若い女性が定期的に母を訪問するようにしてもらったのだが、母はなかなか彼女を受け入れず、二度に一度は彼女と分からず、ドアを開けようとしなかった。
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 次回は少し長くなりますが、p.38 quie’tude de l’instabilite’.までとします。
 ぼくは、職業柄でしょうか、早々とのど風邪をひいてしまいました。どうかみなさんも気をつけて下さい。