フランス語読解教室 II

 多様なフランス語の文章を通して、フランス語を読む楽しさを味わってみて下さい。

Pourquoi Obama ?

2008年11月05日 | Weblog
 今読んでいる「フロイト」のテキストと共に、来週は上記の11月3日付けの Le Monde の社説を読みます。
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 smarcel@mail.goo.ne.jp
 までお知らせ下さい。添付ファイルにてお送りします。
 smarcel

オクターヴ・マノーニ『フロイト』(7)

2008年11月05日 | Weblog
 [注釈]
 * se laisser e’garer au point d’appliquer (…) : 被分析者の幻想に忠実であれ、とフロイトは言いたいのでしょう。au point de inf. : …するほどに ex. Elle riait au point de s’e’touffer.
 * quand il est claire qu’aucun crime re’el (…) : この quand は「譲歩」を意味しています。ほとんど quand me^me に近いですね。ex. Quand vous vous fa^cheriez, cela ne servirait a` rien.
 * le sentiment (...) n’a pour objet que le vœu fantasmatique : avoi qn / qch pour + 無冠詞名詞「…を~として持つ」ex. Cet accident a pour cause l’imprudence du conducteur.

 [試訳]
 ところでその論文のある一節(そこで自身の精神分析的な位置づけを定義している本質的な一節) で、フロイトは自分の懸念を強調している。「抑圧されていた心的形成を現実の尺度に合わせようとする余りに、方向を見失ってはならないし、またその結果、現実ではないことを理由に諸症状の形成における幻想の重要性を過小評価してはならない。たとえば、実際の罪が明らかに出来ないからといって、罪責感に別の起源を求めようとしてはならない。私たちは、探索先で使用されている貨幣を使わなければならない。私たちの場合でいえば、それが神経症(幻想)という貨幣である。」まさしくそこでフロイトは、「死んでいるのにそのことを知らない」父についての夢を例示してる。この夢における罪責感は、夢見るものの幻想的な願いをまさしく対象としている。
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 Moze さん、ご紹介いただいた鷲田清一の本、見落としていました。鷲田の新著には常に目を配っているつもりだったのですが...。
 今、東京大学出版会が『死生学』という全5巻の叢書を出版中です。そのPRも兼ねてでしょうが、熊野純彦が同出版会のPR誌に「死なれる」という、とてもいいエセーを寄せています。後期の授業が始まったばかりの頃に学生たちにも紹介した一文んです。
 少年時代多くの時をともに過ごした友人からの突然の電話で、その友人の妻の死を知らされます。そのとき友人が口にした「死なれた」という、西洋語には翻訳不可能にも思える言葉が書き手に残した思いから紡がれた文章です。少しだけ引用しておきます。
 - 「死なせた」をふくむ「死なれた」は、だからたぶん、かかわりようのない他者の死に、それでもかかわろうとする切実さをもった言葉なのだろう。被害と加害がないまぜになった、とりかえしがつかない思いが交錯する言いまわしなのだろう、きっと。
 
 次回は、残りも少なくなりましたが、p.149. fonde'e sur le fantasme. 最後までとしましょう。
 smarcel