フランス語読解教室 II

 多様なフランス語の文章を通して、フランス語を読む楽しさを味わってみて下さい。

「フランソワーズ・ドルトについて」の注釈

2008年11月19日 | Weblog
 [注釈]
 * comme le pensaient les philosophes des Lumie`res (…) : 中性代名詞 leは、前後の文脈からすると l'amour et la bonne e'ducation suffisent a` faire (...) un adulte という内容を表しています。comme は「…ように」なのか「…のようには」なのか、判断に迷うことがありますね。今回は、on sait mieux encore qu'autrefois, attache's a` l'ide'e que..がその判断のポイントになります。
 * fussent-elles les plus nobles : fu^t-ce … 「たとえ…でも」ですから、そのヴァリアントですね(辞書で e^tre の項目を調べてみて下さい)。それから、les plus nobles ここの最上級は、Moze さんが訳されていた通り、これも「譲歩」の意味を含みます。

 [試訳]
 
 「子供たちの立場」
 フランソワーズ・ドルト生誕100年を迎えて、フランスの子供たち、親たち、若者たちは、さまざまな批判はあるにしても、児童精神分析のバイオニアであるのみならず、フロイト思想を広める言葉を見つけることに巧みであったこの卓越した女性に、自分たちが何を負っているのかを思い出すべきではないだろうか。メディアによって広められたドルトの言葉によって、実際私たちはかつてよりもずっとわきまえている。子供を小さな大人と信じて疑わなかった啓蒙哲学者たちが考えていたように、子供を知恵のある大人に育てるには、愛情とよい教育だけで十分である、ということはないということを。なぜなら、教育を成功させるためには、さらにつぎのことを知っておかなくてはならない。教育が伝えようとする価値は、たとえそれがどんなに立派なものであっても、価値を伝えようとする者が子供たちの無意識の欲望に耳を傾けないのであれば、つねに正反対の価値になってしまう危険があるということを。

「明子さんの訳についての注釈」
 * les liberte's publiques :「大衆の自由」とするとちょっと限定されてしまうので、ここは「人々の自由」ぐらいにすべきでしよう。
 * Ce serait de'ja` beaucoup : Ce は 前文にかかげられた Plusieurs raisons です。オバマが新大統領により相応しい数々の理由だけでも、十分であるが、「さらにオバマの存在はアメリカを超えるモデルとなりうる」
 * enfin, la` ou` l'e`quipe Bush... : オバマが新大統領により相応しい最後の理由が conscience environnementale「環境への配慮」。「この分野においてブッシュ政権は、従来の消費モデルをあらためて見直そうとはしなかった」
 * ce que le Parti re'publicain a de plus ultra. : de + 形容詞は、 ce にかかります。ですから、「共和党のより極右的なところ」
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 今回のみなさんの訳文を見ていると、Le Monde の記事などは十分理解出来るフランス語力をお持ちなのがよくわかります。A la Une に限って、インターネット上で閲覧可能ですから、是非時々覗いてみて下さい。
 さて次回は、遅くなりましたが、Le Cle'zio がノーベル賞受賞直後の Le Monde の社説を読むことにします。
 smarcel