smarcel です。shoko さんのお話を受けてのさきほどの余談ですが,訂正があります。ぼくの知り合いが五嶋みどりさんとクラスメートだったのは、豊中市の小学校でのお話でした。「堺」、「中学校」というのはいずれも間違いです。ごめんなさい、訂正いたします。なお豊中市は、大阪市の北部に位置する街です。
[注釈]
* l'e'crivain de la ruputure : misayo さんが各種新聞で調べてくれた訳語の中では「発展を続ける」が比較的近いでしょうか。 rupture とはこの場合、以前のあり方からの「断絶」を意味します。フランス共和国大統領などが就任当初よく la politique de rupture と口にしていました。この場合は「変革の政治」となるでしょうか。
* une humanite' au-dela` et en dessous de la civilisation re'gnante : 支配的な文明の周縁や、その文明の足下にまだ生きている人間のあり方。
* la fuite en avant mate'rialiste : la fuite en avant 「破れかぶれで前に突き進むこと」
[試訳]
ノーベル文学賞をジャン-マリー=ギュスターヴ・ルクレジオに授与する理由を述べるにあたって、スウェーデン・アカデミーは、詩的冒険と感覚的恍惚を備え持つ、常に新しい作家と讃え、またとりわけ、支配的な文明の彼方にある、または踏みつけにされたその足下にある人間性の探求者と称賛した。こうした賛辞は今特別の響きをもつ。なぜなら昨今、市場資本主義の行き過ぎが、世界を、「支配的な文明」を、滅亡に至ろうとする金融の混乱に追いやっているからだ。
ノーベル賞の栄誉は、書くことによって自身の怒りを鎮めて来た、反骨の人の著作活動に輝いた。けれども、消費社会に対して、破れかぶれの物質主義に、「巨大なサルの檻のような、都市文明の苛立たしくもむなしいばか騒ぎ」に、向けられたその目の厳しさが和らぐことはなかった。
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Le Monde の社説は、分量も程々で、文体もそう難解ではなく、フランス語中・上級者の読解の教材にうってつけです。でも、みなさんには少し物足りないかもしれませんね。そう思えるほど、それぞれの訳に大きな読み間違いは見られませんでした。
shoko さん、五嶋みどりさんのお母様はたぶん堺の方だと思います。ぼくのちょっとした知り合いが、堺の公立中学でみどりさんとクラスメートだったそうです。もっとも、もう当時から演奏活動に忙しかったみどりさんを教室で見かけることはほとんどなかったそうですが。
おそらく、ある程度年配の方で,また堺の方だと、みなさんが普段テレビで耳にしている「吉本言葉(関西芸人言葉)」とは、また趣の違った言葉でお話しになられたと思います。首都圏で、大阪弁は市民権を得ている、などと言われていますが、それは正確にいえば「コメディアン言語」のことでしょう。みどりさんのお母様が話された言葉は、一種の humanite' en dessous de la civilisation re'gnante と言えるかもしれません。
それでは次回は,l'Atlantique... までとしましょう。
* l'e'crivain de la ruputure : misayo さんが各種新聞で調べてくれた訳語の中では「発展を続ける」が比較的近いでしょうか。 rupture とはこの場合、以前のあり方からの「断絶」を意味します。フランス共和国大統領などが就任当初よく la politique de rupture と口にしていました。この場合は「変革の政治」となるでしょうか。
* une humanite' au-dela` et en dessous de la civilisation re'gnante : 支配的な文明の周縁や、その文明の足下にまだ生きている人間のあり方。
* la fuite en avant mate'rialiste : la fuite en avant 「破れかぶれで前に突き進むこと」
[試訳]
ノーベル文学賞をジャン-マリー=ギュスターヴ・ルクレジオに授与する理由を述べるにあたって、スウェーデン・アカデミーは、詩的冒険と感覚的恍惚を備え持つ、常に新しい作家と讃え、またとりわけ、支配的な文明の彼方にある、または踏みつけにされたその足下にある人間性の探求者と称賛した。こうした賛辞は今特別の響きをもつ。なぜなら昨今、市場資本主義の行き過ぎが、世界を、「支配的な文明」を、滅亡に至ろうとする金融の混乱に追いやっているからだ。
ノーベル賞の栄誉は、書くことによって自身の怒りを鎮めて来た、反骨の人の著作活動に輝いた。けれども、消費社会に対して、破れかぶれの物質主義に、「巨大なサルの檻のような、都市文明の苛立たしくもむなしいばか騒ぎ」に、向けられたその目の厳しさが和らぐことはなかった。
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Le Monde の社説は、分量も程々で、文体もそう難解ではなく、フランス語中・上級者の読解の教材にうってつけです。でも、みなさんには少し物足りないかもしれませんね。そう思えるほど、それぞれの訳に大きな読み間違いは見られませんでした。
shoko さん、五嶋みどりさんのお母様はたぶん堺の方だと思います。ぼくのちょっとした知り合いが、堺の公立中学でみどりさんとクラスメートだったそうです。もっとも、もう当時から演奏活動に忙しかったみどりさんを教室で見かけることはほとんどなかったそうですが。
おそらく、ある程度年配の方で,また堺の方だと、みなさんが普段テレビで耳にしている「吉本言葉(関西芸人言葉)」とは、また趣の違った言葉でお話しになられたと思います。首都圏で、大阪弁は市民権を得ている、などと言われていますが、それは正確にいえば「コメディアン言語」のことでしょう。みどりさんのお母様が話された言葉は、一種の humanite' en dessous de la civilisation re'gnante と言えるかもしれません。
それでは次回は,l'Atlantique... までとしましょう。