[注釈]
*une moindre mesure en Europe : さきのアメリカの例と比較して、ということです。
*le graphique ci-dessous : ここは先にお断りするべきでしたが、この図表はどうしたわけかコピーできませんでした。
*une <> : 国境を越えて収益を得ながらも、特定国での税を逃れているグローバル企業に対する課税をも可能にする、という意味で u-topie「場所を持たない」という言葉が使われているのでしょう。
[試訳]
「こうした問題がまさに今アメリカで議論されているとしても驚くにはあたらない。再び不平等な社会が回帰していることに、人々は不安を募らせているのだから。アメリカは伝統的に高い平等を実現した国であり、それはこうした問題をめぐり、階層と世襲から生まれた不平等に直面していたヨーロッパそのものと対立する中で建国された国であった。また、忘れてはならないのは、累進課税を考案したのは一世紀前のアメリカであり、それはまさしく自分たちの国がヨーロッパのように不平等な国となることを怖れていたからであった。」
今のアメリカほどではないにしろ、ヨーロッバにおいても現下の問題はこうだ。グラフが示すように、欧州という古い大陸の1910年時における世襲財産の総計は、国民所得の6倍から7倍に相当していたが、1950年には2倍から3倍となり、2010年には、4倍から6倍に相当するまでになっている。
新たなタイプの世襲社会が無視し得ないほどに隆盛していることに直面して、著者ピケティは、最も富めるものを着実に対象とできるよう累進課税を見直すことを、また「場所を問わずに有効な」、資本に対するグローバルな税の創設を提案している。
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misayoさん, midoriさん、mozeさん、訳文ありがとうございました。今回も、みなさん正確に文章を理解していました。
今回テキストとしたLe Mondeもフランスのキオスクで求めると2 euros。以前あまり意味のなかった「高級紙」という枕詞が本当になってきました。それでも一部はネット上で閲覧可能ですから、興味に任せてみなさんもいろいろ読んでみて下さい。
さて、次回からはフランスで現在活躍中の作家Annie Ernaux が浩瀚な自身の作品集に寄せて序文を読むことにします。この週末にみなさんのお手元にお届けすることにしますが、初回はp.7 ...qui nous habitent. までを読みます。また、その部分の試訳は15日(水)にお目にかけることにします。お楽しみに。Shuhei