Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

鹿児島・薩摩硫黄島へ【3】絶景を求めて

2013年06月25日 | ■旅と鉄道
 朝方、雨が屋根を叩く音で目覚めましたが、5時頃には上がった模様。
 1泊2日とはいえ、島にいられる時間は10時までです。早起きして、5時半には宿を出て歩き出しました。


 島の中心部(?)にある商店(?)の自販機。空いている棚だらけですが、きちんと動いています。
 ちなみに島で見かけた自動販売機は、民宿の前にあるものも合わせて2台だけ。そちらはサントリーなので、選択の幅はそれなりにあります。


 民家の前で見かけたシーサー。琉球文化の影響も受けているのかな?
 このお宅だけでしか見なかったので、個人の趣味かも。


 硫黄島小中学校。校庭は草で覆われ、裸足で駆けたい気分でした。
 子どもがいたら、ぜひこの学校に「しおかぜ留学」させたい!

 恋人岬への道を歩いていたら、三島村の文字が入った軽トラが止まり、「乗りな!」。朝6時の街を歩く見知らぬオッサンを拾ってくれるのですから、大らかなものです。
 役場の出張所(ちなみに本庁は鹿児島市内にある)に勤める方で、今日は竹の切り出しがあるため、カマを研ぎに「空港」に行くのだとか(笑)。空港へは距離があるので行くのを諦めようと思っていたので、願ったりかなったりでした。おっちゃん、感謝!


 硫黄島空港のターミナル(?)は、こじんまりした平屋建て。敷地の前には立ち入り禁止の看板があるのですが、フェンスも建物の入口も、そして管理室までもフルオープンでした。
 島ではまず家の鍵はかけないとのことだけど、空港も同じ感覚だなんて、ほんとに平和なんだろうなあ。


 チャーター機しか来ないとはいえ、いちおう営業中の空港、その滑走路に立つ!
 ちなみにこの小島に空港があるのも、ヤマハのリゾート開発に伴うもの。現在は村の所有で、イザという時には飛行機でひとっとびできるのは安心だとか。飛行機のチャーター料は7万円かかるそうですが、漁船を鹿児島まで飛ばせば15万円かかるので、安いものだそうです。


 滑走路の点検のため、車で滑走路を往復。ミニ空港で滑走路も600mしかありませんが、車で走れば広大です。
 島の人も島内の隘路では車を飛ばせないので、ストレス解消に滑走路でブンブン飛ばすこともあるとのこと。こんな空港、全国でもここだけでしょう!


 恋人岬まで送ってもらい、おっちゃんと別れました。島西部の突端にある岬からは、天気がいいと屋久島まで見えるのだとかそうです。今日はあいにくの天気だったけど、硫黄のグラデーションが独特の風景を見せてくれました。
 ちなみに恋人岬の名は、恋人同士で来ると結ばれるという逸話からだとか。しかしここまで一緒に来るような恋人なら、すでに固い絆で結ばれているんじゃ?


 岬橋から見下ろした、朝の硫黄島の集落。


 西側は、断崖絶壁です。


 牧場だけ見てると、その先が絶壁とは想像つかないんですけどね。
 この牧場に沈む夕陽も、また絶景なのだとか。


 宿まで1時間かけて戻り、やはりモリモリ朝ごはんを食べれば8時10分。船の時間までは2時間を切ったけど、もう一度 東温泉に行く時間はある!というわけで、往復1時間かけて、20分の朝風呂を楽しんできました。
 昨日は入れなかった熱めの浴槽も、夜の間に冷めたのか適温に。気持ちよかった!


 9時半に宿に戻れば、他の宿泊客はみな港に行ってしまったらしく、もぬけのから。荷物をまとめて、急いで港に向かいました。
 待合所兼出張所に入ると、すでに窓口は閉まっていました。往復券を買っておいてよかったと思ったけど、切符は乗船後にも買えるのだとか。このあたりも大らかです。


 フェリーみしまには、M" LINEの愛称が付いています。マルエーフェリーの「A"LINE」をパクったわけじゃないですよね(笑)。


 ジャンベの奏でに送られて、硫黄島を出発します。
 また来ることもありそうな島です。その日までみなさん、お元気で!


 硫黄岳は、ついに姿を現してはくれませんでした。


 4時間の航海を終え、やはり雲に覆われた桜島に出迎えられて鹿児島到着。


 このレトロな切符が記念に欲しかったけど、村営航路らしく「監査があるため」という理由で回収となりました。


 久留米までの帰路も高速バスです。鹿児島側は種子島・屋久島方面ターミナルが起終点になっており、三島行き埠頭からも徒歩3分ほど。南の島までは、久留米からでも乗り換え1回で結ばれているのです。


 ゆったりシートに身をうずめます。


 天文館を経由し、一路久留米へ。家に帰り着いたのは、19時過ぎのことでした。
 思いの他気軽で、リフレッシュできた週末の離島旅行。硫黄島にもまた行きたいし、南西諸島の島々や五島方面も週末旅行してみたいなと思えた旅でした。

鹿児島・薩摩硫黄島へ【2】波打ち際の温泉で大自然と一体に

2013年06月25日 | ■旅と鉄道
 鹿児島県鹿児島郡三島村、硫黄島。この島の存在を知ったのは、中学生の時に読んだ雑誌「旅と鉄道」と、自費出版誌の「全国駅前銭湯情報」に載っていた記事からがきっかけでした。
 硫黄で港は茶色に染まり、孔雀が舞い、波打ち寄せる秘湯がある島。今のようにネットもなく、限られたモノクロ写真と文章以上の情報は得られませんでしたが、何か大いに引きつけられた島でした。

 硫黄島は鹿児島から船で片道4時間、船は週に2~3便と、決して便利な場所ではありません。行こうと思えば、福岡から1泊2日ででも行けるのですが、なかなか踏ん切りがつかず、長年の間、遠き地になったままでした。
 今年は行きたい場所へ「行きたい」気持ちに嘘を付くまい!という決心があったので、思い切って旅立つことにしました。前日は知覧の武家屋敷と市内の夜を楽しみ、明けて2日目の始まりです。


 天文館のホテルで、やや二日酔い気味のまま朝ごはんをモリモリ頂き、8時半に出発。鹿児島港、十島(としま)方面航路の待合所向かいにある、三島(みしま)方面の待合所で、往復の乗船券(7千円)を求めました。
 切符はJRの硬券を横長にしたような体裁で、乗船時に鋏を入れられました。


 離島航路の醍醐味は、島の生命線として活躍する様子を垣間見られるところ。慌ただしく物資が積み込まれ、9時半の出航の時間を迎えます。


 行ってらっしゃい、行ってきますの言葉を交わしながら、テープを引きつつ出発していく船。誰の見送りかは分かりませんが、部外者の僕も目頭が熱くなってくる光景でした。


 ボードで作った巨大な「手」を振る親子の姿も。大きく手を振る姿と「行ってらっしゃい」の声は、豆粒のように見える距離になっても消えませんでした。


 鹿児島港内は、離島航路と沿岸航路が錯綜し、賑やかです。桜島は、雲に隠れたままでした。


 寝不足を補うべくウトウトしていたら、いつの間にか3時間が過ぎ、第一の寄港地、竹島が近づいていました。フェリーが接岸するほどの港なのに海底まで見通せるほど透き通っていて、晴れていれば さぞかし美しい海を見られたことと思います。


 「ようこそ」の横断幕を掲げた子どもたち。三島村には「しおかぜ留学」なるプログラムがあり、そのお出迎えだったようです。となると、鹿児島のテープ投げも「留学」の見送りだったのでしょう。長期間、子どもを送り出す親御さんたちの気持ちが響いてきました。


 竹島出航後20分ほどで、目的地の硫黄島が近づいてきました。活火山の硫黄岳は雲に覆われ、その雄姿を見せてはくれません。


 海底から沸く硫黄分で、茶色に染まった港に入港。




 港では島の人が、明るく軽快なジャンベのリズムで歓迎してくれました。こちらも しおかぜ留学の子がいるのかな?と思ったのですが、後から聞いたところでは、入港の度に行われているのだとか。楽しい島での時間を期待させてくれました。


 お世話になったのは、「島宿ほんだ」さん。1泊2食、1人1部屋で7,500円です。


 さっそく島内探検へ。まずは港から4km、島北部の坂本温泉を目指します。公共交通機関などない島なので、頼れるのは自分の足のみです。
 なお島内にはご覧のような立て看板があちこちにあり、地図なしでも迷わず行けそうな気がしますが、肝心な場所で案内が出ていないところが何箇所かありました。地図は必携だし、標識になくても地図を信じて歩くのみです。


 雲の切れ間から見えた硫黄岳。雲だけではなく、中腹のあちこちから噴煙が上がっています。
 途中からはケータイも通じなくなり、一人ぼっちで歩いていると少し孤独感も。虫や爬虫類が苦手なタチなので、藪の中から「ガサッ」と音がすると、つい身構えてしまいます。


 そんな寂しい気分も、温泉に着いたら吹き飛んでしまいました。干潮時にのみ現れる海岸の温泉、坂本温泉です。潮が満ちてくると海水が混じり、天然の温水プールになるというユニークな温泉で、この時間はちょうど潮が満ちてくる時間。


 30分も経つと、かなり海水面が上がっていました。地球の営みも感じられる温泉です。
 おびただしい数のフナムシや、温泉の底のヌルヌルに ちょっとひるんでしまいましたが、ワイルドさも また楽し。


 今度は、別の峠を越えます。硫黄岳へ伸びる道も分岐していましたが、現在は火山活動が活発なため立ち入り禁止になっているのだとか。いずれにせよ、相変わらず雲に覆われ硫黄岳は姿を現してくれません。
 歩くこと1時間、東海岸の水平線が見えてきました。


 さらに海岸を歩くこと約5分、ついにこの風景に出会えました。波打ち際の野湯「東温泉」です。温泉にまで届かんばかりの波しぶきに少したじろいだけど、ええいと服を脱ぎ飛び込みました。ワイルド!
 フナムシの姿はなく、温泉も透明できれい。底は海藻と砂がたまているだけで、ヌルヌルもありません。かなり強い酸性のようで、お湯で顔をぬぐったら、目がヒリヒリしました。ニキビや水虫は、一発で治ってしまいそうです。


 海へ落ちる温泉に、波がぶつかる迫力ある光景。
 ちなみに新聞社の人を連れ立ってやって来た島の人によると、波が高い時には海を背にせず向き合って、高波が来たら体が持って行かれないように潜るのだとか。なんと恐ろしい!
 ともあれ大自然に抱かれる気分は、格別。東温泉に魅せられ、何度もやって来る人がいるというのも頷ける思いがしました。


 帰路は海岸沿いの道をとぼとぼ。ガードレールが茶色なのは、景観条例を順守したからではなく、錆びているからです。
 港から東温泉までは歩いて25分、アップダウンも少なく無理のない距離でした。


 ワイルドな温泉はちょっと…という方は、開発センターの温泉がおすすめ。泉質は違いますが、かけ流しのいい湯で、しかも無料です。ただし火・木・土の14時~19時半限定です。


 温泉では、みなさんから「こんんちは」と声を掛けてもらい、小学生君など出て行く時には「失礼します!」と挨拶していく礼儀のよさ。洗面器や椅子もきれいに片づけられており、マナーのよさは驚くほどでした。


 開発センターにいた孔雀。かつてヤマハがリゾート開発を行った際に持ち込んだもので、現在は野生と化して島のあちこちを闊歩しています。
 「鳥類センター」のある久留米市民にとって、その声も姿も見慣れたものなのですが、いきなり出くわすと驚きます。


 島の集落は、小道にも通りの名が付けられていました。


 宿の食事は、島特産の「亀の手」やタケノコが並びました。炊きたてご飯もおいしく、モリモリ食が進みました。
 スーパームーンだったこの日、月明かりは強く、岸壁に座ればちょうどいい温度の風が吹きぬけて行きます。同宿の方と焼酎をくみ交わしながら、穏やかな夜の時間を過ごしました。