Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

若松線完全DENCHA化と駅無人化…筑豊本線のH29.3新ダイヤ

2017年03月06日 | ■旅と鉄道

 若戸渡船の渡船場から、若松駅まで歩いてきました。
 若松駅舎は、リニューアルを終えたばかり。グレーの外壁に細めのフォントが、クールな印象です。


 コンコースは、天井と壁こそ変わったものの、床は時代がかったタイルそのまま。指宿や霧島神宮といった、観光地の駅舎のリニューアルとは、少し力の入れ方が違います。
 石炭とともに歩んできた駅の変遷を、写真で辿れるのは、歴史ある駅ならではです。


 駅のうどん屋さんが健在なのは、嬉しい限り。お弁当も買うことができます。
 時間はちょうどお昼時。電車に乗る前のおじちゃん、おばちゃんや、早退の高校生と一緒にすするうどん、おいしかったです。


 しかし若松駅から直方駅までの各駅(折尾、直方を除く)は今回の新ダイヤで、無人化という合理化の洗礼を受けました。株式上場後初の合理化策とあって、地元ニュースでは大きく取り上げられました。
 若松駅と中間駅だけは完全無人化に至らず、朝の2時間だけ窓口が開きます。沿線利用者や市議会などの反発を受けた、一定の譲歩でした。


 券売機の横には、大型画面の列車運行情報装置が設置されていました。列車の現在位置がざっくりしていて分かりにくいものの、サービスダウンを、少しでもくい留めようという配慮は感じられます。


 自動改札機は、切符の投入口が閉鎖され、ICカード専用になりました。自動改札機に慣れた切符利用者が、もっとも戸惑うところで、ホントに通さなくていいの?という表情です。
 高価な改札機が、ICカード用の簡易改札機と同等機能しか使われていないのは、もったいない話。簡易改札機に交換して、改札機が不足している駅に移設してほしいものです。


 若松駅には売店があり、駅が無人の時間帯でも、人の目が届いています。
 周囲にコンビニもないし、いっそファミマにでも改装すれば、24時間明るい駅になりそうだ…と思っていたのですが、なんと今月末をもって閉店してしまうのだとか。うどん屋さんには何とか持ちこたえてほしい、「区の玄関口」でした。


 若松線の明るい話題は、すべての列車が819系蓄電池電車・愛称「DENCHA」に置き換わったこと。古びたディーゼルカーから、最新鋭の電車「同等」の車両にグレードアップしました。
 若松~折尾間の所要時間は、これまでの18分から16分に短縮。さらに、2001年の部分電化以来、折尾で分断されてきた列車も、直方への直通が復活しました。限りなく電化に近いインパクトがある新ダイヤです。


 前回乗った際、電車より少し加速が劣るかなと感じましたが、改めて乗ると さほど違和感がありません。軽快に飛ばし、電化区間とまったく変わらない乗り心地に感じられました。
 今回の改定は、若松線にとって明だったのか暗だったのか。少なくとも、暗を極力カバーするような施策は打たれたことは確かです。


 二島駅で下車。


 若松線というか、筑豊本線の各駅は小駅であっても、駅の敷地が広々としています。


 若松駅と同水準の利用者がいる、二島駅。自動改札機はフルスペック型で、窓口も設けられていましたが、完全に無人化されました。
 若松駅には案内の係員さんがいたのに、二島駅には人の気配がなし。香椎線無人化の際には2週間、案内の係員を配置する経過措置があったのだけど…


 高校生の利用者が多くいる駅。親御さん達は、無人化をどう受け止めているのか、気にかかります。


 次の「電車」は37分後。昼間は1時間に2本の若松線、運行間隔が一定していないのが玉に傷です。
 時間もあるので、駅と平行する国道199号線を、奥洞海駅へ歩いて戻ってみました。通行量が多く、ロードサイド店舗も張り付き、典型的な地方の幹線道路の雰囲気。市バスが頻繁に走っていて、便は良さそうです。


 途中の踏切で見かけた、若松行き。架線のない線路を、モーター音を静かに響かせ走っていく「電車」に、まだまだ違和感を拭えずにいます。


 若松競艇の最寄り駅としてお馴染み、奥洞海駅着。


 以前からの券売機があるものの、ICカードには対応していません。残高不足の場合は、下車の時に、遠隔操作の精算機で精算することになります。
 ぴったり0円の時は、切符に頼らざるを得ません。


 女性の係員さんが、乗客に係員案内型精算機の使い方を説明していました。従来では対応できなかった時間帯でも案内できます!と謳われる、スマートステーションの最重要ツールの一つですが、さて利用者の評価はいかに。
 しばらく目を離していると、係員さんの姿が見えなくなりました。困った人がいたら、どこかから登場する段取りなのかな。


 無人化に合わせ、ホームの案内表示は大きく、見やすいものに改善。一部ホームのかさ上げも実施されていました。


 直方行き「電車」に乗車。


 車内のモニタでは、ハイブリッドカーよろしく電気の動きが「見える化」されています。
 蓄電池モードでブレーキがかかっていると、こんな感じ。


 折尾駅に到着。30人ほどの乗客のうち、乗り通すのは僕を含め5人でした。その数が多いか少ないかはともかく、工事中で筑豊本線の上下ホームの動線は長くなっており、5人にとって助かることには間違いないです。
 パンタを上げて、直方までは「普通の電車」として走行します。


 9分停車の間に新たな乗客を迎え、直方方面へ。電化区間に入り、加速がいくぶん良くなったような気がするけど、気のせいかも。
 電化区間では、ブレーキで発生したエネルギーは架線へと回生されます。


 中間駅で下車。中間市の玄関であり、今回無人化が実施された各駅の中では、最多の乗客数を誇ります。


 駅舎内では、点字ブロックの工事中。これまで窓口へ誘導されていたブロックを撤去し、直接改札に向かうよう修繕されていました。窓口が開く朝の2時間のことを考えれば、適切なのかちょっと考え込んでしまう所ですが、うーむ。
 過渡期の案内員さんは中間でも見当たらず、工事の担当者が適宜案内していました。遠隔操作のスタッフも中間に詰めているはずだけど、事務室から人の気配がしません。


 列車運行情報は、事務室の改札口窓口にはめこまれていました。画面のサイズが若松に比べて小さく、見えづらさを感じる人もいるかも。


 ダイヤ改定の告知ポスター。「3月4日より筑豊本線が変わりました」って、頑張って定着させてきた福北ゆたか線&若松線の愛称はどこへ?
 両方を総称する時には、筑豊本線の愛称は健在のようです。


 係員対応精算機には、マグネット式のフックに、ホワイトボードとペンがぶら下げられています。耳が不自由な人向けのものでしょう。急ごしらえ感は拭えないけど、利用者の意見を真摯に聞いた結果ではあります。
 ただこの精算機、少し背が高すぎるのでは? 子どもや車椅子の人には、とても届かない高さに、呼び出しボタンと画面があります。


 次の電車も「DENCHA」でした。折尾~直方間では1時間に3本の電車のうち、2本が「DENCHA」に変わっています。
 これまでの817系も充分新しかったし、革張りのクロスシートがロングシートに変わった点も、人によってはサービスダウンと捉える向きもあるでしょう。若松線と違って、無人化の側面がよりクローズアップされそうな区間です。


 鞍手で下車。ちょうどやって来た若松方面の「DENCHA」を、跨線橋から見送りました。パンタグラフを上げて走る姿が、やっぱりしっくりくるデンチャ…もとい、電車です。
 駅周囲は田んぼばかりで、民家は数軒のみ。しかし埴生駅は、1日の利用者が千人を超えます。


 コミュニティバスが接続し、パーク&ライド用駐車場も整備された、交通結節点。もとは鞍手町内を走っていた、室木線廃止と引き換えに作られた駅で、街唯一の玄関口です。
 それだけに無人化には、寂しい思いをしている街の一つでもあると思います。


 改札口に設置されていた、磁気きっぷ用の簡易改札機は撤去されていました。今後は、入場記録のない定期券や回数券でも出場できるということであり、キセルを助長しないか心配です。
 都市圏の電車なのに車掌もおらず、改札もしないという方法は、ヨーロッパで見られる「信用乗車」により近づいたように感じられました。かの地ではなぜ問題なく運用できるのか、あるいは何が問題なのか。探るべき段階にあるのでは。


 鞍手~直方で乗ったのは、黒崎方面からの電車だったので817系でした。819系と同様、ロングシートの2両編成で、データイムの車両の仕様が揃った格好です。木製の座席が固く、819系並みのクッションの厚さがほしいところ。
 若松~直方の直行が増えた反面、直方での列車分断は、今回の新ダイヤでさらに進みました。同じホームで博多方面の快速と接続し、不便は最小限になっています。


 桂川で「原田線」こと、桂川~原田間の区間列車に乗り継ぎ。以前まで活躍していた国鉄末期のキハ31系ではなく、さらに古いキハ40系が待っていました。
 若松線の「DENCHA化」に合わせキハ31系7両が廃車されており、これに合わせて原田線の車両も変わったのか? 今回ダイヤ改定で何も影響がない区間と思っていたので、思わぬ変化でした。

「有明」「かもめ」併結スタート!+高架化された折尾駅見分

2017年03月06日 | ■旅と鉄道
 平成29年3月のJR新ダイヤ。九州では、肥薩線観光列車「やませみ・かわせみ」の運行開始や、九州新幹線の通常ダイヤ復帰など、小粒ながらも明るい話題に恵まれました。一方で日豊本線「にちりん」のワンマン化という、一歩踏み込んだ合理化も進められています。
 福岡県周辺でも、明暗それぞれ変化が見られた今回のダイヤ改定。初の平日となった3月6日(月)、見分に出かけてみました。


 JR久留米駅で待ち受けたのは、7時48分発の吉塚行き特急「有明4号」。新幹線開業後も通勤時のみ残った、鹿児島本線の在来線特急の1本です。
 博多着8時29分と、福岡への通勤にはうってつけの時間。混み合う快速電車を避け、快適に通勤しようという人で、乗降口には列ができました。


 自由席は9割以上の乗車率で、相席を嫌いデッキに立つ人もいます。とはいえ自由席はわずか3両。最大で11両を連ねた、「リレーつばめ」時代の面影はありません。
 指定席とグリーン席が半室ずつの1両は無人で、なんだかもったいない気もします。


 「有明4号」そのものはダイヤ改定前から走っていた列車で、今回の新ダイヤでの変化は、鳥栖駅以北。佐賀~吉塚間に増発された「かもめ104号」を、鳥栖で連結するのです。
 鳥栖駅での特急連結は2005年の寝台特急「さくら」廃止以来なので、実に11年ぶりの復活。今日は初日とあって、社員さんが数人、立ち会っていました。


 日中は「みどり」の運用に入る「有明」編成に、ソロリソロリと「ハウステンボス」編成の「かもめ」が近づいてきました。社員さんに加えギャラリーも見守る中で、11年ぶりの連結劇が始まります。




 とはいえ両編成の併結は、早岐駅で毎日行われてきたもの。特にトラブルもなく、あっさりと完了しました。




 従来からあった「有明 博多・吉塚」に対し、「かもめ 博多・吉塚」は今回、初お目見えの方向幕です。


 両編成間の貫通扉も、しっかり開かれました。


 混雑していた「有明」に対し、「かもめ」編成はガラガラ。新ダイヤ初日では、まだ行動パターンを変え辛い時期なのかもしれません。定期も書き換わる4月には、混雑するようになるのでは。
 それにしても朝の上り特急、佐賀駅では7時台だけで17分、29分、38分、56分と、4本も発車するようになりました。佐賀市のベッドタウン化、ますます加速!?


 多くの特急が止まる二日市駅も、朝通勤時の上り特急は通過。二日市から博多までの特急料金は300円なので、気軽に乗ってくる人で溢れても困るという判断なのでしょう。


 南福岡駅では、通勤客で満載の普通電車を追い越し。他に原田や太宰府信号所でも追い越しがあり、通勤時の特急運行が普通電車に及ぼす影響は大きいものがあります。
 今回の増発に対しても、「純増」という選択は取りづらかったものと思います。


 さて、今回の併結劇で最も とばっちりを被った形になるのは、有明4号の常連客でしょう。久留米以南の発車時刻は変わらないまま、鳥栖での連結作業の分、博多到着は8分も遅くなったのです。
 気付かないまま今日を迎えた人は、受難だったのでは? 博多に到着するやいなや、猛ダッシュで降りて行った人が、少なくとも10人はいました。朝の8分は貴重、お疲れ様です!


 博多で3分停車の後、1駅間は普通電車となって終点、吉塚には8時32分着。


 博多ほどではないけど、8両の電車から乗客が残らず降りれば、そこそこの数になります。


 吉塚駅周辺は官庁街。一般的な公務員の出勤時刻は過ぎているけど、時差出勤組ならベストタイムの時刻です。駅前のダイヤモンド交差点は、青になるとスーツ姿で埋まりました。




 というわけで、僕も人波に乗り九大病院へ。


 外来棟のサブウェイで、朝食にしました。


 吉塚駅には、ダイヤ改定にまつわるこんな告知も。わずか2分早くなるだけとはいえ、終電とあっては死活問題でもあります。


 上りの快速電車に乗り、折尾へ。
 1月2日に高架化されたばかりのホームに、今回初めて降り立ちました。これまでの時代がかった雰囲気から一新、広々とした明るいホームです。




 現在は過渡期の姿で、現在の鹿児島本線下りホームは最終的に、筑豊本線の短絡線(現在は折尾駅鷹見口経由の路線)になります。
 短絡線は現在のダイヤだと昼間は1時間に1本、2両編成の電車が発着するだけ。ちょっと立派すぎかな。


 現在は北口、東口、西口、そして別駅舎の鷹見口の、計4つも出口がある複雑な折尾駅。乗り換え案内も、4つの出口を用いて案内されています。
 最終形で出口は1つにまとめられる予定で、最新型のLEDでなされる煩雑な案内も、過渡期の姿といえます。


 階段の壁面は、レンガ調。旧駅のデザインをオマージュしたのかな?


 地平レベルのコンコースは、まだ仮設の状態。


 旧駅のレンガアーチ造の通路も、一部にまだ残っています。


 駅舎自体は仮のものですが、高架橋とホームを見ていると、完成形も目に描けるようになってきました。


 現在完成している高架橋は、鉄筋を伸ばしっぱなしの状態。旧線路を撤去後、新たな高架橋が建設される予定です。




 駅前のオリオンプラザビル1階には、高架化事業の広報室があり、複雑な工程も分かりやすく知ることができます。


 新駅舎は、鹿児島本線と筑豊本線の高架に挟まれた、三角地帯にできるそうです。デザインは旧駅舎に似たものになるようだけど、ちょっと窮屈な感じ。駅の印象も、だいぶ変わることになりそうです。


 昔ながらの堀川運河の景観も、変わっていくのかな。


 いろんな思い出のある旧ホームの取り壊しが、着々と進んでいました。


 折尾から、さらに鹿児島本線を上ります。旧線路の撤去はこれからの模様。


 戸畑で下車。ホームからもよく見える、若戸大橋へと歩きました。


 赤いつり橋の下を、ミズスマシのように軽やかに往復する船が、若戸渡船です。
 戸畑と若松を、トンネルと橋の2本が結ぶ今も、市民の足です。


 運賃は100円。充分安いように感じるけど、僕が中学生の頃(20年前)はナント20円でした。
 当時の時刻表に乗っている運賃の中でも、もっとも安いということで有名だったものです。


 エンジン音を轟かせ出航し、橋の下を航行すれば、わずか3分で若松着岸。あっという間の船旅でした。


 渡船場にはバス乗り場があり、市営バスがシームレスに接続しているのは立派。
 しかし僕は港町の風を感じたくて、岸壁沿いを歩いて駅へと向かいました。続く