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善光寺のゲストハウスで目覚めた、旅の最終日・8月19日。ラウンジで朝日を浴びつつ、須坂のパン屋さん手作りの「トマトパン」を食べて1日が始まりました。
ずしりと重い密度の高いパンで、1個でお腹いっぱいになりました。
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8月も19日ともなればすっかり平日で、街に向かう勤め人を満載した路線バスで長野駅へ。1997年の長野新幹線開業で第三セクターに転換された、しなの鉄道で上田を目指します。
もとJRの115系電車は、「長野色」と呼ばれたJR塗装そのまま。転換当初は順次オリジナルカラーに塗り替えられていくと言われていましたが、17年経った今も残っています。「本家」JRでは数を減らしている電車で、逆に貴重な存在になってきました。
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長野都市圏とあって、ワンマンの2両編成では不足かなとも思える混雑を見せた電車は、上田へ。上田交通の別所線へ乗り換えます。
しなの鉄道は地上だったのに、上田交通は高架駅になっていて意表を突かれました。電車も東急時代そのままのスタイルと塗装で、どこにいるのだか分からなくなります。
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しかしここは紛れもなく、長野の山懐。高架を降り、宅地を抜ければ次第にのどかな車窓に変わって行きました。
単線の隘路は急カーブか続き、車輪を軋ませながらゆっくりとクリアしていきます。東横間で「特急」として活躍した車両にとっては、フラストレーションがたまっているのか、「老後」をのんびりできていいと思っているのか。
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約30分で、終点・別所温泉着。ペンキ塗りの木造駅舎が、いい味を出しています。
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別所温泉の温泉街は駅から少し離れており、ぶらぶら散歩。
温泉街に続く道からは、遠く上田の街を見下ろすことができます。
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しっとり落ち着いた街並みに寺院が点在し、信州の鎌倉と比喩される街ですが、鎌倉にはない温泉がここにはあります。
共同湯は何箇所かあり、選ぶ楽しさがありました。
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その中の、川沿いの大師湯で一浴び。入浴料は、わずか150円です。
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小さな浴槽に注がれるお湯からは、かすかに硫黄の匂いが漂います。無色透明のお湯は清潔感があり、湯上りには爽快感も感じられました。
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別所温泉駅のはずれには、名物電車として親しまれていた「丸窓電車」が保存されています。
屋根もない野ざらし状態での保存ですが、外観の状態は悪くありません。マメに塗装を施しているのだと思います。
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帰路の電車は、その「丸窓電車」を模した「まるまどりーむ号」でした。
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丸窓はカッティングシート、内装の木目もシートを貼ったレプリカの丸窓電車ですが、なかなか味のある雰囲気を演出しています。
2編成が在籍する「まるまどりーむ号」も、1編成が9月に引退予定とのこと。乗れてよかった!
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上田駅に戻り、乗り換え時間の10分少々で、駅前を散策してみました。
駅前のバス乗り場には、市の広報が「日よけ幕」になって掲げられていました。PRとしては目立つし、バス待ちの人にとっては日陰にもなって、なかなかの優れものです。
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駅前にはゴットンと水車が回ります。
街並みもきれいで、次回ゆったり歩いてみたい街です。
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上田駅内には、しなの鉄道が満を持して送り出した食堂電車「ろくもん」のPRコーナーがありました。
一大観光地の軽井沢なら、ちょっと高いグルメ列車でも集客は期待できるはず。肥薩おれんじ鉄道に続く、経営の苦しい「並行在来線」の起死回生策として注目されます。
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帰路の長野行きもワンマン運行でしたが、赤とメタリックの「しなの鉄道カラー」でした。
長野駅前の東急でおみやげを買い、駅弁を求めて、これから始まる長い帰路に備えます。
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帰路は陸路、それも直江津から日本海側を経由する、約10時間のみちのりです。松本~福岡のFDAはお盆のため高く、予定の段階では中央本線名古屋経由も大雨の影響で不通だったため、遠回りのルートを選択しました。
直江津経由だとほとんどがJR西日本の区間のため、JR西の株優半額の特典が使えるメリットもあります。長野からは普通「妙高」で直江津へ。
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普通電車なのに名前が付いているのは、指定席を連結しているから。長野新幹線開業までは特急「あさま」として活躍した車両で、普通運賃だけで乗れるのでお得感があります。
ただ新幹線開業から、はや17年。リクライニングシートこそ快適ですが、だいぶ古びてきました。
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来春開業の北陸新幹線・上越妙高駅、駅舎本体の姿は立ちあがっていました。乗客の高校生の、「あれができたら、越後湯沢で寝かけに起こされずに済む」というコメントは、的確です。
今乗っている「並行在来線」にとっては、JRとして最後の夏。来年の今ごろには、地域の会社4社に分割されています。直江津経由にしたのは、JRとして最後の姿を目に焼き付けておきたいからでもありました。
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直江津駅の自動改札からは、ICカードの「ピッ」という音が聞こえてきてびっくり。JR西日本と東日本が接するこの駅は、Suicaの新潟エリアなのでした。
金沢へは、特急「はくたか」で。後方3両の付属編成は、運よく北越急行の「スノーラビット」でした。新幹線開業と同時の廃止がアナウンスされている列車ですが、この車両もJRに移籍の上、どこかに転属されるのでしょう。
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お盆後の平日ということで、空いた車内。夏の日本海を眺めながら、ゆっくり西へ進みます。
富山県境の市振までは「越後トキめき鉄道」に移管されますが、沿線の大きな街といえば直江津と糸魚川くらい。いずれも新幹線の駅が設けられるため、素人目では厳しい経営になりそうだと感じました。
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約1時間半で、金沢に到着。真横のホームには、サンダーバードが待ち構えていました。新幹線開業後は、乗り換えの際に階段の上り下りを強いられるようになります。
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この時間のサンダーバードは、「雷鳥」の流れをくむ、停車駅の多いタイプ。ただ松任や小松など、企業の立地する街が続き、各駅ではビジネスマンが多く乗り込んできました。
高架の小松駅には新型の普通電車が待っており、都会の風景とそん色ありません。ただ旧型電車の3両から、新型は2両に減車されており、混んでいる電車が多かったのは気になりました。
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旅の楽しみは駅弁。車内販売で求めた鯛寿司を肴に、一杯を楽しみました。
所要時間が長く、乗客も多い北陸路の特急は、車内販売の売り上げが良く、品揃えも充実している。そんな常識でいただけに、9月の北陸特急車販全廃はショッキングです。
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新大阪で新幹線に乗り継ぎ、無事に福岡まで帰ってきました。10時間の旅にさほど疲れを感じなかったのは、やはり鉄道好き故でしょうか?
個性的な街を歩き、さまざまな乗り物を楽しんだ、充実の夏旅でした。
おひさしぶりです。
東日本エリアの電車には縁遠いものでよく分かっていなかったのですが、それぞれの電車には「見た目」だけでは分からないルーツがあるのですね。
しなの鉄道の2両編成は未更新車で、「ハズレ」感は同感でした。しなの鉄道移管後は今回が初めての乗車でしたが、急行型に乗ってみたかったです。
しなの鉄道のJR色(長野色)115系ですが、これはJRからの移管当初に転籍した車両(3両編成・オリジナル塗装に塗替済)ではなく、老朽化した169系淘汰の代替で近年転籍した車両で、短い2両編成と言うのも大きな特徴です。
しなの鉄道に移籍したこの車両にも乗車した事がありますが、中には車内が未更新のままという編成もあり、短編成故に混雑しやすい難点もあるなど、個人的にはハズレ車両と感じています。
また元東急→上田電鉄の1000系は、現在は廃止された東横線~日比谷線直通や、池上・多摩川線用の18m車で、以前は東横特急によく充当→現在は全て大井町線用に転用された9000系とは別物です。
ただ両者は車体長や扉数などに差異があり、制御機器メーカーが異なるために走行音も異なりますが、デザイン的には非常に類似した車両ですので、東横特急の様な雰囲気と感じるのは無理もないと思います。
上田電鉄ではまるまどりーむ1編成の引退も発表されていますが、この車両の今後や、代替で1000系増装となるのかも気になる所ですね。