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ティラーノの街を、旧市街方面へ歩いてみます。歩道が広く取られた、ゆったりとした街並みです。
広い歩道にはレストランが張り出してきていて、どういう許可が下りているんだろうと不思議な気分に。オープンカフェに屋根と壁が付いた様な整理になってるのかな。
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川を渡れば、旧市街です。
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縦横がはっきりしない、迷路のような狭い路地が入り組む旧市街。方向感覚が狂いそうになるけれど、教会の塔を目印にすることで自分の位置を掴めます。
人通りが少なくて少し怖くはあったけど、中世の世界に迷い込んだような気分の赴くままに、歩いてみたくなりました。
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路地が少し広がり、石畳を積もったばかりの落ち葉が飾るちょっとした広場。その前に立つ歴史がかった建物は、美術館なんだそうです。
残念ながら冬季休館で、見学はかないませんでした。
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もっとも、たったの2時間しかないイタリア滞在。一番のお目当ては、イタリアンのランチを食べることです。
旧市街にはあまり人がおらず、開いている店は駅前が多かったので、戻ろうかと思った矢先。路地の突き当たりに、雰囲気のよいレストランを発見しました。
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陽気なウエイターさんにランチのアラカルトと伝えると、中庭のオープン席に案内してくれました。
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イタリアに来たからにはと、マルゲリータピザに地産素材のタリオリーニパスタ、そして地ワインを頼みました。ピザは5ユーロ(655円)とお手ごろで、さすがは本場。スイスの高い物価に慣らされた身には、特に際立つ安さでした。
タリオリーニパスタは10.5ユーロ(1,380円)と少し張り込んだけど、それ以上のおいしさ。パスタというより、生蕎麦に近い食感がクセになりそうでした。これだけ食べに、また訪れたいと思うほどです。
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大満足のランチを食べ終えれば、イタリア滞在はもう残りわずか。長い汽車旅に備えて水でも買おうとスーパーに行ってみたら、なんと昼休業中! 閉店時間も早く、「買える時に買え」はイタリアでも鉄則のようです。
他に開いている店もなく、自販機もなくて困った困った。どこかで水は手に入らないかと駅員さんに聞いてみれば、ボトルを持ってますか? 駅を出て左に行くと「マシン」があります、と。自販機なんてなかったはずと思って出てみれば…
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オートメーションの給水所がありました!しかも出てくる水は、強が付く勢いの炭酸水です。どこで買った炭酸水よりも、口に合うものでした。
イタリアなら、どこにでもあるものなのかな? ともかく駅員さん、感謝!
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短いティラーノ滞在を終え、4時間かけてまずはクールまで戻ります。スイスの3大観光列車に名を連ねる、ベルニナ急行の指定席(10フラン=1,190円)を抑えておきました。
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ベルニナ急行も、1、2等車ともにパノラマカー。天井までアーチを描いた窓には窓桟がなく、氷河急行よりも大きなパノラマを楽しめます。ブラインドが付いていて、手元で操作できる電動式。これは氷河急行にもほしかった…
1等車は革張りのゆったりしたシートで、贅沢な雰囲気です。
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食堂車はありませんが、全区間に渡って車内販売が乗務。イタリアワインを飲んだばかりだけど、オリジナルのベルニナ急行ワインを1本入れてみました。周りの乗客もワインを傾けていて、優雅な雰囲気です。
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再び峠道に入ります。
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レンガ造りの駅舎のアルプグリュム駅では小休止。乗客も降りてきて、雪深い駅でのひとときを楽しみます。
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駅舎には展望台が張り出していて、山々を一望です。
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車掌も気さくにシャッターに応じて、旅の思い出作りに一役買ってくれます。
なぜか僕には雪玉を思い切り投げつけてきましたが(笑)。
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往路は雲ばかりだった空も青の範囲が広がりつつあり、また違った車窓を見せてくれます。ゆったり座って天まで広がる車窓を楽しめるパノラマ車も、空気に触れられる普通列車もそれぞれの良さがあり、ぜひ往復で車両を変えて楽しみたいところです。
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サンモリッツとの三角線の分岐駅・ポントレジーナでは観光客が大挙下車。「箱根号」と別れ、ベルニナ急行には専用の機関車が連結されました。ところが今度はサメーダン駅でサンモリッツからの列車と連結し、機関車はわずか1駅でさようなら。
きめ細かいながらも、ずいぶん手間のかかる運用ではあります。
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ガラガラになった列車は、一路クールへと向かいます。再び空は曇り始め、横殴りの雪が舞い始めました。
山の天気は変わりやすいけど、そんな中を事も無げに定時運行する列車の陰にある努力にも、思いを馳せました。
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コース終盤では車内の明かりが落とされ、いい雰囲気に。星空が眺められるようにとの配慮だったのか、真意は不明です。クールを前に明りが灯され、車掌さんが「おはよう」と声をかけて回っていました。
ベルニナ急行4時間の車窓は、往路で一度見たものとはいえ、氷河急行より短時間ながら変化に富んだものでした。人気があるのも、頷けます。
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10分少々遅れたため、クールでは大急ぎでチューリッヒ方面の列車へ乗り換え。お馴染みの2階建て列車に、ひさびさの対面です。
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快速タイプのレギオで、1等車はガラガラでした。山岳鉄道とは違う、幹線級の列車のゆったりシートに身をゆだねます。
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ツィーゲルブリュケでラッパーズヴィル行きのレギオに乗り換え。短編成のディーゼルカーで、1等車は運転席後ろの十席程度です。
ラッパーズヴィルからはバスに乗り換え、無事にエリー&マヌやんの家へと戻ってきました。
ここまで3日間使ったスイストラベルパス、お値段は1等用で336フラン(40,090円)でした。高いか安いかはそれぞれの価値観だとは思いますが、お値段以上の楽しみ方はできたのではないかと思います。
ちなみに2等用であれば、210フラン(25,050円)。ひとり旅なら2等でも充分だっただろうけど、一生に一度の新婚旅行としては、1等にしておいて良かったです。
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お家では、マヌやんのお父様がキッチンで腕をふるってくれていました。すりつぶしたジャガイモを焼いた素朴な家庭料理、ロスティです。
3日間の旅の成功を、スイスワインで祝ったのでした。