旅もいよいよ終盤。すでに「帰路」の途上ではありますが、体力の続く限りめいっぱい楽しんでいきたいと思います。
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ドイツ南部のフライブルクで、8日目を迎えました。今日は土曜日、朝7時。電車もトラムも動いてはいますが、昨夜に比べれば本数は少なめで、行き交う人もまだまだ多くはありません。
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習慣的に?1階のレストランで朝ごはんを食べてましたが、別料金だったことに後から気付くという失敗(笑)。ホームの真横にあり、電車を見ながらのブレックファストは、鉄っちゃんとして悪くありませんでした。
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身支度を整え朝9時、トラム乗り場に行ってみれば、だいぶ人が多くなっていました。まずは3系統に乗り、中心部を経由して郊外へと向かいます。
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約15分、終点のヴォーバン着。軍事基地跡に作られた、職住近接型の新興住宅街です。トラムの終点はループ線になっていて、すべて芝に覆われ公園のようになっています。
真横にはバスが発着して、さらに郊外へ乗り継ぐ際にもシームレスな環境です。
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トラムが走るメインストリート。幅はゆったりと取られ、路面電車の軌道は芝に覆われています。ここも、縦に長い公園のようです。
メインストリートに面する集合住宅の1階は、店舗やオフィスにすることを義務付けられています。日本のマンション団地のように、住む人は多いのに通行人がいない、という状況にはなっていません。
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1階部分を、歩道に開放しているアパートもあります。真下を通行人が行き交う住まいって、どんな気分なんだろう…という我が家も南福岡駅ビル上にあり、家の下を2万人近い人が毎日通っているわけではありますが(笑)。
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メインストリートから、わき道の住宅街へ入ってみましょう。ラッパーズヴィルのような車の通行規制はないものの、メインストリートからメインストリートへ「コの字」状に戻ってくる形になっているので、自ずと関係のない車は入ってこない構造になっています。
地面に書かれたサインは「遊びの道路」を現してます。歩行者はもちろん、路上で遊ぶ人も優先です。車がない時代の、路地裏遊びの現代的発想といえます。
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個性を発揮しつつも、全体としての調和が図られた集合住宅群。居住予定者同士が設計段階から作り上げていく、コーポラティブハウスも多いのだとか。
集合住宅ばかりだけど、押し込まれた感がないのは、住宅の間にゆったりと緑地が取られているから。水路も四方をコンクリートで固めるのではなく、のり面を草で覆い緑地の一部を成しています。
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コの字型の「遊びの道路」を結ぶのが、歩行者専用道路。住宅間を移動するなら、歩くか自転車が一番便利です。
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では住民なら家の前に駐車する権利があるのかというとそうではなく、メインストリートからはだいぶ裏手にあたる場所に、住民用の立体駐車場があります。車を持つことは否定しないけれども、意図的に不便にしているという点は徹底してます。
ほとんどの家では、マイカーを停めているの駐車場よりもトラムの電停が近く、そもそも車を持たないという選択をする人の方が多いのだとか。
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エリア東側の駐車場は、太陽光発電所とスーパーも兼ねています。木ルーバーで覆われた外観は、ガラスで覆われた上記の駐車場とは好対照。
平面駐車場のような雑然さをも排除されていて、景観上好ましいものです。
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駐輪場はアパートの前にあるので、買い物程度のお出かけであれば、自転車が一番便利な乗り物かもしれません。
フライブルク市内までも、自転車道が整備されています。
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世界が注目する環境先進地だけあり、住宅地でありながらホテルも備えています(電車の後ろの右側の建物)。こちらの外観も木ルーバーで、環境へのやさしさをアピール。通りに面して開けた内装もオシャレで、泊まってみたかったです。
またホテルは、障がい者雇用の場にもなっているのだとか。人にもやさしいホテルなのでした。
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住宅地南側はビオトープとして保全され、自然のせせらぎと、土の散歩道が残されています。
ヴォーアンの人口密度は集合住宅が多いため140人/1haに達し、これは東京並みの数値なのだとか。そこかしこに残された緑地は、高密度居住だとはにわかに信じられないほど、自然に恵まれた印象を与えます。
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小川にかかる橋を渡ったエリア外には、乗馬クラブまであります。街に近いのに緑が多くて、乗馬までできる住宅地。車の不便さを差し置いて、人気のエリアというのも頷けます。
以前から聞き及んでいた、環境先進住宅地のヴォーバン。その計画から実現までには大変なプロセスがあったとのことですが、難しい理屈を抜きにしても、単純に住んでみたいと思える素敵な住宅街でした。
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大いに刺激を受けた街から、再び3系統で市街地へ。トラムには低床の最新式電車ばかりではなく、高床のちょっとレトロな車両も健在です。
高床とはいっても部分的には低床になっていて、体が不自由でも安心。運賃を払いに運転席まで行かなくてもよいからこそ、実現できた構造でもあります。
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お昼も近づいてきた、中心部で下車。土曜日の午前中、僕だったら家で寝ていたい時間ですが(笑)、街は賑わってきていました。
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中心部はこの人通り!フライブルク市の人口は23万人で、久留米市よりもだいぶ小さな都市ですが、ごった返すような人通りです。
もちろん観光客も一定いること、大学が多いこと、広域圏の中心都市であることなど差し引いて考えるべき要素はいくつもありますが、それにしても…トラムと歩行者が共存するトランジットモールの光景も、実際に目にすると衝撃的です。
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街の通りには水路が張り巡らされ、時々足がはまりそうになったり、つまづきそうになったりしますが、景観上はいいアクセント。小舟がプカプカ浮かんでいます。
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それに興味をひかれた子どものすぐ側を、電車が通過。見ている方がヒヤヒヤしますが、電車も親も意に介する風ではありません。
「慣れ」のなせる業なのか、自己責任の社会ゆえなのか。なにかとうるさい、日本では真似のできない部分ではあるかなと感じました。
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街には大道芸や楽団、アーティストなどなど、街角という街角にパフォーマーが出ていてお祭りのようです。歩いているだけで楽しく、テーマパークにでもいるような気分になりますが、この街では日常なのでしょう。
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パフォーマンスを見ながら、オープンカフェでコーヒーやビールを飲みながらくつろぐ市民。うらやましすぎる、嫉妬するほどの豊かな週末です。
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水の豊かさは川にも現れています。街の中心部を流れる川は、ざあざあと流れる勢いです。歩道やビル地階の窓の高さギリギリを流れていて、大雨の時が心配になります。
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(笑)
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街のもっとも中心となる位置は、デパートでも市役所でもなく、大聖堂とその広場です。
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その広場では、市が立っていました。観光客向けの特産品もあまたあるけど、主に扱っているのは地元向けの生鮮品です。
大道芸、日曜市、トラム…久留米でも街を元気にしようと様々なことに取り組んでいる団体がありますが、それらがすべて花開いた姿はきっと、フライブルクのような街なんだろうと思います。
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広場に面して、地元ビール工房の直営レストランがあるあたり、いかにもドイツです。お昼時少し前で、入ってみれば1階席がちょうど埋まったところ。おかげで、だれもいない2階席の窓際に案内されました。
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大聖堂を仰ぎ見ながら、ビールで乾杯!香り立つ、うまいビールでした。
僕、幸せです。
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ドイツ南部のフライブルクで、8日目を迎えました。今日は土曜日、朝7時。電車もトラムも動いてはいますが、昨夜に比べれば本数は少なめで、行き交う人もまだまだ多くはありません。
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習慣的に?1階のレストランで朝ごはんを食べてましたが、別料金だったことに後から気付くという失敗(笑)。ホームの真横にあり、電車を見ながらのブレックファストは、鉄っちゃんとして悪くありませんでした。
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身支度を整え朝9時、トラム乗り場に行ってみれば、だいぶ人が多くなっていました。まずは3系統に乗り、中心部を経由して郊外へと向かいます。
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約15分、終点のヴォーバン着。軍事基地跡に作られた、職住近接型の新興住宅街です。トラムの終点はループ線になっていて、すべて芝に覆われ公園のようになっています。
真横にはバスが発着して、さらに郊外へ乗り継ぐ際にもシームレスな環境です。
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トラムが走るメインストリート。幅はゆったりと取られ、路面電車の軌道は芝に覆われています。ここも、縦に長い公園のようです。
メインストリートに面する集合住宅の1階は、店舗やオフィスにすることを義務付けられています。日本のマンション団地のように、住む人は多いのに通行人がいない、という状況にはなっていません。
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1階部分を、歩道に開放しているアパートもあります。真下を通行人が行き交う住まいって、どんな気分なんだろう…という我が家も南福岡駅ビル上にあり、家の下を2万人近い人が毎日通っているわけではありますが(笑)。
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メインストリートから、わき道の住宅街へ入ってみましょう。ラッパーズヴィルのような車の通行規制はないものの、メインストリートからメインストリートへ「コの字」状に戻ってくる形になっているので、自ずと関係のない車は入ってこない構造になっています。
地面に書かれたサインは「遊びの道路」を現してます。歩行者はもちろん、路上で遊ぶ人も優先です。車がない時代の、路地裏遊びの現代的発想といえます。
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個性を発揮しつつも、全体としての調和が図られた集合住宅群。居住予定者同士が設計段階から作り上げていく、コーポラティブハウスも多いのだとか。
集合住宅ばかりだけど、押し込まれた感がないのは、住宅の間にゆったりと緑地が取られているから。水路も四方をコンクリートで固めるのではなく、のり面を草で覆い緑地の一部を成しています。
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コの字型の「遊びの道路」を結ぶのが、歩行者専用道路。住宅間を移動するなら、歩くか自転車が一番便利です。
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では住民なら家の前に駐車する権利があるのかというとそうではなく、メインストリートからはだいぶ裏手にあたる場所に、住民用の立体駐車場があります。車を持つことは否定しないけれども、意図的に不便にしているという点は徹底してます。
ほとんどの家では、マイカーを停めているの駐車場よりもトラムの電停が近く、そもそも車を持たないという選択をする人の方が多いのだとか。
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エリア東側の駐車場は、太陽光発電所とスーパーも兼ねています。木ルーバーで覆われた外観は、ガラスで覆われた上記の駐車場とは好対照。
平面駐車場のような雑然さをも排除されていて、景観上好ましいものです。
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フライブルク市内までも、自転車道が整備されています。
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世界が注目する環境先進地だけあり、住宅地でありながらホテルも備えています(電車の後ろの右側の建物)。こちらの外観も木ルーバーで、環境へのやさしさをアピール。通りに面して開けた内装もオシャレで、泊まってみたかったです。
またホテルは、障がい者雇用の場にもなっているのだとか。人にもやさしいホテルなのでした。
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住宅地南側はビオトープとして保全され、自然のせせらぎと、土の散歩道が残されています。
ヴォーアンの人口密度は集合住宅が多いため140人/1haに達し、これは東京並みの数値なのだとか。そこかしこに残された緑地は、高密度居住だとはにわかに信じられないほど、自然に恵まれた印象を与えます。
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小川にかかる橋を渡ったエリア外には、乗馬クラブまであります。街に近いのに緑が多くて、乗馬までできる住宅地。車の不便さを差し置いて、人気のエリアというのも頷けます。
以前から聞き及んでいた、環境先進住宅地のヴォーバン。その計画から実現までには大変なプロセスがあったとのことですが、難しい理屈を抜きにしても、単純に住んでみたいと思える素敵な住宅街でした。
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大いに刺激を受けた街から、再び3系統で市街地へ。トラムには低床の最新式電車ばかりではなく、高床のちょっとレトロな車両も健在です。
高床とはいっても部分的には低床になっていて、体が不自由でも安心。運賃を払いに運転席まで行かなくてもよいからこそ、実現できた構造でもあります。
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お昼も近づいてきた、中心部で下車。土曜日の午前中、僕だったら家で寝ていたい時間ですが(笑)、街は賑わってきていました。
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中心部はこの人通り!フライブルク市の人口は23万人で、久留米市よりもだいぶ小さな都市ですが、ごった返すような人通りです。
もちろん観光客も一定いること、大学が多いこと、広域圏の中心都市であることなど差し引いて考えるべき要素はいくつもありますが、それにしても…トラムと歩行者が共存するトランジットモールの光景も、実際に目にすると衝撃的です。
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街の通りには水路が張り巡らされ、時々足がはまりそうになったり、つまづきそうになったりしますが、景観上はいいアクセント。小舟がプカプカ浮かんでいます。
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それに興味をひかれた子どものすぐ側を、電車が通過。見ている方がヒヤヒヤしますが、電車も親も意に介する風ではありません。
「慣れ」のなせる業なのか、自己責任の社会ゆえなのか。なにかとうるさい、日本では真似のできない部分ではあるかなと感じました。
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街には大道芸や楽団、アーティストなどなど、街角という街角にパフォーマーが出ていてお祭りのようです。歩いているだけで楽しく、テーマパークにでもいるような気分になりますが、この街では日常なのでしょう。
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パフォーマンスを見ながら、オープンカフェでコーヒーやビールを飲みながらくつろぐ市民。うらやましすぎる、嫉妬するほどの豊かな週末です。
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水の豊かさは川にも現れています。街の中心部を流れる川は、ざあざあと流れる勢いです。歩道やビル地階の窓の高さギリギリを流れていて、大雨の時が心配になります。
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街のもっとも中心となる位置は、デパートでも市役所でもなく、大聖堂とその広場です。
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その広場では、市が立っていました。観光客向けの特産品もあまたあるけど、主に扱っているのは地元向けの生鮮品です。
大道芸、日曜市、トラム…久留米でも街を元気にしようと様々なことに取り組んでいる団体がありますが、それらがすべて花開いた姿はきっと、フライブルクのような街なんだろうと思います。
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大聖堂を仰ぎ見ながら、ビールで乾杯!香り立つ、うまいビールでした。
僕、幸せです。