1年が終わろうとしています。この1年も、自分としては最善を尽くした1年でした(その内容はすでに書いたとおりなので、繰り返しません)。
『摩訶般若波羅蜜経』の言葉を借りて言えば、目指すところは菩薩の目指すものでした。
菩薩・大士が布施波羅蜜を修行している時に、もし衆生で飢え凍え、着物はぼろぼろになっているの見たならば、菩薩・大士はまさに次のような願を立てるべきである。私がこの所・時に布施波羅蜜を修行し、この上ない覚りを得た時には、私の国土の衆生にはこうしたことがなく、衣服や飲食、生きるための必需品が、四天王、三十三天、夜摩天、兜率陀天(とそつだてん)、化楽天(けらくてん)、自在天といった天界のようにならせよう。……
菩薩・大士が六波羅蜜を修行している時、衆生に下・中・上、下・中・上の家庭(という格差)があるのを見て、菩薩・大士はまさに次のような願を立てるべきである。私がこの所・時に六波羅蜜を修行し、仏の国土を浄化し衆生を成熟させ、私が仏になった時には、私の国土の衆生にはこうした優劣は存在させはしない、と。
菩薩摩訶薩(ぼさつまかさつ)有りて檀那(だんな)波羅蜜を行ずる時、若し衆生の飢寒凍餓(きかんとうが)し、衣服弊壊(えぶくへいえ)せるを見れば、菩薩摩訶薩は当に是の願を作すべし。我れ爾所(にしょ)の時に随ひ檀那波羅蜜を行じ、我れ阿耨多羅三藐三菩提を得る時、我が国土の衆生をして是(かく)の如きの事無く、衣服飲食(えぶくおんじき)資生(ししょう)の具、四天王、三十三天、夜摩天、兜率陀天(とそつだてん)、化楽天(けらくてん)、自在天の如くならしめんと。……
菩薩摩訶薩は六波羅蜜を行ずる時、衆生に下中上下中上家有るを見て、当に是の願を作すべし。我れ爾所の時に随ひ六波羅蜜を行じ、仏国土を浄め衆生を成就し、我れ仏と作る時、我が国土の衆生をして是(かく)の如きの優劣(うれつ)なからしめんと。(『摩訶般若波羅蜜経』「夢行品(むぎょうぼん)第五十八」)
大乗の実践者・菩薩は、自らが覚って導く自分の国では、生きとし生けるものすべてにおいていかなる貧困も差別もけっして存在させまい、と深く願いながら、それを可能にする英知を求め続けていく、というのです。
菩薩にとって、目指すべきは根源的な平等社会であって、格差社会はけっして認めることのできないものなのです。
日本を「大乗相応の地」(大乗仏教にふさわしい地)、「和の国」にするために、来年も最善を尽くしていきましょう、菩薩志願者のみなさん!
では、よいお年を。
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