里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

イチビ 機械部品状の実

2017-03-24 | 日記
花泉町永井地区北部の、金流川にほど近い集落道を歩いていると、畑跡の荒地に
奇妙な実を付けた草が生えています。
同行する先輩が「雑草図鑑に載ってたね。外来の害草なんだけど、名前は忘れた。」
図鑑持ってるなら調べてメール下さい、とお願いしました。
それにしても変った形状の実ですね。機械部品のギアのような、或いは回転式拳銃
のリボルバーのような、幾何学的な形が印象的です。




                             二枚とも2015.10.4撮影

翌日、メールをいただき、「イチビ」という帰化植物とのこと。
実の形も変っているけど、名前も変な名前ですね。どんないわれがあるのか調べま
したが、納得のいくような解説はありませんでした。

原産地はインドで、我国へは二つの系統が渡来しています。
奈良か平安の頃に繊維作物として移入された系統と、近年になってから輸入穀物に
混じって侵入してきた系統があり、両系統は遺伝的に遠い関係にあるとされています。
特に問題になっているのは近年侵入してきた系統で、畑作物や牧草と競合してこれら
を圧迫し、飼料に混入すると牛乳が異常風味になると言われています。
また、表皮が丈夫な繊維質で容易に切れないため、作物に混入すると機械での収穫の
妨げになるようで、侵略的外来種ワースト100に指定され、駆除の対象になっています。


                                 2015.10.4撮影

アオイ科イチビ属の一年草。インド原産の帰化植物で、草丈は0.5~2mになる。
世界では100種ほどが知られていて、日本には2種が渡来し、日本全土に分布する。
日当たりを好み、人家近くの荒地や耕作地周辺などに野生化している。
全体的に白色の柔毛に覆われ、茎の断面は丸く上部で枝分かれする。
葉は互生し、葉身は心円形で長さ7~10cm、長い葉柄がある。
花期は7~9月で、上部の葉腋から花柄を出して、直径2cmほどの黄花を2~3個付ける。
果実は半球形で直径2cmほど、10~15個の分果からなる。
分果は袋状で環状に並び、先端には角状の突起がある。
果実の色は茶色と黒色と2種類あり、古くに渡来した系統は茶色で、近年侵入してきた
系統は黒色。最近では黒色の方が多く、撮影した果実もこの系統。
分果の中には3~5個の種子が入り、直径3mmほど。


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