少し前、かみさんが登山靴を新調した。
梅雨が明けたら初おろしをしようと予定していた。
候補地は唐松岳。
八方尾根はかなり上までリフトが使える。
かみさんは八方池まで、僕は単身唐松岳山頂まで往復。
ところが長野県北部は一日雨の予報。
ならば少し南の霧ケ峰に変更と相成った。
霧ケ峰と言えばニッコウキスゲ。
駐車場周辺は電柵が張ってあり、シカの食害から守っている。
正に霧ケ峰。
富士山がのどかに座っていた。
南八ヶ岳と雲の行列。
北八ヶ岳。
新調した登山靴。
僕のは履き古したトレランシューズ。
赤い帽子が素敵に風景にマッチしていた。
たおやかな緑の草原。
駐車場。
あの丸いのが気象レーダー。富士山測候所閉鎖の後、台風観測のメイン基地。
車山山頂風景と蓼科山。
山頂は涼しくて気持ちいい。
ここは、つい最近マウンテンドクターというテレビドラマで映っていた場所。
ドラマに出てくる山小屋(信濃山荘だったかな)もどこかで見たと思ったら、白馬の猿倉荘ではないか。ドラマではかなり山の中にあることになっているが、実は車で行けるところだ。
風景を堪能し、花を愛で下山。
草原にひっそりとたたずむコロボックルヒュッテ。
そば仲間の嘗てのアルピニストはここがお気に入り。
去年は泊まりに行った。
古き良き時代の空気を残したまま静かにたたずんでいる。
最近『山小屋の灯』を聴く機会があった。
ホテルのような建物でなく、このような山小屋を見ると決まってこの歌が浮かんでくる。
そして言いようのない郷愁に包まれ、訳もなく泣きたいような気持になる。
分厚い皮の登山靴、横長の黄色いキスリング、七分丈のニッカズボンと長靴下、ツバ広帽子。
みんな、みんな懐かしい。
若者は未来を語り夢見る。
過去を懐かしむのは老人の特権。悪いことではあるまい。
遠い記憶が霧の中に沈み込む前に、思い出を味わいつくそう。