この季節、桜の花見でウキウキするのが通例だが、今年は違う。
コロナ騒ぎで戒厳令下のような有様だ。
おまけにこの時期に雪が舞っている。この冬はこれまでにない暖かな冬で、雪もほとんど降らなかった。桜も半月ほど早く咲き始めた。ところがここに来て寒気がやって来た。人々の気持ちが冷え込んでいるところに、追い打ちをかける寒さ。
こんな時、徒然草の吉田兼好ならどんな風に綴るのだろうとふと思う。世の中からちょっと引いて、冷静に今の状況を描き出してくれるだろう。方丈記の鴨長明ならどう描くだろう。達観した無常観で、いっそ胸のすく一文をしめしてくれるだろうか。
この田舎でも、非常事態宣言こそ出ていないものの、近く村の温泉施設が五月六日まで閉鎖になると聞いた。恒例の桜祭りも行われない。公民館活動も中止。不要な外出を控えろと、毎日情報無線(最近有線にシステムが変更になった。何て呼べばいいんだ?情報有線ではなんかヘンだ。)が伝え続ける。それが、あまりコロナ騒ぎとは関係がなさそうな老人たちの不安を煽る。家にいて、テレビでも見るしかない。するとそこでもさらに不安を煽る。正しく恐れることなんて、とてもできない。
私はといえば、五月十七日に行われる予定だったカチューシャふるさとマラソンのハーフにエントリーして、三年ぶりの二時間切りを目指して日々激しいトレーニングをしていたのだ。vo2maxという指票がある。これは最大酸素摂取量というもので、ランニング能力を推し量るデーターだ。vo2maxの値が、最高で49ml/㎏/分で、これはこの年齢での上位5%以内で、年齢で言えば20歳相当ということだ。つい最近、NHKのランスマという番組で、高齢のスーパーランナーを見たばかりなので、それに比べればまだまだ自慢できる段階ではないが、それでも、ここ数年間欠性跛行という症状があった身には凄いことなのだ。そのカチューシャふるさとマラソン開催が中止になったとホームベージで告知があった。参加費は必要経費を差し引いた残額を返済する意向だという。東京マラソンとは違う。まだ個別に連絡は来ていないが、当然の措置だと思う。
残念だが、これ以上開催者としては感染のリスクを負うわけにはいかないのだろう。
ここ2週間ばかり寒い状況が続くらしいが、閉じこもらず野外に出ようと思う。幸いこの辺りでは濃厚接触のしようがない。草花や樹木と寄り添うばかりだ。春の農作業もある。雪が融け、春の花が咲き始めた里山も待っている。千曲川の堤防は名の花が咲き誇っている。山桜が咲き、果樹園の木々も緑の芽出し始めた。家に籠っている理由なんかない。外に出よう。それにしても、ちと寒い。