白樺小舎便り(しらかばごやだより)

北信濃の田舎暮らしの日々

ばったり

2024年04月28日 20時39分31秒 | 日記
東日本大震災の翌日に信州の北部でも地震があり、栄村でも大きな被害があった。隣接する飯山市の西大滝地区にある地蔵七体のうち、台座を固めていない六体が南から東の栄村の方に向きを変えた。幸い大きな被害はなく「お地蔵さんが守ってくれた」と話題になった。
その話は聞いたことがあるが、まだ見たことはなかった。
今日それを見た。
普通お地蔵さまはみんな前を向いて並んでいるものだが、端の一体を除いて一列縦隊に並んでいた。不思議な光景だった。
もう二十三年前になるが、そのままだった。
ただ、赤い帽子と前掛けは新しかった。

それは知らなかったのだが、もう一つの不思議があった。
それがこれだ。


何と馬頭観音も同じく栄村の方を向いていたのである。
ここは飯山市の北のはずれ、西大滝地区。
西大滝ダムがある。
JRの西大滝駅がある。
そして『ばったり』がある。
ばったりというのはこの地方では水車のことだ。
2年前に開店したそば屋の名前だ。
そばを自家栽培し、営業は11月からゴールデンウィークまで。
しかも11時から14時までで、金土日しか営業しない。
これはまさに幻のそば屋と言っていいのではあるまいか。
これなら大量生産で多くの客をさばくそば屋とは違うのではあるまいか。
近頃そういう店のそばにウンザリしていたのでこれはぜひ行ってみなくては。



古民家。
周りの風景に良く似合う。
中は7~8人入ればいっぱい。
先客が数人いた。

そばセット1,000円。
隣のおじさんは常連さん。
一度に3枚食べるのが常だという。ここのそばを食べれば他のは食べられないともいう。

確かにちゃんと手打ちした美味しいそばだ。
繋ぎにふのりとオヤマボクチを使っているという。
越後のふのりと信州富倉のオヤマボクチをいいとこ取りしている。

夏場はご夫婦で農作業に専念するそうだ。
新そばの時期にまた来よう。

背後の山はもうすっかり雪も消え『山笑う』になりつつある。
ブナの柔らかい新緑が広がる稜線には信越トレイルのルートがある。
この夏、上から見下ろしてみよう。






珈琲

2024年04月22日 20時51分38秒 | 日記
漢字で書くと何とも優雅である。
珈琲。coffeeともコーヒーともカフィとも違う。
今ではコンビニでも安くておいしい珈琲が飲めるようになった。
贔屓の引き倒しかもしれないが、1日に数杯飲むとががんや高血圧が抑制されたり健康増進に効果があるらしい。
精神的にもリラックス効果があるし、飲み過ぎさえしなければ飲んだ方が良いらしい。

これは珈琲の生豆。
上はモカ。少し小粒。
下はタンザニア。
この豆を200gずつ、手回し式の焙煎器で焙煎している。
焙煎後1週間くらいでフレーバーが抜ける。
こまめにやるに限る。


焙煎の度合いはミディアム。

喫茶店で飲む珈琲もおいしいが、値段もばかにならない。
その点、自家焙煎は格安で済む。
確かに手間は掛かるが定職を持たない身、時間はある。
何より楽しい。
次はどの豆にしようか。




たかが十割 されど十割

2024年04月21日 21時03分19秒 | 日記
本日は4月のそば会。
色々重なり参加者は3人。

3人なら自分も打てる。
そば粉は『縄文』。
2人は二八で打ちたいという。
もうかなりうまく打てる人たちなので十割で打ってみないかと勧めた。
だが、まだ早い、自信がないという。
そこで今回は自分が十割そばを打つことにした。
2人が打った二八と食べ比べてもらうために、1人前ずつ持って帰ってもらった。
『茹で時間は10~15秒。決して茹で過ぎないように!水で冷やした後氷水で締めて腰を出すように。十割は繊細なので雑に扱わないように。茹でたらすぐにたっべる様に。』
細かい注文を出した。

夜、自宅で十割そばを手繰った。(そばをたぐるという表現は粋だな)
人にあげた蕎麦がどんなものか確かめる必要があるからね。

問題なくうまかった。
多分、その辺のそば屋では味わえない。
コシがしっかりとある。
濃厚なそばの香りがある。
家人にも好評だ。
これで不味かったらそれは茹で方の問題。俺の責任ではないからね。

たかが十割。
湯捏ねをすれば簡単に繋がる。
それでは職人の矜持が許さない。
あくまで水捏ねの生一本。
それがそば打ちの心意気というものだ。
されど十割。
簡単に言えばそば打ちの自己満足に過ぎないが、打つにはそれなりの技量が試される。そば打ちには果てしない長い道のりがあるが、一つの到達点でもある。

脳科学者、中野信子さんによれば『脳は多少のリスクのある選択をした方が喜ぶ』という。
繋がらないかもしれない、失敗するのが怖い、『これまで通り安全な二八で』はもう卒業する時期だ。
失敗しよう、取り返しの効く範囲で。前に進もう。春なのだから。


春の端切れ

2024年04月20日 20時56分18秒 | 日記
山菜の天ぷらと手打ちそば。
お店のように美しく盛り付けられてはいないが旨い。


桜番付、西の小結。
坪井の桜。樹齢600年以上。

おやきと桜茶。

坪井の桜(2)

江戸時代初期の黒部のエドヒガン桜。

いよいよ農園ライフが始まる。

ザ・春!


大分色あせてしまったけれど今も元気に泳ぐ手作りこいのぼり。


日本昔ばなしのような村で

2024年04月19日 19時01分15秒 | 日記
その集落には二世帯しか住んでいない。
そのうちの一世帯はおばあさんの1人暮らし。
もう一世帯が田んぼの会の会長さん宅でご夫婦の二人暮らし。
田んぼの会は中山間地というよりもうまったくの山地にある田んぼを拠点にオーナーを募って活動している。
田んぼからは見えないが、村の一部からは鹿島槍が見える。
この村は桜が花盛り。

会長さんはこの5月で92歳になり、奥さんは一つ年下だ。
今年も田んぼをやるというので箱並べに行った。


ここに籾を播いて芽を出させる。




ここは大西の棚田といい、棚田百選にも選ばれている。
『耕して天に至る』と刻まれた碑がある。
棚田なので下から上まで耕すという意味と生涯耕し続けるという二つの意味があると思っている。

苗は35日育てて田植えになる。少しずれるが5月25日に田植えと決まった。
作業後の昼食は奥さんの手作り。
懐かしい味。
50年前もこんな食事をしていたのだろう。
『田んぼの会を始めて32年。今年で最後のしようと思っている』
会長が言った。
流石にもう少し続けて欲しいとは言えない。
今年はできるだけ手伝いにこよう。

世の中の流れから切り離されたような村里の暮らし。
マンガ日本昔ばなしのような風景の中に山桜がそこかしこに咲いていた。