白樺小舎便り(しらかばごやだより)

北信濃の田舎暮らしの日々

表敬訪問

2018年01月30日 19時52分05秒 | 登山

 

わが家の居間から、小さな里山が見える。

標高は650メートル。

登り口からの標高差130メートル。距離600メートル。

去年は結構雪が多く、登るにも少し大変だった分、登行意欲もわいたが、今年はあまり雪がなくて登らないでいた。

ここで少し積雪が増えたので、今日はこの城山へ表敬訪問。

途中までは人の歩いた足跡が続いていた。

それもすぐに途切れ、あとは小動物の足跡が入り乱れて続く。

積雪は深いところでも10センチくらい。

このところのトレーニングの成果の見せ所と早足で登る。

山頂には展望台がある。

この展望台からは晴れていれば、北アルプスや北信五岳、千曲川や長野市方面が一望できるが、今日は遠くはガスっていて見えない。

今年初めての登頂なので、一応記念に雪面に書く。

そういえば北国街道を完歩して、出雲岬の砂浜にも『北国街道完歩』と書きつけたことがあった。

波に洗われたり、日に照らされればあっさりと消えてしまうものだが、それでいい。

自分の人生も、終わったら何も残らなくていい。

死んだ男の残したものは ひとりの妻とひとりの子ども 他には何も残さなかった 墓石ひとつ残さなかった

谷川俊太郎のベトナム戦争反対の反戦詩。

戦争で死んでいった兵士を悼む歌で、俺の心情とはむしろ反対の詩趣だが、なぜか親近感を覚えてしまう。

それでは俺に何が残せるというのか、自問してみる。

多分、何もない。

墓もいらない。俺を知っている人が忘れたら、最初から何もなかったかのように存在がフェードアウトしていけばいい。

真空のバランスが崩れ、物質と反物質が生まれるように無から生じた命。

物質と反物質が同化してまた真空に帰るように、命もまた無に帰る。

俺にはどうしようもない無常感があって、『徒然草』より『方丈記』に惹かれてしまう。

 

もうすぐ2月。

光の春だ。

さあ、首を上げて、あの光の中へ歩みだしていかねばなるまい。やれやれ。

 

ランニングの調子は上々。

ピッチ189/分。これは目論み通りの数字。

歩幅0.89m。これはもっと伸ばしたい。(ピッチは保ったままで)まあ、雪道だったのでこんなものかな。

 

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本日の走行距離 9.53km 1月の走行距離 110.9km  本年の走行距離 110.9km

恐怖の30日チャレンジスクワット  7巡 8日目 115回

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もしかして

2018年01月28日 21時39分50秒 | 日記

庭先の、去年接ぎ木したリンゴの芽も膨らんできた。

寒さの中、自然は着々と春の準備をしているんだなあ。

おいらも負けてはいられない。

かみさんを誘って、千曲川の堤防に行ってみた。

車のわだち部分だけが雪が融けていた。

空気は冷たかったが、風もなく、日差しもあった。

かみさんは今年初の堤防ランニング。

5月のカチューシャマラソンの5kmにエントリーを予定している。

堤防の往復が5kmと少しなので、ちょうどよい練習場所だ。

おいらはおいらで、マイペースで走り出す。

少し前から取り組んでいるピッチ180以上/分の走りを身に付ける課題がある。

雪が融けて氷になっている部分もある。

滑って転ぶと大変なので、蹴らないように、ブレーキを掛けないように、忍者走り(ペンギン走り?)で走る。

これまでのようにストライドを大きくしないので、雪や氷の道でも走れる。

この堤防まで来ると前山が邪魔をして北信五岳が裾までは見えなくなるが、家から堤防に行く途中はよく見える。

一週間ほど走らなかったが、ピッチを刻むリズムは体になじんできたようだ。

以前は足先を意識しすぎて、踏み出す足のスピードをうまくコントロールできなかった。

付け根より最先端のスピードの方が何倍も速い。

そこで、膝から上のももに意識を持って行き、それを動かす基準にしたら、そんなに速いとは感じなくなった。

意識の持ち方でこんなにも変わるのだなあと、この歳で新しい発見。

北陸新幹線の橋の下をくぐれば、立ヶ花橋が見えてくる。

その橋を渡ったところに立ヶ花駅がある。

その無人駅のホームの一番奥まで行けば、4.5kmの距離になる。

絵金待合室でしばし休憩を取りながら、そこに二人のおばさんと話をする。

そのおばさんも、立ヶ花から小布施橋までのウォーキングを日課にしているという。

やっぱり体動かすのはいいねえ、と笑う。

田舎の駅ののどかな風景。

帰路、橋を渡ったところで立ち往生している軽トラを発見。

おじいさんが運転していて、クラッチが繋がらなくなり、救援に来たというもう一人のおじいさんが軽トラを押していたので、手を貸して押してあげた。脇道によけて後でもう一台の軽トラでけん引するという。

おいらも若くはないけれど、田舎ではもっと年配の人が普通に暮らしている。

助け合わなければ生きてなんか行けない。

結果を見ると、雪道でも雪のないときでもほとんど変わりがないではないか。

ピッチも185/分をしっかり刻んでいた。

もしかするとおいらは悪路の方があっているのかもしれない。

それにしても、雪のないときでも変わりがないというのはちょっと情けない気もしないでもない。まあいいか。

 

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本日の走行距離 9.18km  1月の走行距離 101.37km  本年の走行距離 101.37km

恐怖の30日チャレンジスクワット 7巡 6日目 105回

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安曇野

2018年01月28日 00時18分13秒 | 日記

安曇野。

そっと呟いてみるだけで、あの田園風景や我が愛する山々の姿が一瞬で脳裏に浮かんでくる。

安曇野。

なんて美しく優しい響きなんだ。

 

棚田のオーナーで通う中条の道の駅で郷土料理のおぶっこを食べた。

きしめんより少し幅広の感じの面が、野菜たっぷりのみそ仕立てのツユになじんで、薬味に入れたネギ南蛮の辛さがうまみを一層引き立てる。

食べ終わる頃には額から大粒の汗。うまい!

 

ちひろ美術館のある松川村には、先日茅野市で立ち寄ったおかめ神社の本社があるので立ち寄ってみた。

名前は鈿女神社という。

この神社は糸魚川街道から少し横に入ったところにあり、これまで看板は目にしながら立ち寄ったことはなかった。

福の神で、金田女(かねため)神社とあっては素通りはできない。

背後には、有明富士と呼ばれる有明山が筋骨たくましく聳えていた。

奥の方に餓鬼岳らしき峰が雲の隙間にうっすらと見えた。

今年こそ登りに行こう。

 

今回の目的は安曇野のワサビ漬けの買い出し。

御用達のお店の一つである寺島わさび店に着くと、店の中は今朝の冷え込みで水道管が破裂したとのことで水浸しだった。

それほどまでにこのところの冷え込みは厳しい。

この安曇野で生まれた早春賦の歌にある『春は名のみの 風の寒さや』が実感として感じられる。

もうじき節分、立春だが、この安曇野は北アルプスの冷たい風が吹きおろし、空気をピリッと締めている。

それが、田園風景や山と調和して何ともいい雰囲気を醸し出す。

私は安曇野が大好きだ。

 

帰路、信州新町で温泉に立ち寄った。

不動温泉さぎり荘という犀川のほとりに立つ温泉で、松本清張の乱雲という小説にとうじょうするという。

幸い入浴客は他に一人いただけで、その人もじきに上がって行ってしまった。

そんなわけでのんびりと温泉を独り占めしてぼーっとしていた。

何とかランドなどという込み合って値段ばかりが高い温泉は嫌いだ。

断然ひなびた温泉がいい。

 

久々に図書館に行った。

借りてきた本はこの3冊。

溜まっていた本もだんだん読み終わり、そろそろ禁を破って自分から本に手を出してしまった。

実を言うと私はかなり重症の活字中毒者なのだ。

興が乗ると夜を徹して読み進めることもいとわない。

できるだけ生活習慣を乱さないように自制しないととんでもないことになる。心してかからねば。

 

そんなわけで、雪を言い訳にランニングはさぼっているが、30日チャレンジスクワットは続けている。

第7巡 5日目 100回

明日は心を入れ替えて少しだけでもトレーニングしよう。

体重も3㎏ほど増えたままだ。いかんいかん。

 

 

 


春待ち人

2018年01月26日 22時16分03秒 | 日記

極寒の日本列島ですが、この地はさほどの大雪もなく、気温こそ低いのですが、例年の大寒と比べてそれほど違っているとは思えません。

ホットスポットという言葉がありますが、言ってみれば反ホットスポットといった感じで、ここだけ寒波の襲来から逃れているような気がします。

それでもいつものランニングコースである千曲川の堤防の上は雪道になっており、ちょっと走る気になりません。

それではプールにと2日ほど通いましたが、1日目は顔見知りの奥様がプールの監視員をしており、2日目は以前から風呂であったりしたことがある肌会わねえなあという男とかち合い、プールは自分にはあまり向いていないと家に籠っておりました。

やっぱりプールの中よりも、山に登ったり、ランニングしたり、野外の方がいいなあと思うのです。

本も何冊も読んでいますが、今ブームになっているという吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』コミック版は読み終えました。

80年前に書かれたというその原書は、日本が戦争へと向かう中で書かれたのですから、反体制の書です。

人間の生き方について、世の風潮に流されるのではなく、良心や知性に基づいて、社会の発展の方向に沿ってこそ立派な生き方ができるのだと、わかりやすく説いています。

例えば物を生産する人々を、高級車に乗って消費するだけの人より下等な人間だと見下してはいけない。例えばナポレオンについて、民衆の革命の先頭に立ち王制を倒した点は評価できるが、それ以降の自分の権力を民衆の望む方向とは違った方向に使い始めたナポレオンは評価できない。例えば何事かを成し遂げようとすれば今ある最高の知識を身に付けたうえで新しい一歩を踏み出せなければならない。大きな歴史の目で見れば人類の進歩に貢献しない行為など大きな流れの淵で起こる小さな逆流に過ぎない(この表現は私流の言い方)。

さて、このように見たとき、時の権力者は歴史を人類進歩の方向に進めているのでしょうか。

この本が現代の若者たちに読まれているというのはひとつの大きな希望だと思うのです。

春を待ちながら、少しずつ今年の信州百名山残り19座の登頂計画を練り、甲州街道歩きの地図を調べ、キャベツの苗の世話をし、落語を聞き、ゆったりと過ごしています。

 

この間歩いた甲州街道の写真も、全体を流して見たあと、改めて一枚一枚見ています。

前にもアップしたおかめ神社をもう少し詳しく取り上げてみます。

何といっても『笑う門には福来る』福の神なのですね。

そして、鈿女の字は 金田女(かねため)神社であるそうな。

良くお参りしておきました。


災害は団体さんで

2018年01月23日 19時32分52秒 | 登山

大雪の混乱が続いている中で、本白根山噴火のニュースが飛び込んできました。 

本白根山は我が家の裏山のようなところで、コマクサの名勝地です。

毎年訪れているのです。

少し外れた鏡池のたたずまいが好きで、天空の楽園と呼んでいました。

あまり人も多くなくて、それはそれはいい感じだったのです。

少し離れた草津白根山は昨年まで噴火の恐れがあると、立ち入りが制限されていたのですが、本白根山一帯は無警戒と言っていい状態だったのです。

あの鏡池の周辺で、まさか噴火が起きるとは。

犠牲になられた方のご冥福を祈ります。

その後、夜になってアラスカ沖でマグニチュード8,1の大地震のニュースが飛び込んできました。

どうも災害というのは団体さんでやってくるもののようです。

明日から明後日にかけて、単純に足し算をすると積雪量がこの辺りでも1.5メートルくらいになる予報が出ています。

この辺りは、太平洋側でも日本海側でもないというような、コウモリのようにあっちに付いたりこっちに付いたりというようなところがありますから、多分そんなには降らないだろうとは思います。

 

雪に降り込められて、読書が捗ります。

現在読んでいるのは

俺は駄目じゃない 山本甲士

君たちはどう生きるか 漫画版

外道クライマー 宮城公博

わたしを離さないで カズオ.イシグロ

同時並行で読んでいる。

これらの本は自分で選んだものではなく、向こうからやってきたもの。

最近では自分で本を買うことなどほとんどなくて、本のほうで読んでくださいとばかり手元にやってくる。

晴耕雨読。

来る者は拒まず。去る者は追わず。

いまではもう、そんなに本に影響されることもほとんどなくなった。

大地を耕し、山に分け入り、野を駆ける。それが実の部分だ。