さよならだけが人生だ ー 井伏鱒二
このブログを卒業します。
そんな言葉を残して彼女は去っていった。
名前も知らない。顔も年齢も知らない。
時たまにブログを拝見していただけだ。
写真を使わない。文章だけで読ませる力を持っていた。
僕は少し嫉妬すら感じていた。うますぎる文章に、少し疎ましさすら感じることもあった。
少し前にも敬愛する老婦人が余命宣告を受けたと、最後のお別れの言葉を残して去っていった。その潔さに感銘を受けた。
出来るなら自分もそうありたいと願う。
どんな季節も過ぎていくものだ。
少しづつ少しづつ変わっているのだろうが、何も変わらないように思いこむ。
ある時突然ガラッと変わる。地殻がひずみをため込んでいき、限界に達して大地震を起こすように。
変わらないと思い込もうとしていただけだ。本当は心のどこかでいつか季節が変わっていくと知っているのに。
さよならが突然やって来た。
華やかすぎる文章に反発すら感じていたけれど、今は静かにありがとうと言おう。
そして、こちらも潔くさよならと手を振ろう。