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そゆる日記

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半次郎(ネタバレあり)

2010年10月10日 | EXILE
映画 『半次郎』 を観て来ました。

率直な感想を書いちゃうから、これから観るかたは読まないでね。



この映画はそもそも榎木孝明さんが企画して撮った映画なので
榎木さん自身に半次郎という人物に相当な思い入れもあり
自分が演じたかったということなんだと思うけど
ムリがあったと思う。

映画が始まって早々に
「これ何歳という設定なんだろう?」 って疑問で頭がいっぱい。

りりィ(50代)がお母さん役、10代か20代の妹がいるし、
西郷隆盛に弟子入りを願い出ている、
AKIRA演じる弥太郎と意気投合して
庭に飛び降りて相撲を取っちゃったりしてる。

絶対、若者なんだろうなぁ。

でも、どう見ても榎木さんのビジュアルは50代。
声もしわがれて、若者の声じゃない。
舞台ならまだしも、映画でこれはキビシイなぁ
と思いながら観てました。

若い子のやんちゃや無鉄砲は勢いあってステキだけど
いい年したおっさんだとドン引きとまでは言わないけど
なんか… 適当にせえよって気持ちになるじゃないですか。

(家に戻ってからHPで確認したら
半次郎25歳から40歳までの物語だった。
どう考えてもムリある。
いっそAKIRAに主役を譲ればよかったのに)



そして、西郷隆盛。

みんなのイメージする西郷さんにぴったりの方を
一般から公募した素人さんらしいのだけど
外見だけ似ててもダメなんだと痛感。

全然存在感がない。

セリフが少ないから素人でも大丈夫と踏んだのかもしれないけど
セリフがないからこそ、
いるだけで周囲を圧倒するような存在感が必要じゃない?

あの時代のカリスマなんだよ。
彼のために死んでもいいっていう若者が周囲に集まっちゃうような人物なんだよ。

そんな人物が重大な場面で判断を半次郎にまかす。

だからこそ、半次郎がどれだけ信頼を得た人物かが感じられるはず。

なのにさ~。

これじゃ大事な場面のたびに決断を人に丸投げしちゃう
ただのぼんくらにしか見えなかった。
だいたい、この物語の一番の要といっていい人物が素人て…。



ただ、AKIRAは出てきた瞬間から、かっこいい~(笑)
いや、まあ、ファンだからね(笑)
それを抜きにしてもこの役はハマッてたと思う。

ファンだけど言っちゃうけど
役者のAKIRAは、残念ながら時々セリフが大根さん。
でも、この役は方言指導がガッツリ入った薩摩弁だから
大根さんな場面はない。

体が大きくて立ち回りはダイナミックだし
自然の中で存在感が映えてた。



そう、この映画、地元の協力が相当あったらしいのだけど
自然の風景がきれい。

桜島のたなびく煙が見えて、
一行が故郷に戻ってこれた喜びを感じるシーンとか
一緒に感動した。

山の上に月がかかっているシーン。
月は合成なのに慣れてしまっているから
本物の三日月だってだけで、ちょっと感動してしまった。



さて、肝心な映画の内容ですが。

残念ながら榎木さんが伝えたかった半次郎の人となりは
私のハートを打ちませんでした。

心に残ったのは、価値観が転換していくときの葛藤。

だれも悪くはないんだけど、こうして争いが生まれてしまう。

必ずしも新しい価値観が素晴らしいとは限らないんだけど
新しいものが求められている時には、古いものは淘汰されるしかない。

ラストサムライの時も思ったけど
銃や大砲が登場しているのに、刀で立ち向かう空しさ。
アナクロとわかっていても、それ以外できない悲しさ。

ヨーロッパを中心とする文化が素晴らしいかどうかはわからないけど
それを取り入れる決断をして、それまでの価値観を切り捨てた国の
延長線上にある現在に生きている自分たち。

そんなことを、つらつら思いながら映画館を後にしました。